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第21話 交流会、前日の夜にて

 部屋に戻った私を、テトルフは複雑な表情で迎えてくれた。


 「どこに行ってたのですか?」や「首の痣は何ですか?」等と言われたが、今の私は彼をあまり信用できないので無視をした。


 それでもしつこく追及してきたが、この日の夜までは一切口を開いていない。





 ――――そして夜。


 普段から食事する際に利用している第一ホールにて、話し合いが行われた。


 話し合いのメンバーは、私とジョーカーとテトルフ…それからハルトにナツにユキの合わせて六人だ。



 大きなテーブルを皆で囲む。


 私の右にはユキ、左にはテトルフ。


 向かい側にはジョーカー。


 その彼を挟むように、ナツとハルト。



 集まってから少し経った後、ジョーカーが口を開く。









「………揃ったようだね?

 それでは《会議》を始めようか」










 全員が揃ったのを確認し、ジョーカーがそう言う。



 ……会議?


 一体何の会議だろうと疑問に思っていると、ハルトが手を挙げながら私よりも先に質問をした。








「はいはーい!!

 しっつもーん!!!」


「何だい、ハルト?」



「今回の会議ってー、まさかアレ?」



「そう、アレだ」




「……アレって何?」










 アレとは何だろう?


 私が首を傾げていると、ユキが私の服の裾を引っ張った。










「……アレ……交流会………だよ?」


「交流会?」



「明日からの……いえ、五月の行事です。

 行事予定表とやらの紙には名称しか書いてませんし、分からないのも仕方がないですね」









 テトルフが聞いていたのか、補足説明をしてくれる。


 そういえば、あの年間行事表には『第一回交流会』としか書かれていなかった。



 ということは、今回の会議はその交流会の事らしい。










「アスカ、説明が長くなるけれど聞いてくれるかい?」


「うん、聞く」



「まず、交流会とは……一年に二回行われる行事だ。

 期間は月末までという長いイベント。この期間中、交流相手には私達の屋敷に滞在してもらうことになっている」


「誰となの?」



「毎年変わっているが今年は、とある大規模組織の数人だよ」



「大規模……」









 ――――――五月。



 私がこの世界に来て、約一ヶ月が経過している。


 未だに誰が《正直者》かだなんて確定できる情報は無く、進展はほぼ無い。



 そんな状況で起こる、このイベント。


 さらにローズが『五月中に私を始末』宣言。











「………その大規模組織って?」


「この前のお客様ですよ。

 屋敷へ来た日にそこのボスは死んでしまったようですがね」



「縁起悪いよなーっ!!!

 まるで俺達が犯人みたいじゃん?」






「………勘違い……恨み…復讐狙い、かな?」










 ハルトが笑いながら言った内容は、ユキの言葉によってかなり重いものへと変わり、全員が黙り込んでしまう。



 この屋敷へ来た後に死んでしまった、ボス。


 部下の中には、勘違いをして私達に恨みを抱く者もいるかもしれない。



 そういえば、そのマフィアには双子がいた。


 やけに私に懐いていたけれど、実は復讐狙いの可能性も………いや、流石に考えすぎだよね。




 


 ……いや、待って……復讐?



 まさか、ローズが五月中と発言したのは……










「―――――――巻き込み?」



「……お嬢様?」


「え、あ…………ううん、何でもない」










 テトルフが私の呟きを聞き、首を傾げたがすぐに否定する。


 そうだ、巻き込みだ。



 マフィアが滞在中に、もしも私が死んでしまったら?


 ……疑われるのは、ローズではなくマフィア側。



 今日中に分かるというのは、この事だったのだろう。










「ふむ、それでは一応警戒をしつつイベントを楽しもう」



「俺、超不安ーっ!!」


「ハッ、馬鹿ハルトはそんな簡単に死なねぇって」


「ナ、ナツ!!!

 一応俺、お兄様だからね!!!??」


「……はいはい、分かったっての……お兄様?」


「すっごーく、棒読みなのが気になるんだけどっ!!!!」



「……私の間で騒ぐのは止めてくれないかい?」









 ハルトとナツが大声で騒ぎ始める。


 どこからどう見ても弟であるナツが優位に立っているのは、きっと気のせいだろう。


 そんな二人に挟まれるジョーカーを見て、何だか同情したくなった。










「ジョーカー様、ハルト様とナツ様の騒ぎは置いておき……そろそろ本題に入りましょう」



「……そうだな、テトルフ。

 この会議の本題に入ろうか」



「ほーら!!ナツのせいでジョーカーに見捨てられたぞーっ!!!」


「ハルトが悪ぃんだろ? 俺様は悪くねぇ」










 ……まだ言い合いは続いているが、気にしていない。










「――――――さて、まず……これが今回のお客様のプロフィールだ」



「……これが?」










 ジョーカーがパチンと指を鳴らすと、全員の手元に数枚の紙が現れる。



 紙には顔写真と名前が書かれただけの簡単な内容だった。










「ボスのライムとユウム、その補佐であるシーヴァ、そして幹部のノエルだ」









 双子やシーヴァは見たことがあるが、この黒髪の女性――――――ノエルは初めてだ。


 桃色の瞳に、艶やかな黒い髪のツインテール。


 写真だけでもハッキリと分かる、可憐な容姿。



 いくらゲームだからって……この世界の女性は、何故こんなにも魅力的なのだろうか。











「では、部屋割りを発表しよう」



「部屋割り?」




「いくら交流会だからとはいえ、油断はできません。

 このメンバーの部屋に彼等を入れることで監視ができるということですよ」


「…テトルフ……つまり、この中の誰かと暫く一緒に住むってこと?」



「はい。

 ……と言っても、マフィアだなんて危険な方々はお嬢様の部屋に割り当てられないと思いますがね」









 部屋割りを発表される前に、テトルフが私に説明してくれた。


 ……嬉しいけれど、彼は私に………



 ――――いや、考えるのはやめよう。



 

 今はこのイベントに集中しなくては。











「………まず、双子はボスとして私の部屋。

 そして補佐は暗い所や怖い人が嫌だということで、ハルトの部屋だ」



「泣き虫君は俺の部屋だね、りょーかいっ!!!」


「……ボク…双子、希望……駄目?」



「駄目だよユキ、これは決定事項なんだ。

 そしてノエルは―――――――――――アスカ、君の部屋だ」





「っ!!?」










 その言葉に、全員が目を見開いた。








...to be continued...

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