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第18話 新しい服と執事

 午前六時。


 ナツの薔薇園をしっかりと堪能した後、私は自室に戻って着替えを始めた。




 そう、この前ナツに買ってもらった白いワンピースを着るために。


 勿論テトルフから受け取ったブローチもつける。










「……肩が少し、スースーする…」







 膝下まである、長いロングワンピース。


 服を見た時には何も感じなかったが、いざ着てみると予想以上に肩が出ていることに気付く。



 まあ、外は少し暖かいし………


 このくらいが丁度いいのだろうか?










「うん、慣れるまでの辛抱かな」










 着なれない服だからこその感覚。


 ちょっとずつ、慣れていこう。



 そう決心した時、私の部屋のドアがコンコンとノックされる。










「どうぞ?」


「失礼しま………おや、それは…」










 ガチャリと音を立てて、部屋に入ってきたのはテトルフだ。


 恐らく、起こしに来てくれたのだろう。



 彼はじっと私を見つめたまま、黙り込んでしまった。


 ……まさか、似合わないのだろうか…?










「………テトルフ? あの…」



「……っと…すいません、あまりにもお嬢様が素敵すぎて見とれていました」


「!!?」









 暫く黙っていた執事に声をかけると、少し驚いたような声で返事をした。


 その返答のせいで、私は彼以上に驚いてしまう。



 それに気づいた執事が、すぐににっこりと紳士的に笑った。










「…もしかして、照れてます?」


「違う……急に言われたから、ビックリしただけで…!!!」



「照れているお嬢様も素敵ですね…食べてしまいたいくらいですよ」


「食べ……っ…!!!??」










 とんでもない発言に、目を大きく開ける。


 やがてゆっくりとした足取りで、彼は私の前まで歩き寄ってきた。



 ニヤニヤと楽しそうに笑うテトルフ。


 何となくその顔が見たくなかったので、私は背を向けた。










「……おや、こっちを見てくれないのですか?」


「み…見ない」



「残念です……もっとアスカお嬢様の顔を見ていたかったのですが………

 あぁ、それと…」










 テトルフが話している最中、ふわっと肩に何かを被せられた感覚がした。


 これは一体、何だろうか…?



 気になったので手を伸ばし、肩に被せられた物を掴む。



 私の肩に被せられていたのは、真っ黒なジャケットだ。











「………これは…」



「…部屋に入った時から、僅かにお嬢様の肩が震えていたので……

 嫌、でしたか?」







 振り返ると、いつもの黒いジャケットを着ていないテトルフが首を傾げながら私を見つめていた。



 何となくだが、その表情は少し暗い……気がする。










「う、ううん…

 嫌じゃないけど……テトルフは寒くない?」



「オレですか?

 ……いいえ、寒くはないですよ」










 私の言葉に、テトルフは安心したように微笑みながら首を振る。



 ………本当に平気なのだろうか?










「…では、朝食まで時間はありますし……

 厨房から温かい紅茶を持ってきましょうか?」



「やっぱり寒いの?」


「いえ、オレはお嬢様の身体のコトを心配してます。

 すぐに戻ってきますので待っててくださいね?」









 深々と一礼し、テトルフは私の部屋から出ていった。



 残された私は一度ベッドに腰掛け、暇だったので何となく彼のジャケットを見つめることにする。





 漫画やアニメで見るような、普通のジャケット。


 よく見ると、内ポケットに妙な膨らみがあることに気付く。




 『好奇心は猫を殺す』ということわざはあるが、私はどうしても気になってしまったので中身を取り出すことにした。





 中には――――――――拳銃と、透明なビニールに入った二つのカプセル。










「この拳銃は、あの時の……」









 《あの時》とは、私が初めてこの世界に来た時のことだ。



 背後からテトルフに抱きしめられ、挙句に拳銃を突き付けられ………




 もしも、ジョーカーが来なかったら…私はゲーム開始前に死んでいた。










「……考えるだけでも、ゾッとする…」









 これ以上考えたくないので、そっと内ポケットに拳銃を戻す。


 次は、このカプセルだ。



 見た感じは、恐らく普通の薬。


 具合が悪いのだろうか?









「でも、具合が悪そうには見えないよね……」









 一生懸命考えたが、思い当たる節が無かったのでこちらも内ポケットにしまう。



 ………再び、暇になってしまった。










「――――早く来ないかな、テトルフ」









 私は小さく欠伸をし、彼が戻ってくるのを大人しく待つことにした。







...to be continued...

わあ…アンケート、ご協力ありがとうございます!!

《未記入可》ですが、コメントまでいただけるなんて……嬉しすぎますっ…!!!


ナツくん人気ですね…俺様&気遣いの力って凄い……(((

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