表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/63

第22話 決定事項

「―――――――反対だっ!!!!」









 暫く全員黙り込んでいたが、この静けさを最初に断ち切ったのは―――――ナツ。


 バンッと勢いよくテーブルを叩き、険しい顔でジョーカーを見つめる。



 その行動にジョーカーは少々驚いたような素振りを見せたが、すぐに首を振った。









「先程、決定事項だと言っただろう?」


「じゃあ、どうしてアイツの部屋にしたんだ?

 何かあってからじゃ遅いんだぞ!!?」



「ノエルは女性、それなのに男の部屋だなんて……可哀想だと思わないかい?」


「だったら他の女の部屋だ!!!

 メイド長なら監視には充分で―――――」



「――――――――決定事項、だと言っているのが分からないのか?」




「…………っち……」










 ジョーカーの言葉にナツが舌打ちをし、反抗するのを止める。


 ……私が、マフィアの人と同じ部屋…



 たしかにこのノエルと言う女性は二十歳だ。


 男性の部屋だなんて抵抗があるだろう。




 けれどローズの件もあり、少し不安になってしまう私がいた。










「………では、解散。

 明日からのイベントに備えて早く寝るように」










 言い終わる前にジョーカーが立ち上がって歩き出す。


 それを見たテトルフは、ジョーカーの後ろへ着いていき二人でホールから出て行く。



 一方で残された私達は、それぞれ違った行動をしていた。




 ハルトはニコニコと楽しそうに笑う。


 ナツは眉を寄せながら目を閉じている。


 そのナツを首を傾げながら見つめているユキ。



 ………兄弟だけど、全員バラバラだ。










「……………ハルト兄さん。

 質問、良い?」



「何だよ、ユキ」










 じっと見つめていたユキが、ナツに声をかける。










「……ナツ兄さん………ジョーカー…反抗、どうして?」


「あー…それか……別に、普通だろ?」


「はいはーいっ!!それは俺も気になりましたー!!!

 ナツがジョーカーに反抗するなんて初めてだしさ!!!!」



「うるせぇ!!

 そもそも原因はお前等だっ!!!」










 ナツが目を開け、ハルトとユキを睨む。


 ……恐らく、原因とは《今回来るマフィアが復讐狙いかもしれない》という内容だろう。



 もし彼等が復讐狙いなら、私はメイドとマフィアの両方から命を狙われるだなんて…








「…た…………さ…っ…」



「…あ? ユキ?」


「んー? ユキどーしたっ?」


「…?」









 ブツブツ、ブツブツとユキが俯きながら何かを呟き、全員が首を傾げる。


 やがて顔を上げ、ナツを見つめた。










「………絶対…渡さない……アスカ、ボクの…」


「っと…!!?」









 言い終わり、すぐにユキは横にいる私に抱き付いてきた。


 下から見上げてきた彼は、少し頬を膨らませている。



 ……可愛い。



 それを見たナツが立ち上がり、ユキを引き剥がした。










「…………む……ナツ兄さん、何…?」


「何、じゃねえぞ!!

 アスカに気安く触るなっ!!!」


「……アスカ、ボクの………ナツ兄さん、駄目」


「ハッ…最初から言ってんだろ? アイツは俺様の女だ」



「なーなー!!

 俺もアスカちゃんにゾッコンなんだけど―――――」




「うっせぇ馬鹿ハルト!!!」

「ハルト兄さん、うっさい…」




「ちょ、何で俺の扱いは酷いのっっ!!!??」


「まあまあ……

 というか、私の前でそんな話題しないで……恥ずかしいから」








 ナツとユキの言い合いに、笑顔で乱入したハルトだが二人に邪見されて挫折してしまった。


 ……うん、ハルトって長男なのに、何か可哀想なポジションだよね…。











「…………アスカ…駄目、だよ?」



「…ん? 何が?」










 頬を膨らませたまま、ユキが私にそう言う。


 ちなみに彼はまだナツに捕まっている。



 一体、何が駄目なのだろう?



 ハルトを同情したことだろうか…?










「……ボク以外、駄目………一番、好き…だよ?」


「っ…!!?」


「クスッ……真っ赤。

 アスカ、可愛い」



「―――――――ユキ!!

 お前は夜更かしをし過ぎだから、今日は早めに寝るぞ!!!!拒否権はねぇ!!」



「…む……っ…!!?」










 早口でナツがそう言い、ユキが何かを発言する前に走ってホールから飛び出していった。


 ……残された私とハルトは苦笑いを浮かべながら自室へ戻るため、立ち上がる。









「二人とも…なんか、うん……」


「ははっ、弟達は自我が強いからねー…

 お兄ちゃんも大変なんだよなー☆」


「色々な意味で大変そうだよね」



「…う、うん…っていうか……

 それ、扱いのこと言ってるよねー……?」










 さっきの事を思い出したのか、また挫折しそうになるハルト。


 …兄とは大変なものだね。色々な意味で。









「と、とにかく!!

 俺だってアスカちゃん大好きだから、これからも頑張るよっ!!!」


「………例えば?」



「んーと…美味しいモノとか?

 女の子が好きそーな低カロリーで美味しーモノ……いっぱい作ってあげる☆」


「あ、ありがとう」



「どーいたしまして、おっやすみー!!!」










 ヒラヒラと手を振り、ハルトがホールから出て行った。


 ……美味しくて低カロリー…なかなか魅力的な言葉だな…なんて思う。



 でも、今は食事の事ではなく目の前の難題を優先しなくては。






 《交流会》と《ローズ》…油断は禁物。


 どこで何をされるのかは分からないけれど、嫌な予感がする。


 ……いや、殺すって宣言自体が嫌なんだけれど。




 とにかく明日。


 明日からは五月だ。



 来月こそは《正直者》に関する有力な情報を得たい。



 私はそう思いながら、ホールを後にした。






...to be continued...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ