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異世界小説書こうと思ったら・・  作者: 希灯路(きひろ)
序章 『これは現実?夢の世界?』
1/6

第1話 「銀髪美少女を俺の奴隷にしました」

さてさて、書いてみました。

不定期ですが頑張りますので宜しくです。

ごく普通のアパートの一室、

一人、男は机に向かい頭を四苦八苦させている。

「だぁぁぁぁ、わっかんねぇ・・・!!異世界ってどう書けばいいんだ!!」


男の名前は八神 広樹。

年齢は39歳になったばかりであった。

彼は高校生の頃から小説家になりたいと憧れていたが、

それは思う以上に大変で一つの作品を最後まで書きあげることもなく、

高校を卒業し生きるために働き、そして現在に至る。


「街から街への移動とか、世界の大きさ?地球くらい大きかったりすんの??

戦争での遺体処理、蘇生魔法とかあるべき?

種族とか人間以外にどんだけいんだよ!!

仲は良いの?悪いの??

わかんねー事だらけでなんで書けねえんだよっ!!」


細かく考えるときりがない。

大きく頭を掻きながら椅子を傾け、机の上へと足を上げる。

「はぁ・・・書けねぇぇぇよぉ・・!!」

天井を見つめ、静かに目を閉じる。

ひとつ、

ふたつ・・

深呼吸を重ね再び目を開けてみる。

「なんでっやねん!!」

そこはいつもの自分の部屋であった。

「どんだけフラグ立ててんねん!!目ー、開けたら異世界やろうがい!!」

関西人のようにツッコミを入れる。

現実は変わるはずもない。

「とりま、飯食うべ」

椅子から立ち服を着替え、財布を持ち、

準備を整えるとゆっくりと玄関を開ける。

「なんでっやねん!!」

日常だった。

その日の日常を終え、眠りに入るためベットへと向かい横たわる。

「異世界小説を書いて夢を叶えたい!!でも無理か・・・俺には・・・さいの・う・・」

そして深い深い眠りへと至る。

「なーーーんでーーやねーーーーん」

広樹は“そこ”で大きく叫んでいた。

どうやって来たのだろうか?

そこは森と呼べる場所であろう。


周囲は木、木、木、木、少女、木、木、木・・・・

「って・・・んん??」

もう一度、周囲を確認する。

「あ・・あの。。」

少女は首をかしげ、不安そうにこちらに視線を合わす。


八神広樹はそこに何故かいる。

あたりは木々が生い茂る森といった感じだ。

上空には木々のわずかな隙間から陽の光が地を射している。


周囲を目視し、寝袋らしきものを発見する。その前にはたき火の跡で

あろうか、燃えカスがある。

左手に寝袋、目の前には焚火の跡と銀髪の少女、年は十代は確定だろう。

銀色の髪は光の中でその存在を示し、

そのあどけない笑顔に俺の心はただ一言、勢いよく、こう叫んだ

「異世界キタアアアアアア!!!」

「銀髪の超絶美少女キタアアアアアアアアアーーー!!」

少女はそんな心の声に反応したかのように一転し、不安げに俺の姿を捉える。


39歳、体格は普通でいいと思う。無精髭は許せ、なんか

童顔らしいからワイルドさをだしたくてな。

黒の上下ジャージの髭生やしたおっさんが目の前かぁ・・・


「普通、叫ぶよね、チャージ中?チャージ中なの??」

言葉には出さず心の中で広樹は言う。

「あ・・あの。。こんな危険な場所で何をしてるんですか?」

心地のいい綺麗な声、そう言っていいだろう。

少女はこんな怪しい俺に笑みを浮かべてくれた。

「あ・・えーっと・・・」

どう説明するべきか、というか自身にもどういう状況か全くわからない。

わざとらしく笑顔を返すが違和感がはっきりとわかった。

「あれ・・?声が・・」

自分の喉へと手を伸ばすと確かに自分が発する声だとわかる。

さらにその手が視界に入ると加えて驚きが生じる。



なんか、俺が俺じゃない。

それに勝る言葉はないだろう。若くなった、とかじゃなく

自分じゃない誰かの身体を俺が乗っ取っている・・。

違和感しかなかった。


「旅のお方でしたか?この辺りは

銀煙の森といわれる場所ですごく危険なんですよ?

南にある街道を通らず、ここを通るのはよほどのおバカさんか、

名の通った傭兵さんとか、

本当にツヨーーい人くらいです」

銀髪の少女は力いっぱいの笑顔とジェスチャーで身体を大きく広げる。


「そ・・・そうなんだ、俺は前者かも?知らずにここまで来ちゃった、みたいな?」

とりあえず会話を進めながら広樹は思考を止めないでいた。


ベットで寝たのは間違いない。

普通に考えればこれは夢に違いない。俗に言うお約束をしよう。

静かに指を頬へと向け確かめる。

「君はなんでそんな場所に?」

痛みを感じながらヤガミは少女へ聞く。

痛いってことは夢じゃないのか・・・?

そもそも夢の中ってほんとうに痛みは

感じないないのか?

結果はともあれ夢って決めつけて

いろいろやると後悔しそうじゃないか。

現実ということを前提にしよう。

「私は祖父とこの森に住んでいるんです。

祖父は強い人でその昔、

どっかの国で英雄って呼ばれてたんですよぉ~。

ですが三日前に魔物から私を守ってくれて、

その・・・今は一人で・・・」

はい、失敗。可愛い少女の顔が曇ってきました。

「そうですか、お爺さんにありがとう、だね。君のために・・・」

言葉を詰まらせ恐る恐る彼女の様子を窺う。

「はい、祖父のおかげで今があります。でも悩んでるの。

祖父が居ないのに魔物の出るこの森で生きてゆけるのか・・・」

そんな彼女同様に広樹も悩んでいる。

この状況の中、自分はどんな人間なのだろうか。

会話の中で自分の身体の分析は済ませている。


細身だが筋肉質な身体。青年というには幼い気がする。

顔こそわからないが手で触れるとおそらくだが美少年のような・・。

服装は黒の装飾された上下に背中には荷物の入った大きめの袋。

腰に手をやるとそこには長剣は・・・なかった。

この身体の主も前者だったかな、と思う。


「って!!え?魔物って・・・・」

状況が許したのか、ここで八神は気付いた。

「あ・・・お嬢さん、魔物って危険なんだよ・・・ね?」

考える余裕もなく銀髪の少女に聞いてみる。

「はい、魔物は魔神の捕食器官と言われてて主食は人間の肉です。

ここは魔物が多く生息する場所なのですっごく危険な場所です」

この少女はすごい子なのか、活き活きと怖い話をする。

「そうなんだ・・南の街道?に戻りたいんだけど、どう思う?」


とりあえず、だ。

この場所は危険だという事はわかった。

オバカさんは本来、行くべき道へ戻らなければ。

「う~ん、私も一人だと心細くて、、いっそ私の家に来ませんか?

家には祖父の創った結界があるらしく魔物は近づくこともできないんですよ」

爺さんすげえな!!

、とは言わず八神はそれに応じる。

「では、お願いしますね」



銀煙の森、そこは無人地帯として知られている。

近年、魔物による被害者はなかったが日が暮れるころ、森の方向から

人の悲鳴、魔物の雄叫びが聞こえる、と旅人は語る。


そんな危険な森に二つの人影がある。

一人の少年と一人の銀髪少女である。


二人は銀髪の少女の家へと足を進めていた。

二人が出会った場所、そこで荷袋の整理をしつつ情報の整理を

済ませながら自分の荷物であろう寝袋をしまう。

「自分を示すようなものはなし、と」


荷袋の中身は主に携帯用食料に水、あとは良く分からないメダル

が二枚。ロープに小型のナイフ、医療道具?といったところか。


「冒険家的なやつか・・でも護身用の武器はもってそうだけど」

広樹が支配しているこの身体の主は誰で、何故ここへ来て、どういう経緯で

俺が中に入っているのか、謎は尽きない。

歩きながら八神は身体の身体能力を分析する。

思ったように身体は動き、やはり軽い気がする。


小説家として想像した動きを人が出来るものなのか、と

悩むところはあるが、そもそも太陽系 地球の人類と、

この身体の主は見た目は同じでも違う。軽い。


「重力の影響が少ない、とかなんだろうか・・」

と、心の中で結論するも、


「いや、それはここが異世界だからさ!!」

と反論してみる。


銀髪の少女はというと、この間、二人は会話を成立させている。

八神としてはこの世界のことを聞きたいと思うがこの世界の住人が

この世界のことを聞くだろうか、と自制し、とりとめのない話を心掛ける。


こうして2時間くらい歩いただろうか、少しづつ太陽は頭上から下がり

始めた気がする。

すると、

「あと少しですよ、もうすぐ祖父がひいた道が見えます」

歩き続け、それは確かに存在した。

周囲一帯、木、木、木だったのが両側に木を控えさせ、その中央には

石畳の道が先へと続いている。

「これって・・凄いよね、お爺さんって万能すぎない・・?」

出来れば逢いたかった、そして護ってもらえたら安心出来たものを。

「はい、さる王国のツヨーーーイ英雄だった人ですからねっ!!」

自慢げに亡くなった祖父を褒められ、少女は頬を赤くし振り返る。


石畳を数分歩くと、その先に家があった。

それは丸太小屋、いやログハウスってやつだ。一緒のことだが

後者のがカッコイイ気がする。

しかも良くできたって付けるべき仕上がりであった。

観光で来たものならこれを見てSNSにアップ、「いやされるー」

ってタイトルが付きそうだ。

「やっぱり、このいえも・・」

「(いえも・・)ええ!!祖父が作りました」

広樹が言い終える前に遮るように少女が口をはさむ。


そしてログハウスの入り口にてその扉は開かれた。

「どうぞ!祖父自慢のお家です」

少女は家の中へと誘うように手を伸ばす。

「おじゃまします」

なんて言いながら広樹は中へ入り、少女もそれに続き、扉は閉められた。

一瞬、少女の口が動いたように見えたのは気のせいだろうか・・。


家の中は入ってすぐ目の前には大きめなテーブルに椅子、奥に水回り、

左手には大きな暖炉・・・「いやされるわーー」

思わず笑みを浮かべ言葉にしてしまう。

それを聞いた少女もまた「うふっ」と笑みをつくる。

「じゃあ・・・・あれ?」

銀髪の少女は口をつぐみ・・思い出したように

「そういえばわたし、あなたの名前聞いてなかったわ」

と恐れていた言葉を放つ。

つづけ、

「あ、わたしはシエラ、シエラ・セーヴィスです」

道中、それを避けるように誘導してきたがもはやここまでか、

意を決し、


「あぁ・・・ヤガミだ」

ちくしょぉぉーー、お決まりの西洋風な名前ですよね、後ろは家名ですか?

家名なんですよね!!

なんて思いながら無難に名乗ってみた。

最初の難関としてずっと考えていたのだ。


①「俺はヒロキ・ヤガミだ」

②「俺はヒロ・ヤガミだ」

③「俺はヒロだ」

④「俺はヤガミだ」

⑤「俺はシヴァ・アルファーダだ」


⑤は俺の書こうとしていた異世界小説の主人公の名前だが・・・。

ここは④で続けて、

「家名は知らない・・生まれてすぐ、捨てられたそうだからな・・・」

これで完璧ですね。

さすが小説家になりたかった俺である。


「そうですか・・大変でしたね」

当たり障りなく答えた銀髪少女、もといシエラは椅子に座るよう勧めてくる。

軽くうなづき、ヤガミは椅子へと足を進め腰を下ろす。

「ふふ・・」

シエラは笑顔を浮かべ、木製のコップを置く。中には透明の液体、

おそらく水であろうか。

「わたし、名前も知らない人を家に招いてたんですね」

お互い信頼関係はあると思う。

二人は「プッ」と笑いが吹き出す。

「シエラさん、助けていただきありがとうございました」

丁寧に感謝の意を述べてみる。

「いえ、あんなところで人と遭えるとは思いませんでしたが」

笑みを絶やさず、シエラは向かいの椅子へと腰を下ろす。

「はは・・」

苦笑交じりに空気の重さを感じつつヤガミは水を飲み干した。

「これからどうしようか・・・」

現状、この異世界のことも分からず、地理も皆無、魔物が棲む世界で、

武器もなく、戦闘経験もなく、お金もない。生きる術は分からず、

先の展望もない。

「だけど・・・」

シエラに助けてもらい、とりあえずの安息が出来た。ここから最も近くにある

シーアスという都市へは行けそうだ。

街に着いたら情報収集しつつ、最低限のお金を稼ぎ・・・


おそらく、俺はこの世界で生きていかなくてはいけない。

よくある話じゃ、冒険者ギルドみたいなとこがあって、魔物退治で金がもらえる。

さらに言えば、魔物退治の中で友人が出来、そしていつか女冒険者的なアレがああなって、

きっと、こうなってウハウハになるに違いない。

と、いい方向に考えてみたいところだが・・・。

「ん?」

目の前が揺れる。

「あれ・・?」

目の前に座っていたシエラは笑みを浮かべている

「・・・・・・・・・・・・・・・」

沈みかける意識にヤガミは抵抗する。

「・・・なんだよっ!!」

拳を机に叩きつけ周囲に大きな衝撃音が響きわたる。

「へぇ・・思った以上に効かない薬なのかしら」

つづけて

「まぁ・・いいわ、この世界の人間には抗えない力、

私は銀の魔神シエラ、魂を司る八魔神のひ・と・り」

常人ならざる殺意をまとい、シエラは椅子から立ち上がり手の平を意味ありげに握った。

近づいてくるシエラ、ヤガミはとっさに地面に落ちていた

長い物を拾い、力の限りを尽くしシエラの脳天めがけてそれを振り下ろした。

「・・・え?」

驚きの中、シエラはその一撃にあっさり沈んだ。

「なんて・・言ってた?よく聞こえなかったが・・」

ヤガミは重い身体をどうにか支え倒れているシエラへと顔を向ける。

「痛ったいわね・・」

かいしんのいちげき、シエラに7のダメージを与えた。

そんな感じだ。

「ぜんぜん効いてねえじゃねえか」

身体を起こしながらシエラは立ち上がろうとし、

「あなた、何故無事なのよ!この世界の人間なら私に対する恐怖が

魂に刻まれているはず、魂を握り潰せば死ぬはずなのに・・!」

シエラは怒りと動揺を交互にのぞかせた。

「ふぅぅ・・・まぁ、いいわ、直接、私の手で殺すしかないのね」

深い深呼吸にて冷静さを取り戻すと

銀炎(ぎんえん)

そう言いながら手を差し出す。

すると彼女の白い掌から銀色の炎が生まれる。まるで意思があるように

銀の炎は猛々しく放たれる瞬間を待つ。

「くっそ・・なんでやねん!!どんなトラップだよ、選択肢はどこよ?

初心者殺しもいいとこじゃねえか!!鬼畜万歳か!こら!!」

ヤガミはとりあえず意識を保つために声を荒げつつ、神経を研ぎ澄まし、

手に持っている長いものが何か確認する。

それは鞘に収まった長剣であった。

白い鞘に青い宝石が装飾され、剣の柄には十字の紋が刻まれている。

「聖剣なんちゃらってのならいいな。つか、なぜ山の中の家にあるのか・・」

と心の中で思いつつ展開を考える。

「じゃあ、サ・ヨ・ナ・ラ」

シエラはそんなヤガミに目もくれず、ソレを放とうとする。

「・・っちょ!!マテ!!」

なんて言葉が無意識に出てしまう。





「はい」

「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

それは二人同時であったそうな・・。


「う・・・うそ?」

「な、なんだ?」

互いに把握に努める。


「ま・・・まさか・・?」

シエラが言うと、

「なんだ?どういうことなんだ?」

ヤガミが返す。

同時に、シエラは・・・

「おそらく主従契約が交わされたのかと」

律義に返す。

「はっ!!私は何を・・・?」

我に返り、

「殺す!!」

腕を振りかぶり、

「主従契約ってなんだ?」

ヤガミが返す。

「はい、主従契約とは稀に起こる現象で圧倒的強者による一撃で自身が敗北したとき、その相手を主人として従属し、逆らうことが出来なくなることです」

にこっと最後に笑うシエラ。

「魔神が従属とかありえないでしょ!!」

シエラが続け、

「とりあえず回復、あと、飯な、それに・・・俺を攻撃することは禁止」

さらっとヤガミが言い放つ。

「はい」

シエラは同時にお辞儀する。


なんか・・・よくわからないが


「銀髪美少女を俺の奴隷にしました」

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