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ピロリロリ
ポケットの小型端末が鳴り出す。
「お?」
「ん、俺のだ」
ポケットから端末を取り出し、画面を見る。
メッセージ受信
From:Unknown
場所は地図を参照されよ
第3者が見るとどう見ても怪しいメッセージが送られてきていた。
普通の人であれば無視するような内容である。が、再度端末をポケットにしまい立ち上がる。
「わり。急用ができちまったから先に帰るわ」
「例の仕事か?」
東も特別不思議がることは無くさらっと尋ねてくる。
それも当然だった。
同じようなメッセージは以前から届いている。東もそのことは知っているし、何よりこのメッセージ、任務依頼なのだ。
この街では数年前から時折異変が起こることがある。異変とは言ってもそれは人為的なもので、一般には珍事件と呼ばれている。その珍事件の捜査、解決が以来として届く。
今回は、不正に生体実験をしている連中がいるとのことで、その研究所を壊滅して欲しいとのこと。そんなことを高校生に頼むなんて世も末であるが、それはまぁ仕方ないとして。
「何で俺にくるのか……」
「信頼されてんじゃねーの?」
「それはどうだか」
荷物を整理し、立ち上がる。
「ま、何でもいいが気を付けてな」
「サンキュ。じゃ、また明日な」
ひらひらと軽く手を振り、教室を後にする。歩きながら再度端末を開き、添付された地図を確認。目的の場所はそう遠くないようだ。
校庭まで辿り着いたところで振り返ると、まだ教室に残っている東が手を振り見送っている。手を振り返し、目的地へ足を向けた。