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第1話 ここはどこですか

 ………………と、いうことで…私はつまり死んでいるはず。


 だって、記憶がそこで途切れているから。



 



 なのに…何故私は、とても広い芝生の上で座っているのだろうか?


 さらに驚いたのは、私が制服を着ていることだ。


 服装が変わっていて、さらには病室ではなく右も左も何も知らない場所。


 


 ここは死後の世界だろうか?




 いや、ありえない。



 天国にしてはキラキラしていないし、かといって地獄のように不気味ではない。



 


 ――――――遠くの方に、大きな建物が見える。


 遠近法でもこんなに大きいのだから、間近で見たらもっと大きいのだろう。





 それにしても……久しぶりに日差しを浴びた気がする。


 地面の感触も、この生い茂る草も全てが懐かしい。


 病室では味わえない、小さな感動。



 嬉しさのあまり、私は思わず頬が緩んでしまう。





 そのせいで、何かが背後から近づく気配なんて全く気づかなかった。







「――可愛らしい侵入者ですね」




「っ!!?」






 急に背後から抱き締められた。


 逃れようと抵抗するが、全く効果がない。


 振り向けないが……声質的に、これは男だとわかる。



 それよりも私が気になったのは、侵入者という単語だ。



 冗談じゃない、私はこの芝生に座っていただけだ。






「は、離して!!私は侵入者じゃない!!」



「…おや、侵入者が自ら侵入者と名乗るはずが無いでしょう?

 貴女は随分とお茶目さんですね」



「お茶目…!!?」



「えぇ、そうです……

 あまりの可愛さに思わず食べてしまいそうになりそうなくらい、お茶目で可愛らしい…」








 男は私の耳元で、やけに吐息が混じった甘い声で囁いたので、思わず全身がビクッと動く。



 その反応を見て、背後の男はまるで私を玩具のように遊び始めた。



 片手で私のように動きを封じながら、空いた手を私の髪に絡めてくるくると弄ぶ。






 …………何がしたいの、この人。









「可愛らしい不審者がいたら、始末する前に遊ぶのがマナーなのですよ」


「え、心が読めるの?」



「…普通に声に出していました」








 …………私、本当にお茶目さんかもしれない…



 き、気を付けよう。





 そんなことを考えていたら、ふと男の手が止まる。








「……さて、遊び終わりましたし…」









 くるっと身体が反転し、慣れた手つきで男の膝の上に座らされる。


 ……行動は変態染みているが、男はなかなかのイケメンだった。



 しかし、この違和感は何だろう。

 

 私はこの男を知っている気がする。



 金色の綺麗な髪。

 

 服装は…若干乱れているが執事服だろうか?



 そして、じっと私を見つめる深紅色の透き通った瞳。

 

 ……外人か、コスプレイヤー……?



 男は私と目が合うと、まさに極上と呼ぶに相応しい笑みを浮かべる。









「そろそろ、死んでください」




「…ぇ?」








 カチャリと音がする。


 同時に私のこめかみ付近に、冷たくて硬いモノが当てられていることに気づく。



 これは―――――――拳銃だ。











「……う…ぁ……!!」




「………おや? とても怖がっているようですが…オレを騙すための演技ですか?」









 驚きと恐怖が入り交じり、まともに声がでない。



 そして私は演技ではない、本当(マジ)だ。




 お巡りさん、銃刀法はどうした。


 今すぐこの人捕まえてください。







「……本当に怖いなら、目を瞑っていてください。

 そうすれば全く痛くないですよ」








 男の笑みに、狂気が混ざる。


 ……怖い。



 どうして、私は死ななきゃいけないの?



 ここは死後の世界じゃないなら……


 一体、ここはどこ?










「…では、また縁がありましたら来世で逢いましょう」




「っ……や………!!」





「さような………………おや?」













 ふと、男の様子が変わる。


 拳銃を降ろして地面に置き、まじまじと私を……


 

 

 いや、私の後方を見つめている。




 ……助かった…?








 安心したのもつかぬ間、私は後方から聞こえた声に驚愕することになる。









「……彼女は、私の客人です」






「!!!!??」







 拳銃を向けられた時よりも、ずっとずっと驚いた。



 そして、言葉に驚いたわけではない。





 私は、後ろから聞こえた「声」に驚いたのだ。


 今まで沢山のゲームをプレイしていた、私が間違えるはずがない。



 ――――大好きな、声優の声を。




 思わず、バッと身体を無理矢理反転させ、後ろを振り向いた。






 そこにいたのは―――









「私はジョーカー……ようこそ、私の屋敷へ」










 そこにいたのは、私のやりたかったゲームのパッケージに写っていた《少年》だった。






...to be continued...

感想、誤字や脱字がありましたら教えてください!!


ここまで読んでくださり、ありがとうございました♪

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