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第23話 『ノエル』①

 五月。


 ついに、交流会が始まる。








「――――――では、これより《第一回 交流会》を開催しよう」









 朝になり、私達は玄関ホールへと集合する。


 既にマフィアの人達は揃っていて、ジョーカーの宣言の下……スムーズに交流会が始まった。



 私がこの交流会で気を付けなくてはならない事は、主に二つ。


 一つ目は《ローズが私を始末(ころ)そうとしている》ので、それを全力で回避すること。


 二つ目は《マフィアメンバーのノエル》。彼女の事はまだ知らないけれど、油断はできない。










「「逢いたかったよ、おねーさんっっ!!!!」」


「おはよう、ライムとユウム。

 これからよろしくね?」


「「うんっ!!いっぱい楽しもうねっ!!!」」










 そんなことを考えていたら、マフィアのボスである双子―――――ライムとユウムが私の元へ来た。


 ……そうだ、暗いことばかり考えてはいけない。


 少しくらい、イベントを楽しもう。










「…………お嬢様、まさかマフィアとお知り合いだったのです?」


「……え? …あ……」








 テトルフが困ったように笑いながらそう言い、ようやくその言葉を理解した。


 辺りを見渡すとハルトやナツ、ましてやジョーカーでさえ私を見て、ぽかんとしているのだ。



 ……ちゃんと説明しなきゃ。










「実は――――――」



「おねーさんとは恋人だよ!!」


「恋人!!恋人っ!!

 僕達とおねーさんは恋人!!」



「こっ!!!??」










 あまりにも衝撃的な言葉に、声が裏返ってしまうほど驚く。


 ……いつから恋人になったんだ、私達は。



 双子の言葉を撤回しようとした時、私の前にジョーカーが現れた。









「……やあ、ライムとユウム。

 元気にしていたかい?」



「おはよう!!ジョーカーさん!!!」


「おはよ、おはよっ!!!交流会の間、よろしくね!!!」


「そうだ、屋敷の主とマフィアのボス……代表同士、よろしく頼むよ。」


「「はーいっ!!!!!」」



「……ところで、先程の発言は撤回してくれないか?」


「「??」」








 ジョーカーの言葉に、双子は互いを見つめ合って首を傾げている。


 しかしすぐに笑顔で首を振った。









「ううん、だって事実だもん!!!」


「そうだよ!!

 僕達はおねーさんが大好きで、おねーさんは僕達が好きだから恋人なんだ!!!」



「……君達は屋敷へ来る前の注意事項、読まなかったのかい?」


「「知らなーい!!!!」」




「…そうか、まだボスとしての教育不足で―――――――」


「はわわああああああっ!!!!!

 俺の教育不足ですごめんなさいごめんなさいごめんなさいっっ!!!!!!!」


「………少なくとも、君はもう少し大人の振舞いを身につけようか…」








 ジョーカーの呟きを瞬時に拾い、やけに大きな声と半泣きで謝罪するシーヴァ。


 謝られている本人は呆れた様子だが、シーヴァの謝罪は止まらない。


 しかし、それを見た双子は反省なんてしておらず、可愛らしく頬を膨らませる。







「僕達の会話邪魔しないでよ、シーヴァ!!」


「声が大きすぎて耳が痛いよ、シーヴァ!!」


「「シーヴァうざーい……!!!」」



「うう、ボスが悪いんですよっ……周りの目を見て、適切な発言をしなきゃ駄目ですぅ…!!!」









 …………シーヴァの言葉は素晴らしいほど正論を言ったけれど、泣きじゃくりながらだと迫力が薄いのは、きっと私の気のせいだろう。









「……まあ、後で私の部屋にて説明をしよう。

 ライム、ユウム、私に着いておいで」


「「はーい!!!またね、おねーさん!!!!」」


「う、うん、またね?」










 ジョーカーの後に着いていき、双子は嵐のように去って行った。


 ……さて、とりあえず先程の発言を撤回しなきゃ……









「あの、さっきのライムとユウムの発言は……」



「んー? だいじょーぶ、双子くん達はいつもあんな感じだからさ☆」


「アイツ等、自分の玩具や宝物は全部《所有物宣言》するからな」


「……双子………恋人、意味……知らない」



「皆さん、俺の教育不足で本当にごめんなさい……ううっ…ぐすっ……!!!」









 良かった、安心した……


 ……あれ?



 そういえば、ノエルは――――――――










「ん、なぁに?」


「っ!!!!??」








 背後から声をかけられ、ビクッと肩が動く。


 慌てて振り返ると、フリフリで可愛らしいゴスロリのドレスを着た女性がいた。


 写真で見た子と同じ、つまりこの女性がノエルだろう。










「今、ノエルの事呼んだでしょ? なぁに?」


「え、私は呼んでな……」



「お嬢様、声に出てましたよ」


「……あ……またやっちゃったのね…」








 テトルフが、私にこっそり耳打ちする。


 最近は大丈夫だったから油断してたけど、思っていることを口にするのはよくないことだよね。


 ……うん、気を付けよう。










「あ、分かった!!

 アンタ、自己紹介したいんでしょ?」


「へ? ……あ、うん、自己紹介したいなと思って呼んだの」


「やっぱり同じ部屋同士だからしたいよねー

 じゃあ、ノエルから自己紹介しよっと!!!」









 ノエルが楽しそうに笑う。


 ……明るくて可愛い…美少女……


 すごく友好的だし、仲良くなれそうかな?



 それとも、ローズのように………ううん、考えるのはやめよう。










「アタシはノエル!!!

 マフィアの中では幹部なのよ!!!!」


「私は波川 飛鳥。

 色々とあってこの屋敷に居るの」


「ノエル、知ってるよっ!!

 ここの主からの手紙に書いてあったけど、ゲームしてるんでしょ?」


「うん、そうだよ」


「こんな可愛い子が命の危険に晒されてるなんてさー……ノエルも最初の頃は怖かったなー……」



「やっぱり、マフィアの仕事って怖いの?」


「慣れちゃえば平気だけど……あ、続きはアンタの部屋で話しましょ。

 アンタの部屋ってどこなの?」


「あっちだよ。案内するね」


「よろしくー!!

 じゃ、シーヴァとか他の方々、また後でー!!!!」










 ヒラヒラと、ノエルと一緒に残っているハルト達に手を振り、この場から歩き去る。



 ……うん、今度こそ………この世界で初めての女友達ができるかもしれない。








...to be continued...

……ってことで、新キャラ【ノエル】が登場です。

主人公ちゃんもノエルの明るい雰囲気に満足そうですね。

ちなみに作者はノエルが大好きです。はい。


さあ、ノエルは果たして味方か敵か………

それは次回で明らかになる…はず……です。


(本編の短編集を作りました。甘い話やら季節物の話やらを更新していく予定です。頑張りますっ)

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