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vm06 2014年のJリーグについて

 日本列島を寒波が襲った週末に開催された今年のJリーグラストマッチ。新潟の試合は積雪によって中止になるし、広島でもスタジアムが白く染まっていた。一年間の締めくくりにふさわしい師走の決戦は、概ね予想通りの展開に落ち着いた。


「ガンバが優勝したけど正直微妙な試合だったわね」


「そうだねえ。でも徳島もいくらぶっちぎりで降格するからって見せしめのようにボロ負けしなきゃいけないってルールがあるわけじゃないからね。今年ずっと厳しかったけど意地を見せてもいい頃合」


「徳島は守備をよく頑張ってたわね、あの試合は。これをずっと出来てれば、と言いたいところだけど攻撃力も不足してたから難しい話よね」


「確かに純粋に駒不足だった印象だよね。やっぱりJ2ではある程度やれたメンバーもJ1では力不足という現実があって、補強も少なかったからね。でも思えばガンバも去年はJ2だったんだよね」


「まあ実力がなかったわけじゃなくてフロントの迷走が直撃したタイプだから。まったく無能だったセホーンからクラブを代表する選手だったけど指導者としては若くキャリア不足の松波監督という奇っ怪な人事。ただ毎年この手のミスはどこかで繰り返されてて、今年はセレッソの番だったわね」


「確かに今年のセレッソは酷かったね。フォルラン獲得とか派手に動いてたけど足元があそこまでふらふらだったとは」


「ただやってるサッカーは降格やむなしの酷いものだったわね。特に守備が脆いの何の。印象的だったのは残留争い直接対決だった甲府戦。甲府のFWにはサンフレッチェにも所属していた盛田剛平。ああ、この選手も味のあるキャリアを持つ選手だけど、とにかくこの長身FWを甲府がどう使うかなんて明白なのに注文通りのやられ方をして守備が決壊する様はあまりにも無残だったわ。それと降格が決まった鹿島戦の一失点目もゴール前で相手をすっかりフリーにしてて、色々と崩壊しているのは明らかだったわ」


「結果論で言うとポポヴィッチ監督のままだと降格までは行かなかったのかな。それでも期待外れの成績とは言われてただろうけど。ペッツァイオリ監督はリーグ戦でまったく勝てずにあっさり解任。そしてユースから大熊監督を引き上げたこの時点で『多分降格するんだろうなあ』って思ったけど、やっぱり浮上する事なく落ちてしまったね」


「フォルランは一応チーム最多得点らしいけど終盤はベンチ入りすらままならず、シーズン途中に獲得したカカウも出ればなかなかの結果を残してたけどこれもきっかけにはならず。ユース出身選手に期待するのは分かるけど、でも彼らとて実力が十分とは言い難い」


「なまじ『今年は行ける』と思ってた分、色々おかしくなったみたいな?」


「そうね。ポポヴィッチ監督が残してた程度の成績では納得出来ないのは当然で、解任自体はある程度やむを得ない面もあったけど、そこからさっさと現実路線で経験豊富な監督でも招聘してたらまた違ったのかしらね。アルゼンチン人代理人の言葉を鵜呑みにしてこれまで結果を残してきたブラジルルートを破棄した社長とか、内部には色々なゴタゴタがありそうだからそれを一掃しない限りは不安定なままでしょうね」


「そして大宮も降格。ずっと二桁順位ながらも十年もJ1に居残り続けたけど、ついに力尽きてしまった」


「十年もトップリーグにいながらその場凌ぎを繰り返すばかり。最高順位が十二位で毎年のように降格かとささやかれながらも親会社の資金を当てにした監督交代や力のある外国人補強といったカンフル剤のお陰で秋から調子を上げて残留というパターンを続けてきたわ。去年は序盤好調だったけどまったく納得出来ない理由で監督解任して、その前後から猛烈な勢いで順位を落とした流れが今年にも影響したって感じね」


「確かに去年の流れは不可解だったね」


「結局大宮がこの十年で積み重ねたのは『大宮は十年J1にいた』という記録だけだし、この降格を魅力のあるチームを作るきっかけに出来れば初めて大宮アルディージャというクラブに意味が生まれるんじゃないかしら。基本的には降格なんてしないに越した事はないんだけど、大宮に限っては落ちて良かったと思うわ」


「そして同じ埼玉の浦和は二位。ペトロヴィッチ監督自己最高順位おめでとうございます!」


「こらこら皮肉が過ぎるわよ。でもまあ、さすがに今年は浦和優勝だろうと思ってたけどまたしても終盤に失速してしまったわね。最後の三試合の内容も、勝てば優勝決定というガンバとの直接対決ではチームの意識統一に失敗して敗北。鳥栖戦では後半アディショナルタイム最後のワンプレーとなるコーナーキックを決められて同点。そして最終節の名古屋戦では得点をオフサイドにしてもらうという浦和有利な判定がありながらみすみす失点して逆転負け。ガンバは徳島を攻めあぐねて引き分けだったから、もし勝ててたら優勝だったのにみすみす敗北するあたりが浦和らしいわ」


「でもさすが浦和、早くも来シーズンの補強についての情報がバンバン出てるよね。それで石原取られるらしいけど」


「石原はね、年齢的にもそろそろいい年だし、そもそも移籍してきた選手だから。いい時期を共に過ごせたのは幸せだったわ。去っていくのは残念。だけど来る人もいるんだから、前向きな別れといきたいところよね。それにしても浦和、補強するのは当然の事だけどいい加減結果を残さないと恥ずかしいだけよね。逆に言うとどんなえげつない補強をしようが勝てば官軍なのはこの世界の常識だけど、これで八年連続無冠だったかしら? あんな国内では最も人気もある金もあるってクラブがここまでタイトル獲れないってそれこそ世界中のどこにもない浦和だけの個性と言えそうね」


「でもまあ、タイトルって時の運みたいなところもあるからねえ。広島も去年と一昨年はそれに恵まれて連覇を達成してしまったけど今シーズンは八位に終わったし」


「そうね。いい夢だったわ。でもあの頃のメンバー、戦術ではこの辺りがゴールってところよね。選手は人間、当然衰えもあるし若い選手や移籍加入した選手の力がそれまでの選手より上ならポジションは奪われるし、それに移籍でいなくなる選手だっている。戦術だって、当然相手は対策を練ってくるし、その精度は時が経つほど上がっていくのも必然。じゃあそろそろ転換しようかって過渡期よね。それをうまくやれたら本当に洒落にならないレベルの名将だけど」


「今シーズン加入した選手では柴崎とか柏はよくやったよね。林もよくやったけど前任者が西川で、それと比較するとさすがにねえ。それとルーキー皆川も一時期はよくやってた」


「でもやっぱり皆川が日本代表選出ってのは異常だったわ。それにしてもアギーレ監督、八百長問題に絡んでややこしい事になってるみたいだけど大丈夫かしら。皆川に話を戻すと、石原も移籍するでしょうしチャンスはあるだろうから、それを活かしてもっともっと成長してくれないと。それに野津田や浅野あたりもね」


「ベテランの力があるうちにそういう若い選手が台頭してこないと苦労するからね。チームとしてはある種の正念場」


「佐藤寿人も相変わらず二桁得点を奪ったけど全体的なパフォーマンスで言うと次を明確に考える必要がある時期になりつつあるのは確かだし、森崎兄弟なんかは更にその先に進んでいる感じがするわ。連覇組から若手へ、どれだけうまくソフトランディング出来るかはフロントと監督の手腕って事になるだろうし、頑張ってほしいわね。しかし勝てる時に勝ってくれたのは幸いよね。連覇なんてそう見られるものじゃないから。しかも広島市を本拠地とするクラブ。夢から醒めてもその余韻はきっと覚えておきたいものよね」


「うん。ところでJ2も昨日ようやくJ1昇格をかけたプレーオフが終わったね。まず先週行われた一回戦ではリーグ四位の磐田と六位の山形が対戦。そして決勝点は後半アディショナルタイム、コーナーキックの際に上がってた山形のGK山岸がヘディングシュート決めて決勝点というとんでもない展開で山形が勝利」


「あれは本当にすごい光景だったわ。あれが成功したの初めて見たわ。それまでは同点でそのままなら磐田だったけど、ううむ、まさに奇跡的な展開」


「でも磐田は残念な結果に終わったね。監督解任で名波就任というカンフル剤も虚しく」


「途中までは良かったけど対策されて勝ち点が伸び悩むって展開はありがちだけど、そこからもう一歩踏ん張れなかったわね。J2降格した二〇〇三年のサンフレッチェも序盤は連勝街道一直線だったものの途中からは本当に苦労したわ。ただ果敢な補強などが功を奏してどうにか一年で復帰出来たとの事よ。もしあそこで残留してたらクラブの歴史は変わっていたでしょうね、相当悪い方に。二回目はあっさり行けたけど、あれとて一回目の経験がなければああはならなかったでしょうし」


「ガンバとかFC東京に柏。いや、実は神戸が一年で復帰出来てるから簡単なものだと思っちゃうのかもね。でも実際は結構難しいと」


「磐田はここからが大変よ。一発だけなら誤射、じゃなくて一年だけなら『タイミングが悪かったからやらかした不幸な事故』と理解されるけど二年目となると『ああ、こいつら単純に弱いだけだ』という認識に変わるからスポンサーからの予算は減るし、愛着や責任で残った力ある選手も『現役でいられる時間は短いんだからいつまでもJ2では』って事で次々と移籍するようになる。補強出来る選手もだんだんしょっぱくなる。間違いなく戦力ダウンする中で名波監督はどれだけやれるか、いきなり正念場よね」


「そして昨日の決戦は山形とシーズン三位の千葉が東京の味の素スタジアムで対戦したけど、山形が見事に勝利」


「うん、何となくそんな予感がしてた人も多いはず。しかし山岸が見事なセーブを連発するなど勢いがあったわね。千葉はこれで何年目だったかしら。もうすっかりJ2の牢名主よね。もはやJ1でタイトル獲得したクラブがJ2に複数在籍しているのは当たり前。来年は混戦になるかもね」


「そして一位昇格は湘南。これはまさに圧勝で、凄かったね」


「いきなり連勝街道まっしぐらで瞬く間に独走していったわね。まずやりたいサッカーがはっきりしているのが強みよね。チョウ・キジェ監督を中心によく戦えている。去年はJ1にいたけど一年で降格。しかしその原因は単純に選手に力がなかったからであってサッカーのスタイルは継続すべきだと、まあ信念よね」


「思えば一昨年は二位で昇格して、同じサッカーをずっと続けてたから次は一位ってところまで思いを至らせるべきだったかな。そして二位には松本山雅。こっちは初昇格」


「長野県の一部ではかなりの人気を誇るクラブで、J2に昇格する前からそこそこ知られてはいたけどこんなに早くJ1への挑戦状を手にするとはね。そのスピードはセンセーショナル。反町康治監督もよく知られた指揮官だけど、どれだけやれるのかはとても気になるわ」


「また、J3の二位とJ2の二十一位によるプレーオフはJ2讃岐がJ3長野を下して残留」


「まあ一年でおさらばじゃあまりにも不憫だから。長野は残念だったけどもっと強くなって、今度は一位で自動昇格を目指せばいいのよ。今年の金沢みたいにね。そしてJ2最下位の富山が降格。どうも地味なままだったわ。まとめると、去年J2だったガンバが優勝したけどこれも柏という前例があったし、Jリーグならこれぐらいなら起こるでしょうという範囲内のサプライズだったわ。セレッソ降格とか、六位の山形がプレーオフで勝ち上がったのとかもね。そういう戦力が均衡したリーグだからこそ大事なのはチーム一丸となれるか。来年はどうなるかしらね」


 このような事を語っていると敵襲を告げるサイレンが鳴り響いたので二人は素早く変身して敵が現れたポイントへと向かった。


「ははは、俺はグラゲ軍攻撃部隊のニホンカモシカ男だ! さあ出てこい邪魔な奴らめ。この俺が成敗してくれるわ」


 グラゲの刺客は枯れ葉の舞う山中に出現した。まったく関係ないがこの度昇格を果たしたモンテディオ山形のマスコットも一柱はカモシカを模したものであるが、一応神様らしい。イラストでは結構格好良い系だけどきぐるみは何だか独特の愛嬌を持つ丸っこさがある。もう一柱の岩石男も結構インパクトあるルックス。マスコットは公募で決まったらしいが、サポーターによる投票ではカモシカがトップも岩男をプッシュする委員がいて、妥協して両方マスコットに決まったといういかにもな経緯を持つ。そう言えば月山山形とは何だったのだろうか。それはともかく迷惑なカモシカに対抗する二人は間もなく現れた。


「またも現れたなグラゲ軍。相変わらず懲りない連中め」


「そろそろ地球を諦めてくれてもいいんじゃない? それも時には肝心な事よ」


「ようやく現れたな。貴様らを殺さずして大願は成就せぬ。さあ行け、雑兵ども!」


 木々の隙間からぞろぞろと現れた雑兵を二人は次々と倒していった。やがて雑兵を全て倒した時に北風が強く吹き抜けた。


「雑兵は全て倒したぞ。これで後はお前だけだなニホンカモシカ男!」


「毎度毎度地球に迷惑をかけてからに、雪でも被って反省しなさい」


「邪魔者どもが、黙っていればいい気になって。叩き潰してくれるわ!」


 そう言うとニホンカモシカ男は懐に隠し持っていたスイッチを押して巨大化した。やはりいつもの流れは避けられないようで、渡海雄と悠宇も合体してそれに対抗した。


「メガロボット!!」

「メガロボット!!」


 頭部の角からビームを発射するニホンカモシカロボットの攻撃はなかなかに強力だがうまく回避しながら体勢を作っていった。そして一瞬のタイミングを見計らって接近し、角をへし折った。


「よし、敵のオフェンスはやんだわ。今よとみお君!」


「うん。レインボービームを射出する!」


 渡海雄はすかさず白いボタンを押した。波長の異なる七つのビームが次々にニホンカモシカロボットの体を貫いた。


「むうっ、ここまでか! グラゲの真意を理解しない者どもめ。今に後悔するぞ」


 負け惜しみを呟きながら、ニホンカモシカ男は機体が爆散する寸前に作動した脱出装置に乗せられて地球から去っていった。この街にはまだ雪は訪れていない。しかしそのうちにちらほらと顔を出し始めるだろうと予感させる鈍くくすんだ色の空は、あくまでも静かにこの激闘を見守っている。

今回のまとめ

・ガンバ大阪リーグ優勝おめでとうございます

・浦和レッドダイヤモンズリーグ二位おめでとうございます

・サンフレッチェはまあこんなもんでしょ去年までが出来過ぎ

・あの山岸のゴールの時点で山形昇格を予感した人は多いと思う

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