1話 異世界召還
1話目です!よろしくお願いします。
僕、月波和馬は今知らない城の前の庭にいる。そして、これまた知らない人たちに囲まれてる。数は30人いるかいないか。どうしてこうなった!?
~1時間前~
僕は今から自殺する。通っている学校の屋上から飛び降りるのだ。僕は今までに世界からさまざまな拒絶を受けてきた。
まず家族からは、5歳になったころには既にご飯や洗濯などのことをしてもらわなくなった。それからは自炊の日々である。さすがに食費などの生活費は最低限だが貰っていた。
次に学校である。なぜかわからないが小、中、高の1年の2学期には会話してくれる人すらいなくなった。同じクラスの生徒が話しているのを聞いたのだが、僕が多重人格で片方の奴はとても暴力的で怪我をするらしい。たしかにいつの間にか、絡んできた不良たちが地面に転がっていたことがあるが、それを見られたのかもしれない。先生も例外ではない。授業ではできるだけ関わらないようにしているのがありありと見ることができる。
まぁもともと色々自殺する要因は確かにあった。それでも今までしなかったのは、祖母の存在である。5歳のころから家族が見向きもしてくれない中で、唯一僕が生活ができるように食事を作ったりしてくれた。それだけでなく、僕が自立できるように料理などの家事のやり方まで教えてくれた。あと僕は意外と二刀流とか格闘技っぽいことを祖母から教わり頑張っていたりする。かっこいいから。
その祖母が昨日死んでしまったのだ。この世にある唯一の大切なものをなくしたことで、自殺という選択に躊躇はなかった。
まぁこんなことがあって今(1時間前)自殺しようとしているのだが、自分の死を少しでも気にしてくれる人がいるのならと、遺書というか、僕の本心を残した。(プロローグ参照)ちょっと厨二病っぽいなとは僕も少し思ったけど、まぁこれから死ぬから関係ないか。
僕はフェンスに手をかける。下に見えるグラウンドでは部活をしている生徒がちらほらと見える。何人かはこちらに気づいて驚きの目を向けてくるが、そんなこといまさら気にしない。僕は自分で命を絶つことを選んだのだから。そして僕はフェンスから手を離し重力に身を委ねた。
~そして現在~
記憶を巻き戻してもやっぱり自殺した事実しか直前の記憶にない。でも状況を整理したことで少しだが落ち着きを取り戻すことができた。そのおかげで周りをはあくする事ができた。どうやら30人もの人はこちらに敵対する様子はなく疲労と安堵、そしてまるで喜びをかみ締めるような表情をしている。そんなことを確認していると、一人の杖を持った老人がこちらへ近づきながら声をかけてきた。
「:[fa@fla@p」
・・・・・・・・・・・・・・・・当然のごとく何を言っているのかわからない。
その後も何度か老人は話しかけてきたが、こっちが言葉がわからないというジェスチャーをすると納得したのか、いきなり杖をこちらに向けてきた。
「ぇ、え!?」
突然のことであわてたが老人の顔から悪意がないとわかったので、そのまま何もしないことにした。すると、
「よし、これでわかるじゃろ」
と老人が少し疲れた様子で声をかけてきた。こちらが驚く前に翻訳の魔法を使ったのだと教えてもらった。
ん、ちょっとまって?魔法?マホー?
「え、魔法とかって存在してるんですか?」
「そりゃあ、ココは剣と魔法で存在しているような世界であるからな」
ここで僕は理解した。自殺する前にたまに呼んでいたweb小説で同じような話を見たことがある。
「もしかして、僕って召還されたりしてます?」
「まあ、そうなるのかの。」
マジデスカ。
「そこらへんのことも全部まとめて王より話があるから、すこし付いてきなさい」
いきなり王様と対面ですか!ちょっと心の準備が・・・
これは世界のあらゆるものを見限った少年が異世界で一歩ずつ一歩ずつ他者に歩み寄っていこうとする物語のほんの始まりの1ページでしかなかった。
2話は王様に謁見するところからはじめます。