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hg21 SUPER BEST TRY TO REMEMBERについて

 ゴールデンウィークは概ね晴天に恵まれた。一部雨も降った日もあったが、毎日晴天が続くわけでもないし雨がずっと続くわけでもない。四月は雨が多かったが桜の葉がエネルギッシュなグリーンを定着させた五月ならば同じ轍を踏む事はないと信じている。


「それにしても五月で三十度突破はいささかやり過ぎだと思うよ。ここ数日は本来の日差しに戻ったけど」


「確かに。日差しももう春を通り越して夏の雰囲気さえあったわ」


「でも夏ってもっと暑いんだろうなあ。まあ今はまだ海に飛び込みたいとは思わないからな。そう考えるとまだ春なんだろうなって思うよ。それで今回は『SUPER BEST TRY TO REMEMBER』。ご存知の事態もあった事だし、一九八七年から一九九四年、七人の光GENJIが出した全てのシングル曲を収録したベストアルバムだよ」


「ふうん、ベストアルバムねえ。でもこの間の『HEART'N HEARTS』もシングル曲収録でベストアルバムみたいなものだったでしょ? 間隔早くない?」


「早いね。『HEART'N HEARTS』に収録された以降のシングル曲は三曲しかないんだから。でもまあ、メンバー脱退したらベストアルバムぐらい出したくなるでしょ。結果的には『HEART'N HEARTS』が出た直後に脱退が決まったからあっちのベストアルバム的側面が中途半端になったけど、今となっては関係ない話。むしろ今の目で見ると『BEST FRIENDS』の存在意義がちょっと怪しくなってるほうがね。収録曲全部被ってるし。イントロ長くなってるとかアウトロがフェードアウトだったものがきっちり演奏で終わるようになってるとか、多少アレンジ変わってる曲もあるとは言えね」


「ああ、そんなベストもあったわね。あれが一九九一年までのシングルだっけ?」


「記憶力いいね。その通りだよ。そして今回のベストはその時期も含めたオールタイムのシングル集だから実に三枚組となってるんだ。さらにメンバーのデビュー当初からこの時期までの写真を集めたフォトクリップも付いてる。今までのシングルジャケットの衣装をひとまくり出来るよ。こう見るとやっぱり『笑ってよ』の衣装は最悪だね。それとアベレージで言うと一九九二年は全体的にいい感じとか、見えてくるものもあるよ」


「そして肝心のCD本体は、一枚目はデビューの『STAR LIGT』から『荒野のメガロポリス』のカップリングである『PLEASE』まで。二枚目は『little Birthday』から『リラの咲くころバルセロナへ』まで。そして三枚目が『Meet Me』から最新曲までとなってるわね」


「でも『この秋‥ひとりじゃない』まではすでに触れているから、その次からってなるね」


「その次って言うと、これね。『BRAVO! Nippon ~雪と氷のファンタジー~』。ううん、凄いタイトル。作詞平井森太郎、作曲馬飼野康二、編曲小西貴雄」


「タイトルは本当にねえ、御し難いと言うか何と言うか。でもこれも全てはタイアップの存在ゆえ。平たく言うと『リラの咲くころバルセロナへ』と同じ枠。これは発売が一九九四年の一月って事からも察しがつくように、リレハンメルオリンピックのキャンペーンソングなんだ。シングルのジャケットもスキーウェアっぽくてウィンタースポーツ感全開でしょ」


「おお、リレハンメルオリンピック! 原田選手が大失速したあの大会ね。そして『がんばれ! ニッポン!』キャンペーンのアドバイザリースタッフであるらしいメンバー七人のルックスも全体的に良好」


「まあこの時期にそうそう外れはないよ。そして楽曲はと言うと、馬飼野らしい王道的メロディーと小西による打ち込み主体のスピード感あるアレンジが合わさってエネルギッシュかつクールさも兼ね備えたかなりの名曲。つまり格好良いんだ。Bメロのシンセのテンポとかね、それとアウトロはサビを繰り返しながらフェードアウトするんだけどそこに絡むコーラスの声が荘厳な冬の風を思わせて、そこもいい。前回と違って歌詞に地名や現地語による演出もないし、かなり普遍的な名曲なのにこのタイトルがねえ。さすがにきついよ。『光GENJIで一番好きな曲は?』と聞かれて『BRAVO! Nippon ~雪と氷のファンタジー~』って口に出して答えるのは。でもこれは客観的に見ても全シングル中三本の指には入るのは間違いないよ。だからこそなおさらタイトルがねえ」


「でも『雪と氷のファンタジー』って感じの曲ではあるし、これはこれでいいんじゃない? カップリングは『君は世界を夢見て』。作詞作曲タケカワユキヒデ、編曲小西貴雄」


「こっちはバラード。冬の澄んだ空気を思わせるイントロがまずいいよね。歌詞は遠くで戦っているらしい君にエールを送るというもので、まあ『I'LL BE BACK』と同じ枠だけど、あっちみたいながっつり歌い上げる感じとは違ってサビでしっかりコーラスしてたりと力強さに加えて綺麗さもあるね。とにかくどっちの曲でも張り詰めた冬の空気を打ち込み主体のサウンドで見事に構築した小西の活躍が大きいね」


「次は四月に出た『ヨーソロー! 未来へよろしく』。作詞松井五郎、作曲後藤次利、編曲根岸貴幸」


「ヨーソローってのは直進を意味する航海用語。長渕剛の『Captain of the Ship』とか印象的だよね。タイトルはやや奇抜だけど曲自体は平凡で、シングルの中では一番フックがない。今までだと『GROWING UP』なんかパワー不足だったけど、爽やかさにパラメータを全部振ったような徹底ぶりはあれはあれで個性になってた。でもこれは、あえて言うと『二人だけの旅』みたいな薄味具合。特にイントロはもっとガツンとしたフレーズ入れても良かったと思う。いや、暗闇の中の一番星って感じでそこそこ情緒はあるけどね。歌詞は未来への希望をポジティブに歌ってるけどアルバイトとか現実的な単語も入っている。それと照明の関係なんだろうけどジャケットのメンバーの顔が貧相に見える」


「顔の線がよく出てる感じね。カップリングは『僕らのREASON』。作詞森田由美、作曲編曲水島康貴」


「これまた地味な曲。コンサートを舞台にした物語という歌詞は新機軸だけど、メロディーもアレンジも薄い。その割に五分超えてるし。そこそこいい曲だとは思うけど、灰色基調のジャケットが悲しいぐらいイメージと合ってて、ちょっとパッとしない二曲だったね」


「そして七月に発売された、七人で最後の曲となったのが『TRY TO REMEMBER』。作詞松井五郎、作曲清岡千穂、編曲米光亮」


「本当にこれで最後なの? と思わせるアップテンポの曲調なんだけど結構強引に哀愁成分をぶち込んでくるのが印象的。唐突にリズムが変わったり、そして今までの楽曲のフレーズを採り入れた間奏など、どこか過去を思い出しているような翳りが見えるのは印象的。ジャケットも夕陽を浴びた七人と言った雰囲気だけど、これらを総合すると確かに『これで終わりなんだな』と納得の曲ではあるね」


「カップリングは『LUNAR PARK-GO-ROUND』。作詞森田由美、作曲石田正人、編曲新川博、コーラス編曲曳田修、鈴木弘明」


「この曲がカップリング曲では一番好きだな。基本的には賑やかでポップな曲調ではあるんだ。メンバーのソロパートを回していくような歌割りも『三日月の夜に…』的にワイワイやってるみたいで楽しそう。でもね、賑やかであればあるほど逆に切なさを醸し出す作りとなっているんだ。歌詞はセンチメンタルの極致。遊園地に仮託してこんなに楽しい日々はいつまでも続かない、それどころかもう今日を限りに終ってしまうとさえ言ってるけど、それが何を意味しているかはまあ言うまでもないでしょ。その上で、特に諸星ソロパートなんかは完全に泣かせにかかってて、術中にはまってしまうよ。イントロの切ないキーボードのフレーズが二番終わった後にまた使われてるところとか編曲も非常に良い。作曲の石田は一九八九年『IF WORLDは信じない』以来の提供でブランク長いけど、ストックだったのかなあ。とにかく、この夕暮れを思わせる二曲で大沢と佐藤寛之は光GENJIから脱退してしまうんだ。そして光GENJI SUPER 5に。ああ、ついでに彼らのシングルもまとめようか。もちろんこのベストアルバムには収録されてないけどどうせすぐ終わるから」


「それでいいと思うわ。十月に発売された五人体制でのデビュー曲は『Melody Five』。うわあ、そのまんまなタイトル。作詞松井五郎、作曲太田美知彦、編曲井上日徳」


「コミカルにさえ感じるパワフルさが印象的な曲。太田はSUPER 5になってから絡み始めた人だね。デジモンとかアニメ系の仕事が多くて、こういうロック調の曲はお手の物って作曲家だよ。タイトルとも絡む歌詞に関しては、つまり五線譜の事だと言いたいらしいね。ジャケットはメンバーのルックスはいいけどポーズが空気椅子っぽくなってて微妙」


「カップリングは『JOYFUL RHAPSODY』。作詞松井五郎、作曲土橋雅樹と岡崎敏之、編曲米光亮」


「岡崎は土橋と同じバンドにいた、いわば盟友と呼べる存在。メンバー五人が掛け合いしてるみたいな出だしが印象的だけど、こういう夜の街の華やかさをざっくりとした雰囲気で歌ってるのは今までにあまりなく、大人びた雰囲気が面白いね。曲自体も結構ダイナミックに色々なメロディーが飛び出すし」


「次が『DON'T MIND 涙』で、そして早くもラストシングル。一九九五年の八月に発売された『Bye-Bye』。またそのまんまなタイトルを。作詞松井五郎、作曲和泉一弥、編曲水島康貴、コーラス編曲岩田雅之」


「うん、まあそのまんまだよね。吹っ切れたような爽やかさが印象的で『TRY TO REMEMBER』と比べても『これで最後ですよ』って感じが明確に伝わってくる曲調。そしてこの爽やかさは岩田のコーラスによるものも大きいように思えるよ。岩田はジャニーズで言うとむしろSMAPや嵐と言った光GENJI以降のグループにおける活躍でよく知られているけど、最後の最後で光GENJIとも絡んでいたんだ。それと嬉しいのはここに来て和泉一弥の曲がシングルに採用された事。ずっといい曲を作り続けてきたからね」


「そしてカップリングは『レディーはそよかぜ』。作詞作曲タケカワユキヒデ、編曲SORA」


「なぜか赤坂のソロパートが延々続くけど、基本的には爽やかで悪くない曲だよ。歌詞はあんまり最後って感じじゃないけど。編曲のSORAってのはグループなのか個人なのかも知らないけどアコースティックなサウンドが特徴。とにかく憑き物が落ちたような二曲続ける事によって前向きな別れを強調しているね。ジャケットはそれぞれ異なったデザインの白い衣装を着ているけど、他四人は凝ったデザインなのに諸星だけ長袖シャツとサンダルで明らかに安っぽいのが気になるね。ジャニーズ離脱は決まってたから嫌がらせでもしたのかなと勘繰ってしまうよ。そう考えるとジャケットの構図も旅立つ諸星を見送る四人に見えてくるし。もっとも、二十年経った今では他に二人離脱者が出てしまったわけだけど」


「ジャケットの裏側には歴代シングル曲がアルファベットで書かれてて、まさにラストシングルね」


「これで光GENJIのシングルは全部触れた事になるね。基本シングルはオリジナルアルバム未収録だから8cmシングルをこつこつ入手するかベストアルバム購入する必要があるけど、一番大きいベストアルバムが今回のだからこれを見つけたらさっさと回収するのがいいよ。なおSUPER 5のシングルは『DON'T MIND 涙』は忍たま関連のアルバムに、『Bye-Bye』は解散後のベストに収録されてるけど『Melody Five』だけは完全にアルバム未収録。それとカップリング曲はベストアルバムでもほとんど救済されていないから、やっぱり中古で8cmシングル集めるのが王道にして正解だと思うよ。大丈夫、『Melody Five』もそんなに高くつかないはずだから。これで千円とか値段付けてるのは相当足元見てるからスルーで良し」


 このような事を話していると敵襲を告げるサイレンが鳴り響いたので二人は素早く変身して敵が出現したポイントへと急いだ。


「ふはははは、私はグラゲ軍攻撃部隊のモウコノウマ女! この星には野獣しか住んでいないようだから迅速に正しい形に修正せねばな」


 連休明け、人気の去ったアスファルトの上に出現したのは現存する唯一の野生馬として知られる動物を模した女であった。でも本当に野生の種はもはや絶滅しており、動物園などで飼育された個体を野に放って再野生化の試みもなされていると言う。彼女も元はグラゲ本星にルーツを持たないが飼い慣らされた家畜のような存在なのかも知れない。しかし地球にとっては危険なのは言うまでもない。


「出たなグラゲ軍! お前たちの野心が尽きるまで僕達は何度でも戦うぞ!」


「もはや侵略などはやめて生きる術はないと言うの?」


「ふん、畜生以下の分際で何をほざくか。行け雑兵ども! 逆臣ネイにたぶらかされた者共の首を掻っ切れ!」


 どこからともなく大量に出現した雑兵を渡海雄と悠宇は片っ端からやっつけた。そして残る敵はモウコノウマ女だけとなった。


「雑兵は片付いたな。後はお前だけだモウコノウマ女!」


「馬は本来臆病な動物だと言うわ。あなたも自分の心に素直になれば本当は戦う必要なんてないんじゃないの?」


「黙れ! 戦わずして逃げ帰る事など出来るかよ。蹴散らしてくれるわ!」


 そう言うとモウコノウマ女は懐から取り出したスイッチを押して巨大化した。話が通じる相手は少ない。今回もまた戦わなければいけないのか。しかしそうと決めたらやり抜くしかない。渡海雄と悠宇も合体した。


「メガロボット!!」

「メガロボット!!」


 モウコノウマロボットの力強い打撃攻撃には難儀したが悠宇がうまく致命傷を回避しつつチャンスを窺った。そして一瞬の隙を狙って組み伏せる事に成功した。


「よし、今よとみお君!」


「ゆうちゃんナイス! この距離ならランサーニードルで勝負だ!」


 渡海雄はすかさず黒いボタンを押した。胸から腹部に備え付けられたニードルが至近距離にいるモウコノウマロボットの胴体を貫き、無数の風穴を開けた。


「くっ、ここまでか。残念だが退くしかない」


 モウコノウマロボットが爆散する寸前に作動した脱出装置によってモウコノウマ女は宇宙へと戻っていった。後三四回で光GENJIネタも終焉を迎えそうだ。シングルは全部紹介してアルバムは後二つ。それに映像作品や書籍もまとめる予定。夏にこそ終焉はふさわしいものなのかも知れない。思えばそれはもう二十年前の話となる。

今回のまとめ

・ルックスも楽曲も良好なのにメンバーの結束はその反対となっていたのか

・「BRAVO! Nippon ~雪と氷のファンタジー~」はタイトル以外最高

・「LUNAR PARK-GO-ROUND」も歴代最高クラスの楽曲

・シングル曲はシングル盤をあさるのが結局一番いい

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