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人間兵器、自由を願う  作者: 胡麻かるび
第1章「人間兵器、自由を願う」
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2話 精霊の森、彷徨う鎧Ⅰ ※挿絵あり


 自由は手に入れた。

 だが、自由を謳歌する前にまずは約束を果たす。


 俺にアガスティア・ボルガを託した仲間がまだ封印されている。



 人間兵器"三号"。コードネームは"シール"。

 彼女も七人の勇者の一人だ。

 能力は【護りの盾(プロテクション)】。

 彼女は解放を手伝う代わりに、次の目覚めでは同じく自由にさせてくれと俺に要求した。


 つまり、神官連中より先に目覚めさせるのが最初のミッションだ。

 【覚醒の杖】は手に入れた。

 あとはシールの封印の地へ向かうだけ。



 三号の封印の祠の場所はわかっている。

 一号である俺の祠は王都南の『精霊の森』。

 初代人間兵器とだけあって歴史的に一番古く、最も王権に近い土地に封印されている。


 一方で、三号はここからさらに東。

 シーリッツ海沖の孤島に祀られているはず。


 遠いな……。

 移動手段がないから歩くしかない。

 神官連中――『タルト聖堂騎士団』というが、現代で奴らがどんな文明の利器を使うかも知らない。

 【覚醒の杖】が手元にあっても、現代では勇者たちを覚醒させる他の手段があるかもしれないのだ。

 それは事前に想定済みだった。


 やはり先回りするべきだ。

 通常の覚醒手順なら一号から七号まで数字の順に覚醒させるから、本来なら次は二号の番。

 しかし、俺の掌握に失敗した今回、どんなイレギュラーな順で覚醒させるかわからない。



 精霊の森を抜けるべく、東に向かって歩いた。

 頭上から降り注ぐ木漏れ日が強い。

 陽が高いのだ。


 なんだか体がムズムズしてきた。

 これは一号である俺の生理現象。


「あ、あぁぁ……。アアアアアア!」


 魔力が内側から溢れ出し、爆散した。

 ドロドロとした液状魔力が全身を覆い尽くす。

 それが赤黒い鎧として形成された。


挿絵(By みてみん)


「……」


 フルアーマーの黒い騎士が顕現した。

 これが戦闘モードの俺。


 フォルムがゴツすぎて初対面には大抵驚かれる。

 【狂戦士(バーサク)】という状態で、一日のうち、必ずどこかで狂戦士にならないと、肉体の器から溢れ出した魔力が爆発して、勝手に変身することになる。

 しかも、この状態は約四分の一日も持続する。


 【狂戦士(バーサク)】では、どんな傷も魔力が傷口を塞ぐ。

 要するに無敵だ。

 その代わり、変身終了後に魔力が枯渇するため、他の能力が一定時間使えないというペナルティを負うが、基本的に俺は魔力無しの白兵戦で負けたこともなく、大したペナルティにはならない。


「シュコー……シュコー……」


 そしてこの音。

 嫌なのは、この音だ。

 ただでさえ見た目が邪悪なのに、この排気音でさらに印象が悪い。

 これじゃ勇者というより暗黒騎士である。



作中の挿絵は、本生公 先生にご提供いただきました。

ありがとうございます。

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