夜明け
キンキンと金切り声を上げて衝突する刃の音。
その刃に映るは地獄の荒野、骸骨が所狭しと蠢く惨状。
「持ちこたえろ!不甲斐ないところを見せるな!」
眼鏡に汗をしたらせながら、武骨な顔をした男が大剣を振るって叫ぶ。
「ここでくたばったら地獄まで追っかけるからその積もりで掛かれ!」
茶髪の髪をたなびかせながら、厳格な顔の女が宝杖をかざしながら叫ぶ。
「もう少し……もう少しの我慢……」
小柄な少女がすがるように小さい杖を構えて泣き顔で呟く。
「いつまでもお待ちしております……我が王……」
レイピアを刺しながら、束ねた青い髪を揺らす確かな覚悟を持った少女。
瞬間、空が光った。一条の流星が昏く紅い空を裂いた。
「遅かったじゃないか……お帰り」
空を見上げて武骨な男が呟く。
「あとでお仕置きだな。この愚昧め」
毒づきながら茶髪の髪をかき上げて厳格な顔を綻ばせる。
「待ってた……待ってたよう……」
堪えきれずに少女の顔に涙がこぼれる。
「おぉ……我が王……ご帰還か」
レイピアを高く振りかざして少女が呟く。
皆が見据えるその先に彼はいる。
「待たせて悪い。『第一遊撃隊』黒鎚 真白 参る」
これは救いの序章、神々の黄昏の夜明け。
今救世主は大地に立ったのである。
時は一年前に戻る