am12 スーパーロボット大戦αについて
内々の話になるが本小説の話別のアクセス解析を見るとなぜか第21部分がよく閲覧されているらしい。これはここ最近増えてきたというものではなく結構前からそういった傾向があって、それが今もずっと続いている。「am08 ウィンキースパロボの終焉について」などと名付けられている章だが、文章を読み返しても言うほど大した事が書かれているわけではないので理由はよく分からない。Fが人気なのか、終焉とか無駄に大袈裟なタイトルぶち上げたのが良かったのか。
ただ最後露骨に次回へ続くような締めから続きが書かれていないのは不誠実なのでそれをどうにかしようと思い至った。幸い最新作の発売が迫っているという時分もあり久々に熱気が高まってきたし。
「昨日の、見た? 黒田のピッチング」
「うん、見た見た。圧巻だったね。あのヤクルト打線も物ともしない盤石さ。さすがに違うなあ」
「オープン戦もようやく勝てたし。やっぱり勝ち負けは気にしないって言ってても本当のところでは気にしてしまうものね。それと土曜日にはサンフレッチェの開幕戦もあったわね。そして見事な勝利! 特に一点目の佐藤寿人のゴールは最高だったわ」
「これぞ佐藤寿人という抜け出しからの見事なゴールだったね。そして後半には新加入のドウグラスがコーナーキックから強引にねじ込むように二点目。あんなパワフルな選手とは知らなかった。そしてこっちも強引にねじ込むけど昔延々とウィンキーソフト時代のスパロボについて話した事もあったけどあれの続きをしたいなって思うようになったからするね」
「うわあ、全然話がつながってないわ。それにもう昔の話だから何がどうとか忘れちゃったわ」
「うん。まとめるとね、一九九一年にシリーズがスタートしたスーパーロボット大戦は着々と歴史を積み重ねてきたけど開発していたウィンキーソフトがゲームハードの進化に取り残されていき、ついにはリストラとなったと。これが概ね九十年代の流れ」
「そんな流れだっけ」
「そして二〇〇〇年に発売されたのがスーパーロボット大戦α。これは発売していたバンプレストの子会社が開発したもので、要は自分たちの手でスパロボを作るようになったんだ」
「ふうん。それが今から十五年も前の話なのね」
「このαはね、ウィンキーソフトのスパロボが枚数を重ねるに連れて生まれていた『まあこんなもんだろう』というマンネリ感を吹き飛ばし、新たなる風を吹き込んでスパロボをよりメジャーな舞台へと押し上げた功労者なんだ。だからソフトの売上はスパロボシリーズ全体の中でトップだったはず」
「それは凄いわね。で、具体的にはどこが凄かったの?」
「まあ色々、と言いたいところだけどまず参戦作品が今まで以上に豪華だって事が一番のトピックスとなるんじゃないかな。マジンガー、ゲッター、ガンダムのいわゆる御三家は当然として、エヴァとかダイターン3、超電磁系にダンバインなど印象的な作品は概ね参戦しているんだ。Gガンダムとかグレンダイザー、それにエルガイムやザンボット3など参戦していない作品もあるけど全体的に見るとここまで揃った作品はそうなく、非常に華やかな雰囲気を醸し出しているんだ。そしてマクロスシリーズという大物も新規参戦で加わったんだ」
「マクロスシリーズってどんな作品?」
「まず一九八二年に超時空要塞マクロスというアニメが放送されて人気を博したんだ。それっぽいデザインの戦闘機がロボットに変形するリアル感と、アイドルが登場して色恋沙汰に力を入れた作風が当時では新しかったんだ。今でも新しい作品が生まれたりするロボットアニメ界の一大勢力だけど、それゆえに昔は『スパロボに出したい』とお願いしても拒否されたとかあったらしいんだ。それがついに参戦したという事で話題にもなった」
「それは凄いわね」
「そして一番進化したのは戦闘アニメーションである事はもはや論を俟たないところ。今までみたいに固定したポーズから無理にライフルやサーベルを持たせて、みたいなのではなく何もない状態からちゃんと動いて武器を取り出すとかね。平たく言うとよく動くようになった。当時のインタビューではドローメですら動く、みたいな言い回しをしてたんだ。ドローメってのは勇者ライディーンに登場する敵でゲームでもHPが低い雑魚として知られていたけど、そういう雑魚にも手を抜いてないという宣言だね。しかもその上でカット出来るようになったんだ。これは決定的な進化だよ」
「頑張って作ったのにカット機能もあるの?」
「頑張って作ったって事はそれだけ長くなるって事だからね。SFC時代の簡素なアニメならまだいいけど、PSの時代になってそこそこ凝るようになって台詞も入って、テンポ最悪だったじゃない。どうでもいいような雑魚の攻撃を延々と見せられるのは大変だからね。そういう煩わしさからおさらばとなったというまさに革命的進化。と言うかむしろ今までが怠慢すぎたんだけど」
「プレーヤーとしては確かにカットされたほうがいいわね」
「他にもマップが立体化したりとか、熟練度という選択肢によって増減して難易度とか隠しユニット入手出来るかが変わる概念が導入されたり、やたらと多くのユニットに分離機能が装備されてたり。今までは例えばコンバトラーVとかダンクーガとか、原作中で合体と分離を普通にこなしてたような機体には採り入れられてたけどαではモビルスーツとかマジンガーZといった、ロボットとコクピットが分離してるタイプの機体でも分離出来るようになったんだ」
「へえ。でもそんな機能いらなくない?」
「確かにいささか勇み足だったかもね。ただαの特徴といえばね、こういうのをやりたいんだ、自分たちで作っていくんだという熱気があふれているところだと思うんだ。多少の無理は承知の上ってところでしょ。他にもパイロットのグラフィックがインターミッション用のバストアップとマップで用いられるのと二つあって、後者は原作でパイロットスーツやヘルメットの類を装着してロボットに乗ってたキャラクターはそれを再現してたりね」
「今までは同じ作品でもヘルメットしてる人はしてるししてない人はしてないって感じだったものが統一されたわけね」
「大雑把に言うとそう。もっとも作中における必然性は皆無だし無駄と言えば無駄だけど今までとは違うものをという意欲が感じられるので嫌いにはなれないな。まあ他に滑ってる要素も結構多いんだけど」
「滑ってるって、例えばどんな?」
「その辺がαの功罪ってなるからね。まず今まで出た中では熟練度は熱意は買うものの空回りしてたと言わざるを得ないよね、残念ながら。熟練度の高い低いがシナリオとも連動する部分があるんだけど、スタッフの想定したシナリオに沿った選択肢を選ばないとやたらと熟練度が減る仕様はちょっとどうかと思うよ。例えば敵が一騎打ちを申し込んで味方が受けたというシナリオの中で一騎打ちを受けた味方以外が敵に攻撃したら熟練度ダウンみたいな展開があったけど、こういうのなら納得なんだけどね。選択肢の正解不正解をスタッフが握ってると思わせるやり方はきつい。他には一部オリジナルキャラを頑張らせすぎたのも不評だったね」
「オリジナルキャラが?」
「αはオリジナルキャラも多数登場しててね、サイバスターとSRXにαオリジナルと言える主人公もいるんだ。で、サイバスターは比較的地味だけどライバルであるグランゾンは頑張りすぎたと思うな。そしてSRXに至っては、一体何であんな事になったのか。そもそも機体からしてださいんだし素直に三枚目の脇役に収まってればいいものを無理して悲劇的かつ壮大なバックグラウンドを用意したものの、見事に滑った。そもそもSRXをプッシュする流れは新からαの間にも色々あって、それらは悉く評判悪かったんだけど一番注目を集めたこの作品でもやらかした事によって悪評が決定的になったと言えるんだ。それとサウンドトラックも凄かったなあ」
「サウンドトラックって、BGMが何かまずかったの?」
「いや、BGM自体はいいんだ。まずαのサントラは三枚出てて一枚目がサイバスターなど魔装機神、二枚目がSRX、三枚目がαオリジナルの歌が収録されてるんだけど、これが曲者でね。元々はBGMだったものに無理やりそれっぽい単語を連呼するだけの歌詞を付けたものだからクオリティは概ね低い。堀江美都子の歌唱を持ってしても、と言うか堀江美都子がうまいからこそ歌詞の薄っぺらさが際立つ『鋼鉄のコクピット』とかね」
「前の『嵐になれ』と同じ現象ね」
「確かに『嵐になれ』とは似たような無理してるよね。そして特にネタにされてるのは串田アキラが歌った『TIME DIVER』、通称串ダイバー。格好良いイントロから歌い出しで愕然、串田の野性味溢れる歌唱と楽曲が見事なミスマッチを起こしている珍品だよ。でも許容範囲内の曲もあるよ。『ICE MAN』とかサビでいきなりキーが下がるのが気持ち悪い印象を残すけど全体的にはなかなか。それにヤンロンやテュッティの曲も個人的にはあり。間奏に挿入されるドラマパートがきついけど。ゲーム自体に話を戻すけど、ラスボスも評判悪かったね」
「まだあるの?」
「うん。このユーゼスってラスボスこそ熱意を込めすぎて空回りした象徴みたいなものだから。とにかく強くて、その上陰謀にも長けてて作中で起こった異変は全部ユーゼスの仕業だったという展開。で、そんな周りを踏み台にしまくる強敵に勝てるのはSRXだけと言わんばかりの流れにげんなりしたファンは数知れず。スパロボって色々な作品のファンが好きな作品のキャラが活躍するのを楽しむってのがベースなのに本来は接着剤みたいなものだったオリジナルばっかりがでしゃばりすぎるとはっきり言って邪魔だからね。そう言えばαの世界観を作るために色々な作品の設定を繋ぎ合わせた年表があったけど、あれも力入れた割に効果の薄かった代物だったね。作ってるうちは楽しいけどどうせ無理が出るものなんだから、むしろスカスカでファンの想像に任せるぐらいが一番だよ、年表なんて」
「色々と問題もあった作品なのね」
「他にも主人公とパートナーの恋愛ポイントで貯めればエンディングが変化するはずがバグでバッドエンドのほうしかならなくなったり説得しても仲間にならないキャラがいたり、一体何なんだって仕様も多い。ただ遮二無二規模を大きくした成果もあってオールスター感はかなりのもの。それと難易度は低い。と言うか味方の攻撃力が高すぎでラスボスも一撃で倒せるというバランスだけど、それはそれでありかもというエネルギッシュな作品だからギリギリセーフかな。イベントは結構熱かったり、隠しユニットもやたらと多くてやりがいはなかなかあったね。派手かつ王道の金字塔として完成したαは前述の通り売上もかなりのものだったから続編も作られ、シリーズ化したんだけど、ちょっと時間がなさそうだね」
唐突に話を打ち切る渡海雄。何だと思った悠宇だが間髪入れずに敵襲を告げるサイレンが耳に届いたので納得した。素早く変身して敵の出現したポイントへと走った。
「ふはははは、俺はグラゲ軍攻撃部隊のサクラエビ男だ! 邪魔立てする奴らは散らしてやろう」
人気のない公園に、桜の季節には一足早いが出現したサクラエビ男。そしてまもなく公園は盛況となった。
「出たなグラゲ軍! お前たちの思い通りにはさせないぞ!」
「今日も天気は良くないけど頑張らなきゃね。グラゲ軍は変な考えを即刻捨てなさい」
「出たなエメラルド・アイズども。今日がお前たちの命日だ! やれ雑兵!」
大量に出現した雑兵を蹴散らし、残るのは渡海雄と悠宇、そしてサクラエビ男の三人だけとなった。
「よし、後はお前だけだなサクラエビ男!」
「季節外れの桜はさっさと散ってしまうものよ。あなたも星へ帰りなさい」
「お前たちを殺さずしてどうして星に帰られようか。まだ戦いは終わってないのだからな」
そう言うとサクラエビ男は懐に隠し持っていたスイッチを取り出して巨大化した。やはり今日も戦いを止める事は出来なかったようだ。渡海雄と悠宇も合体してそれに対抗した。
「メガロボット!!」
「メガロボット!!」
巨体同士の取っ組み合いは、悠宇のいなしが決まってサクラエビロボットの体勢を崩した。そう言えば春場所も昨日から始まった。鶴竜休場は残念だが、悠宇は昨日の相撲を見ていたので反射的に相撲技を組み込んだのだ。
「よし、とみお君チャンスよ!」
「おう! ならばドリルキックで勝負だ!」
渡海雄はすかさず青いボタンを押した。両足がドリルに変化して突撃し、サクラエビロボットの胴体を貫いた。
「ぐわあああ、ここまでか!!」
機体が爆散する寸前に作動した脱出装置でサクラエビ男は宇宙へと戻った。今日は雨で明日は雪などという予報もあるが、気にしない。太陽が雲に覆われている日もそんなに長くは続かないだろうから。
今回のまとめ
・スパロボαは肩に力の入りまくった作品だった
・それがはまったり滑ったりしているが何より力強さがあるのが良い
・これを書いた後で熟練度はFにもあったと初めて知ったけど別にいいか
・串ダイバーって笑ってると飲み込まれる魔曲でもある




