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六話 序章その六:「さらば」とか「ファイナル」が副題につく映画って結局続編あるよね

前回までの『おれ天』!!

邪魔虫と英国の紅茶。

 小鳥遊ヴァリと言えば、この学校で知らない人はいないほどの有名人だ。

 授業での彼女は、真面目というよりも品行方正に近く、プライベートでは冗談を好むタイプ。それで頼りがいがあるのであれば、まぁ人に好かれやすい人柄と言っても過言ではない。

 そんな彼女が二年生になって立候補したのが、生徒会長の座である。

 普通なら三年生がこぞって内申点のために争われる生徒会長の名誉だが、そんな事情を無視するには、ヴァリの完成された人柄は充分な理由になった。

 言うなれば、人に好かれるためにあるような人柄の持ち主。

 それが、小鳥遊ヴァリという女生徒だ。

 そんな彼女の城ともいえる生徒会室に、俺たちは招かれた。



「まぁ、気楽にしてヨ。お茶でも入れるからサ」


 彼女の言葉を真に受けて、隣に座ったカナフは自分の弁当にかぶりついている。


「テト。お前は食べないのか?」


「あいにく、腹は減ってないもんでね」


 緊張して食べられるかっての。

 『気楽にしろ』ってのはどう考えても社交辞令だし、カナフみたいにくつろぐのはどうかと思う……。

 こんなのどう考えても、他に理由があって俺たちを招き入れたんだろ。なんで疑問の一つも抱いてないんだ、この天使さんは。

 ていうか、俺、元神様なのになんで人間のテリトリーで緊張なんかしてんだ?


「さて、実は君たちに聞きたいことがあったんダ」


 それ見たことか。

 これだから、人間は信用できない。誰だよ、こんな風に設計したの。


「俺の悪名について?」


「いや、まさカ。君が悪名高いのは知っているけど、そのことじゃあないヨ。どうせ、嫉妬からまかれた出まかせだロ?」


 まぁ、その原因は隣にいるこいつですけどね。

 それは黙っておこう。俺の沽券のために。


「じゃあ何? 俺たちと友達になりたいとか?」


「それはなイ」


 なんと即答。

 周りの罵詈雑言誹謗中傷よりも来るとこあるぞ。


「冗談だヨ。そんなショックな顔するとは思わなかっタ」


 ヴァリはくしゃりと笑う。

 けっこう失礼なとこあるぞ、この生徒会長。


「君たち、部活動に入ってないだロ。わが校は校則に『部活動または委員会への入部』を義務付けていル。早くしないと、教師にめんどくさい委員会にぶち込まれるゾ」


「そうか。実は俺たち、帰宅部ってのに興味あるんだ。学校から家まで帰るのにかかる時間を競うやつ。探してるんだけど、なかなか見つからなくてさ。なかったら作るよ、活動場所は俺の家ってことで」


 沈黙。


「…………、それ冗談で言ってるんだよナ?」


「…………あぁ、もちろん。まさか、本気で言うわけないだろ。君の真似に決まってるじゃあないか。どう? キマってる?」


「改善の余地あり、ってとコ」


 怖い!

 てか、恥ずかしい!

 愛想笑いがこんなに辛いとは思わなかった。


「早く本題に入ってくれ、休みがなくなってしまう」


 気まずい所に弁当を食べきったカナフの一言。

 ここは彼女のKYさに感謝だ。


「そうだな、彼女の言う通りダ。寄り道は抜きにしておこウ」


 そう言ってヴァリは姿勢を正す。


「二人とも、生徒会に入ってくれないカ?」


 こりゃまた唐突な。

 そこは自分が入りたい部活を探せってイベントじゃあないのか? 

 あらかた回ってから、仕方なく生徒会にするってのが、普通のルートだと神様思うんだけれど…………。


「理由って、聞いても?」


「いヤ。だってそノ…………。君ってあれだロ…………」


 ヴァリは何か言葉を探している。

 言いたいことは分かるぞ。俺にとっても失礼なことだ。

 デリケートでプライベートな、普通はふれちゃならない大事なとこだ。

 下ネタじゃあないぞ。


「友達、いないじゃン」


 おい。

 言葉選んでたんじゃあないのかよ。

 どこ行ったんだよ、お前の語彙力。


「これじゃあ語弊があるナ。君って今アンチが多いだロ? この状態で部活を探すって結構大変だと思うんダ。そこらへんは隣の彼女には問題ないんだろうけれど、逆に人気がありすぎル…………」


「要するに、『問題のタネは自分の手元に置いておきたい』ということだろ?」


「まぁ、そういうこト」


 相対的にカナフが賢く見えてきたぞ。

 不思議だなぁ。

 というか、それは困る。生徒会なんて忙しそうなところに入ったら、ゲームができないじゃあないか。

 最悪休日も返上しなくてはいけなくなる。それはごめんだ。

 そんなリア充生活はいらないから、なんとしても断らなければ。


「お誘いはありがたいんだけどさ。意外と俺って忙しい身で、あんまり活動に顔を出せないと思うんだけど…………」


「君はいるだけで良いんダ。あの彼女も言ってたロ? 『問題のタネを近くに置いておくだけ』だっテ」


「でも、俺人見知りだし…………」


「そこは問題なイ。和気あいあいとしたアットホームな生徒会だかラ」


 地雷じゃん。

 てか、聞いたことあるぞ、この台詞。

 いいや、問題はそこじゃあない。

 このままじゃあ八方塞がりだ。『はい』って言わなきゃ帰してもらえない。とんだ詐欺行為だ! 教育委員会に訴えてやる!


「質問はもうなイ?」


「あぁ、ない」


 お前が答えんなよ!

 何言いくるめられてんだ、少しは疑問ってのを持てよ!


「ようこそ、生徒会ヘ」


 二人は固く握手を交わす。

 俺はというと、カナフに声なき抗議を送っているだけ。

 すると、カナフに俺の信号が届いたのか。彼女は振り返って、


「なにをつっ立っている? これから世話になるんだ。何か一言あるだろう」


 お前は何千年俺と一緒に居たんだよ。少しは感じ取れ、俺の考えそうなこと。これだから、今まで俺の手練手管口八丁手八丁に騙されてきたわけなのか。なにも言えないな、このことには。


「よ、よろしく…………」


「あぁ、歓迎するヨ」




 さらば、俺のニート生活。


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