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vm11 2015年Jリーグ完結について

 まずは事実確認から。サンフレッチェ広島はチャンピオンシップでガンバ大阪を下し、二年ぶりの優勝を決めた。そこで漂ったのは嬉しいって以上に安堵感であった。下克上とかやられなくて本当に良かった。悠宇も渡海雄もいっぱい喜んだ。


「サンフレッチェ強かったわねえ!」


「本当にねえ! 良かったよ。昨日の試合も」


「二試合連続で出だしはガンバのペースかなってところだったけど、途中交代で浅野や柏が出てくると局面が変わって素晴らしい結果を残してくれて」


「ガンバとしても先制点まではプラン通りだったんだろうけどね。特に昨日の試合は一点だけじゃ足りないからずっと攻めなきゃいけなくて、当然疲労も溜まっていたし」


「そこでスピードのある浅野は、相手にとって本当に嫌な存在でしょうね。試合中でもサンフレッチェの適当なクリアと思いきや浅野のスピードによってあわやディフェンスライン突破のチャンス演出になったり」


「でもガンバもやっぱり強かったよね」


「そうよね。お互い実力ある同士がその力を尽くしたからこそ素晴らしい戦いになったわけだし、結果として勝者はサンフレッチェでガンバは二位に終わったけど、それは決して劣っていた事を意味しない。勇ましかったわ。しかしあれはもう一週間前の土曜日になるのね。浦和とガンバによって行われたチャンピオンシップの初戦。こっちもいい試合だったわね」


「睨み合いのような前半を経て後半開始直後に先制ゴールを決めたのは今野。しかも浦和のパス回しのミスを逃さないという抜け目のないゴールだったね」


「でも浦和も交代策が実って途中出場のズラタンが同点のヘディング。ここから後半終了までは浦和優勢に見えたけど、GK東口中心にしっかりと守り切ったガンバがどうにか延長戦まで持ち込んだって感じだったわ。後半ラストプレーとなった武藤のヘディングとか、何本かこれが決まってたらって場面があったけどガンバはよく失点しなかった」


「あれはかなり強烈なシュートだったよね。コースは正面だったけど勢いで押し切るパターンもあったかも。東口がうまくセーブして、あれもポストに当たってたよね」


「しかし延長戦では浦和のスタミナが切れてしまったみたいね。特に痛々しかったのが関根。前半からアグレッシブに飛ばしてて良いチャンスも多く作ってただけに、もうまったく走れなくなっている姿は涙を誘ったわ」


「ガンバも完全に穴として認識してたよね。そして勝負を決めるゴールは、あれもとんでもなかったよね」


「ふふっ、確かに。丹羽のバックパス、何で浮かすの!? と思ったら案の定東口の頭の上を通り過ぎて行って、そのままオウンゴールかと思いきや東口決死のジャンプのお陰でちょっとコースが変わっててポスト直撃。でもそこからのカウンターは見事だったわね」


「うん。ポンポンポンとパスが回って一瞬にしてゴールからゴールへ。そして藤春のボレー。よく入ったなあというまさに芸術的な一撃。ネタとガチが混交してどうすればいいのか分からず、とりあえず笑ったなあ」


「遠藤のパスが特に決定的だったわね。そして試合終了間際、遠藤のまるでアメフトのサインプレーみたいなピンポイントのフリーキックが抜け出していたパトリックへピッタリ通る。これがとどめの三点目となってガンバ勝ち抜け確定。ただガンバにとってはただでさえ中三日なのに延長は嫌だったでしょうね」


「でもモチベーションは高かったろうね。二位からも結構差がある三位だったし負けて元々、一発逆転狙ったるわ! 的な」


「それに来年からは新スタジアムになるから、そういう意味でも勝ちたいという気持ちはかなり高かったでしょうね。でもそこに立ちはだかるのは年間勝ち点一位のサンフレッチェ。この水曜日の試合も前半は様子見だったけど、後半に入ってからガンバ前線の守備がやけにアグレッシブに見えたから、正直嫌な予感はしていたわ」


「それが、あんなミスを拾われての失点に繋がってしまって」


「うーん。でも流れとしてはガンバだったし、結果的にはしょっぱい失点となったけど遅かれ早かれ取られてたでしょうね。ただ後半三十分を過ぎた辺りから一気に試合のボルテージが上がって、ここからがまさに本番だったわね」


「ガンバ途中交代のパトリックが遠藤のフリーキックを頭で合わせたけど外した場面とか危なかったよね」


「浦和戦の三点目を彷彿とさせるパターンで冷や汗ものだったわ。あれ決まってたら二点差でかなりきつくなってただけに、運命を左右する一撃だったと言えそう。でも直後の攻撃で浅野が持ち前のスピードを見せて、シュートは惜しくもポストだったもののこぼれ球を拾った柏の強烈なキックをドウグラスが頭で軌道修正してゴール! 柏のあれはどう見てもシュートだったし、ドウグラスはよく反応したものよ」


「でも喜んでたら即今野に決められて」


「あれは結構絶望的だったわ。まだ流れはガンバなのかって。でもあのボレー、よく弾道を抑えてて上手いゴールだったわね。その後ガンバはしっかり守ってて、サンフレッチェは攻めあぐねていたように見えたわ。結果的に試合を大きく左右するターニングポイントとなった清水のドリブルも、それが行われた時は正直行くあてのない無謀な特攻としか思えなかったから」


「でもあのプレーがファールで止まった時、いきなり激高したガンバの呉が清水を押してしまい一発退場。あれが後半四十分とかだっけ。あれが本当に大きかったよね」


「一体何があったのか知らないけれど、あれは手を出した時点でもう負けよね。レッドカードはやむなしだったわ。呉は浦和戦から守備で効いてたから、そういう意味でもリードを守りきりたかったガンバのプランは大きく狂ったはずよ。残り五分とアディショナルタイムって、短いようで案外色々出来るものだから。そして後半アディショナルタイム突入直後、フリーキックを直接放り込んでくるかと思いきや青山へパス」


「ああ、あれは凄かったね! 僕もかなりびっくりしたから。えっ、そう来るんだって。空間がスローモーションになったみたいだった」


「見ていた私達と同じく虚を突かれたみたいでマークがずれたガンバ守備陣の隙を逃さず佐々木のヘッドで同点。それ以降の時間帯は完全にサンフレッチェペースでガンバとしては守りきれるかってところだったけど」


「もはや数秒の猶予もないという土壇場で今野のスローインを森崎兄が強奪して、青山とパスを回しつつ三人目の途中出場選手だった山岸のクロス。これをドウグラスが反応するも吹かした。でも浅野に渡ってシュート。弾かれる! しかし最後は柏!!」


「ああっ! 一の矢二の矢が不発に終わってもさすがサンフレッチェとはよくぞ名づけたもので、柏が放った三本目の矢がついに青と黒の壁を打ち破る大逆転ゴールとなったわね! 直後に試合終了。サンフレッチェとしては最高すぎる展開で第一戦を奪い取ったわ!」


「今思い出しても血沸き肉踊るこの感動! 本当に劇的で、サッカーの醍醐味だったよね。基本あんまり点が入らない競技だからこそのドラマ!」


「そして昨日の第二戦は広島で開催。前半のうちにまたしても今野に決められたけど慌てなかったわね。後半勝負でチーム全員がまとまっていたみたい。と言うか今野チャンピオンシップで三得点は凄い。守備的な選手なのによくぞここまでという勝負強さだったわ」


「今野は怖かったね。それと遠藤がボール持ったらやっぱり雰囲気が違うなって感じ」


「代表常連クラスの選手はガンバのほうが多いからそう思えるのよね。でもサンフレッチェだって立派な選手は多くて、そして勝負を決めたのは浅野だったわ。柏のクロスから見事にヘディング。威力が特別強いわけじゃなかったけど吸い込まれるように同点ゴール! ガンバは二点以上取るしかなくなったからロングボール多用で攻めたけど所詮は付け焼き刃の単発的なアタックの連続。これをきっちりと弾き返して、結局一対一のドローでサンフレッチェ優勝確定! シャーレをゲットしたわ」


「おめでとう! 本当におめでとうございます! それにしてもこれで四年で三回優勝だから、もう黄金時代到来と言い切っていいんだよね」


「これはもう間違いなく黄金時代そのものよ。森保監督、選手、フロントやその他クラブ関係者全員で勝ち取った日本最強の称号は誰にも誇れる素晴らしい勲章よ」


「そして今、来年のJ1最後の枠を決める戦いが繰り広げられているね」


「それとJ2最後の枠もね。今さっき終わったんだけど、J3との入れ替え戦は町田が勝ったわ。これで大分の降格は確定したから」


「ああ、大分……」


「先週の試合でも見事に逆転されて二人退場と、もうチームがバラバラだったけど今日もPKという千載一遇のチャンスを外してしまい、逆に町田はPKをきちんと決めて。J1経験あるクラブがJ3に参戦は初めての事態。しかも大分はJ1でタイトル獲得経験もあるし」


「それがまさかこんな事になるなんてねえ」


「まあ経営的には相当無理に無理を重ねていた末の栄冠だったと言うけど、寂しい話よね。天皇杯取った事のある新日鐵がJSL末期に二部からも陥落したのが、日本においては一番類似したケースかなってところ。新日鐵はその後消滅してしまったけど、大分はどうなる事やら」


「恐ろしい事だよね。でも同時に町田J2確定なわけだから、こっちに関してはちゃんとおめでとうって言わないと」


「そうね。以前J2にいたけど一年で降格ってあったから、町田にとっては単なる昇格ではなく復帰となるのよね。J2から下に降格したところが戻ってくるのは初のケースで、どこまでやれるかお手並み拝見よね」


 このような事を語っていたのはJ3との入れ替え戦とJ1昇格プレーオフまで一時間ほど間があるちょうどその時間であった。いよいよ試合というところで敵襲を告げる警報が鳴り響いたので二人はげんなりしつつも、勝負結果がグラゲによってチャラにされるなんて馬鹿らしい事はさせるかと意を決して変身した。


「ふはははは、俺はグラゲ軍攻撃部隊のオサガメ男だ! この汚れた星にもグラゲの大いなる文化を植えつけねば」


 銀色に沈む冬の波が打ち寄せる海岸に出現したやたらと巨大な男は宇宙の海を駆け巡るハンターでもある。しかし地球が彼に狩られてはならないと、それを止める二つのシルエットが堤防に姿を表した。


「待て! お前たちの思い通りにはさせないぞグラゲ軍!」


「その邪悪なる野心を即刻捨て去りなさい。そうすれば戦いなんていらなくなるのだから」


「ふん、出たなエメラルド・アイズ。この星がお前たちの墓標だ。さあ行け、雑兵ども!」


 打ち寄せる波のように出現した雑兵を渡海雄と悠宇は勢い良く平らげた。そして残る敵はただ一人だけとなった。


「後はお前だけだなオサガメ男。観念しろよ」


「どっちが上等とか下等なものを感化させようじゃなくて、違う文化ならそれを尊重するぐらいじゃないと」


「ふん、お前たち如きの文化など文化と呼べぬわ。だから叩き潰す。それだけだ!」


 もはや聞く耳持たず。オサガメ男は懐から取り出したスイッチを押して巨大化した。渡海雄と悠宇もそれに対抗すべく、合体した。


「メガロボット!!」

「メガロボット!!」


 巨体の割に意外と素早く、しかも力強い動きで迫るオサガメロボットだが悠宇が持ち前の反射神経をフルに発揮する事でどうにか受け流して、ようやく背中を取った。


「よし、今よとみお君!」


「うん。メルティングフィストで勝負だ!」


 そのタイミングを逃さず、渡海雄は素早く朱色のボタンを押した。プラズマ超高熱線によって極限までヒートした右の拳が皮膚装甲に覆われた甲羅を突き破った。


「ぐおお! この力は!? ふん、感化はまたの機会に譲るしかないか」


 機体が爆散する寸前に作動した脱出装置によってオサガメ男は深海よりも深い宇宙の彼方へと去っていった。これで安心してプレーオフの結果に一喜一憂出来る。二人は喜び勇んで家へと戻った。


 セレッソと福岡の決戦。順位が上だったのは福岡だったけど会場は大阪というちょっと変なシチュエーションだったが、完全に中立な立地となるとやはり簡単には行かないものがあったか。今年の場合は、偶然にも九州四国近畿が集ったため地理的には広島がバッチリ中立地だったが、さすがに昨日の今日でそれは無理だったか。


 J2にないって点では、案外名古屋あたりとか。磐田が近いけど別の県でもあるわけだし。それか関西でも長居じゃなくて神戸あたりとか。まあ今更言う事でもないけど。さて、試合はと言うと後半にセレッソ玉田が見事なゴールを決めた。しかし後半四十分を過ぎてから福岡の中村北斗がゴール。これもまた見事なゴールで、今日この瞬間に賭けるハートがこもっているようであった。


 もはや攻めるしかないセレッソは最終局面のフリーキックでGKも上がったが功を奏さず、ついに同点で試合終了。福岡昇格決定となった。会場の件などでヒールっぽくなってたセレッソは誠にお気の毒だが、結果的に言うと一位二位、そして三位が昇格と非常に順当だったと言える。


 井原監督は就任一年目から大仕事を成し遂げた。J1のチャンピオンシップも森保監督VS長谷川健太監督とドーハ世代が指導者として活躍しており、まあ二十年も経てばそんなもんだろう。コーチ経験も長く満を持しての就任だったけど、開幕三連敗から立て直した手腕は見事だった。


 これで今年のJリーグは終わり。後は天皇杯と、何とクラブワールドカップに広島出場決定というサプライズイベントも。まあ頑張って。

今回もまとめ

・サンフレッチェ広島優勝本当におめでとうございます

・スタメンはもちろん途中交代選手が活躍する層の厚さがあまりに嬉しい

・クラブワールドカップは日程きついしまあそこそこ頑張って

・アビスパ福岡と町田ゼルビアもそれぞれ昇格おめでとうございます

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