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第51話 選ぶのは「私」

「さあ、お話くださいませ。

 ジョーカー様が居ないので、内容によってはオレが見逃すかもしれませんよ?」









 懐中電灯を持っていない手で口元に人差し指を当て、テトルフはまるで楽しんでいるように言う。


 ……一瞬、目が合った。









「それとも、このまま黙り続けてみます?

 ちなみにその場合は、少々お仕置きが必要になってしまいますけれどね」


「テトルフ……」


「そんな泣きそうな目で見つめないでください、お嬢様。

 オレだって胸が張り裂けそうなのですよ?」


「え?

 それってどういう――――」








 言葉の続きを言おうとしたが、止まってしまった。

 

 ――テトルフの表情から笑みが消え、僅かだが怒っているような雰囲気に変わったからだ。


 頼りになるのは、懐中電灯の光。


 その光のお蔭で表情や雰囲気が分かるけれど、今の状況では見えない方が良かったかもしれない。


 まだ、声だけなら……いつも通りのはずだから。



 そして、ゆっくりとテトルフは口を開く。


 やはりテトルフの口からは、いつも通りの優しい声が発せられた。









「お嬢様が汚れていないか(・・・・・・・・・・・・)を考えると、とてつもなく不安になるからです」



「っ……!!!!」








 いつも通りの優しい声だが、空気が張り詰めた。



 恐らく、それは感情を読み取ることが出来ないほどの無表情だからかもしれないが……。




 汚れるとは、一体何だろうか?




 首を傾げて少し考えたが、分からない。


 そうしている内に、テトルフは再び微笑みながら私達を見つめた。








「さて、そろそろ話していただいてもよろしいでしょうか?

 それとも、お仕置きをご希望ですかね?」



「……テト……あの、実は…………」









 ユキが決意したように口を開く。


 ……本当の事を話すのだろうか?


 それとも、嘘?








「あの部屋……ボク――――帰って、きた?」


「……え?」







 言葉が噛み合わない。


 あの部屋とボク……それから、帰ってきた……?



 私は理解できず混乱したが、テトルフには伝わったらしい。


 ちらりと部屋の扉を懐中電灯で照らし、目を細めた。








「おや、もう帰ってきてしまいましたね」


「もしかして、ジョーカーが帰ってきたの?」



「そうですよ。

 では、オレは一度ジョーカー様の元へ向かいましょうかね」



「…………テト……ジョーカー……言う?」









 話す前に言われてしまうのではないかと不安になったらしく、ユキはテトルフに質問をした。


 それに対し、テトルフは素早く首を振った。








「言うはずありませんよ。

 ジョーカー様は雇い主なので何よりも大切ですが、オレにとってはユキ様もお嬢様も大切な方ですからね」



「……ありがとう、テトルフ」


「いえ、当然ですよ。

 それはともかく……この話の続きは、後でお嬢様の口から聞いてもよろしいですか?」





「私?」









 ユキからではなく、私が?


 聞き間違いだろうか。



 しかし、テトルフは「そうです」と言ったので、聞き間違いの説は無くなってしまう。







「…………どうして……アスカ?

 ボク……駄目、なの?」


「ユキ様はこの後、ジョーカー様とお話する予定があります。

 たしか、お出かけの際に本を一冊ほど頼んでいましたよね?」



「そう、だけど……後で…………」


「実はその本、最近ジョーカー様がお読みになっている作品でして……是非、帰ったら語り合いたいと言っていました」



「…………む……テト、意地悪……」



「おや、オレのせいではありませんよ?

 タイミングが悪かっただけです」








 ユキが小さく頬を膨らませ、テトルフを見つめる。


 それを見たテトルフは一層楽しそうに微笑み、そのまま部屋の扉を開けた。








「それでは、そろそろ失礼しますね。

 ――お嬢様は自室にてお待ちくださいませ」



「うん、分かった」


「真実をお願いしますね、お嬢様」





 そう言った後、丁寧に一礼したテトルフは部屋から出て行った。


 

 ……ゆっくりとユキが私の手を離し、俯く。









「…………アスカ……」


「何、ユキ?」


「……言う……言わない…………アスカ、好きに……して?」



「――――どっちでもいいって事?」









 こくんと頷くユキ。


 本当に、私が決めてもいいのだろうか。


 






「ユキは、言ってほしくないんだよね?」


「…………あの場所、だけ…………良い」


「もしも、ユキが話していた事をテトルフに言ったら、どうなるの?」




「………………。

 早く、部屋……テト……待ってる」



「え、いや……っと……!?」










 意外と強い力でぐいぐいと背中を押され、二人で部屋を出る。


 ――――今、はぐらかされた……?



 私はもう一度質問をしようとしたが、ユキは早足で廊下を歩いて行ってしまう。









「……どうしよう……

 本当の事を全部言うか、それとも……」








 テトルフを、騙してみる?


 あまり考えたくない手段だが、その方がユキのためになるのではないだろうか。




 …………もしくは、あの空間の話だけを言う。


 こちらなら、まだ騙すよりはマシなはず。


 わざわざ道が隠されていた理由も、これを話せば納得できる。





 けれど、テトルフが最後に言った『真実をお願いします』の言葉も気になるのだ。


 何となくだが、包み隠さず話さなければいけない気もする。









 悩んだ末、私は…………






...#Select Episode#...


【全て正直に話す】


【嘘をつく】


【あの空間の事だけを話す】


...#Select Episode#...

混乱する方しか居ないはずなので、ご説明します。


今回から、お話に選択肢……[Select Episode]が追加されました。

略してSEモード。

選んだ選択肢によって、違ったお話が読めます。

けれどバッドエンド以外の終わり方は、ほぼ一緒です。

(例)

「選択肢Aを選び、読む」→「主人公はハルトとアイスを食べる」→「家に帰って自室で寝る」→「次話へ」

「選択肢Bを選び、読む」→「主人公はユキと本屋へ行く」→「家に帰って自室で寝る」→「次話へ」

「選択肢Cを選び、読む」→「バッドエンド」→「終了」



このような感じです。

バッドエンドでしたら、めげずに他の選択肢を選んでくださいっ。

そして、説明が下手でごめんなさい……。

あまりに下手すぎてよく分からない方が居ましたら、言ってくださいね。バシバシ説明します。

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