表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

壊楽ドラッグ

作者: ぐれー
掲載日:2014/07/19

 この世界は笑い続ける。


 ただひたすら楽しいから。



 数年前の科学者が作った薬は、無条件に楽しみを感じるものだった。



 それは瞬く間に世界中に広まった。

 人々は娯楽を必要としなくなった。


 争いはなくなった。

 ルールもなくなった。


 何もかもが楽しくて、何もかもが面白い。

 そんな世界に生まれ変わった。




 幼馴染はいつも元気だった。

 この薬で、世界がいい方向に向かうと聞いた時、幼馴染はとても喜んでいた。


 僕は、この薬を信用していなかった。

 その薬を使って感情を制御されてしまったら、今の自分が消えるのではないかと考えたからだ。


 その後に残る人格は別人なのではないか


 だから、僕は拒否した。


 でも、彼女は僕の意見を最後まで聞いて


「もしも、私がこの薬を使って、あなたの言う"別人"っていうのになったら。

 私のこと、嫌いになる?」


 僕は、嫌いになれそうになかった。



 翌日、彼女はその薬を服用した。


 僕のことが好きだと言った。

 周りにも僕のことが好きな人はたくさんいたから言えなかったらしい。

「でも、そういうのはどうでもよくなったんだ。

 今私は、あなたのことが好き。愛してる。

 私だけを見なくてもいい。私も見て欲しい。」


 僕は、そこから逃げ出した。

 彼女のことはもちろん好きだ。

 ただ、


 やっぱり別人なきがした。


 嫌悪感を感じた。


 やっぱり使う前と使った後では人が違うんだ。


 既に人じゃないんだ。





 精神異常者というレッテルを貼られて僕は病院に隔離された。

 どうやら彼らからしたら僕の頭はおかしいらしい。


「なぜ彼は楽しいと思わないんだろう?」

「頭が狂ってるから仕方ないよ。」

「薬を拒否するし、薬が入ってる食べ物も食べない。」

「あーあ、可哀想に。楽しいと思わない状態ってなんなんだろう?」



 楽しいと思わないわけじゃない。

 僕は人間だから、何かを楽しいと感じることもある。

 ただ、いつでも楽しいと思える生き物とは違う。

 僕は、正常な生き物で、楽しい時にしか楽しいと感じない。

 これが普通で、


 普通?



 僕はもう普通じゃない。


 僕はこの世界では異常だ。




 久しぶりに訪問者が来た。


 何年ぶりにあうかは忘れてしまったが幼馴染だ。


 僕としては気まずかった

 彼女は、薬の影響かそんな雰囲気は全くなかった。



「久し振りだね。」

 無言で俺は彼女を見る。


「私ね、まだあなたのことが好きなんだ。」

 顔を近づけてくる。


「あなたのニュースみるたび驚いたよ。

 歴代で最悪の殺人鬼、笑わない虐殺者、いろいろな名前がついたね」


 それじゃあ、僕のことを嫌いになってくれ。

 僕は、異常なんだ。



「どうやったら、幼いころみたいに一緒に過ごせるのかずっとずっと考えて、やっと思いついたの。」


 ぐいっと唇を近づけてくる。


 僕は、抵抗する気力もなかった。


 そのまま唇と唇をあわせて。

 されるがままに。

 その瞬間、彼女の口から液体を流し込まれていた。


 吐き出そうと思った時にはもう遅かった。

 飲まされた



「あなたも、私達と同じになればいいって」

 そう言い、帰っていった。


 彼女は、僕に薬を飲ませた。


 数分もしたら、薬の効果がでてきて、僕はこの世界の正常者になるだろう。


 僕は、正常になりたくない。



 正常になる前に、僕は、



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ