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am05 ウィンキー時代のスパロボの進展について

 前回の話が想像以上に長くかかったので本当に話したかったすべてのうちせいぜい1/3程度しか伝わらないという失態を犯した渡海雄。今日は悠宇を自分の家に招いて、しかもあらかじめ何を言おうかというシミュレーションまでこなし、万全の体制でお話を開始した。


「さて、前回は第2次までだったけどようやく次のステージに進む時が来たよ。というわけでスーパーファミコンはすでに電気が通ってるし、後はスイッチを入れるだけ。これが第3次スーパーロボット大戦だよ」


「それにしても物持ちいいわね。生まれる前のゲーム機がこんな現役で動いてるなんて不思議な感じよ」


「そう簡単に壊れはしないよ。で、第3次の発売は一九九三年の七月。前作から一年と半年かけてるだけあってクオリティの高さはもはや一目瞭然! グラフィックがカラフルになったってのはもちろん、音楽も段違いだし、何よりシステムがかなり完成の域に近づいてきたのが大きいよ」


「ふうん。それで具体的にはどんな?」


「まずは機体を改造できるようになったんだ。それまではパーツで鍛えていたものが金でHPとか装甲を改造して、ユニットの能力を底上げするんだ。そして乗り換え。これは例えばガンダムとかマジンガーとか、同じシリーズのパイロットは機体を乗り換えられるようになったんだ。前作なら例えばνガンダムとアムロとか、F91とシーブックは不可分だったけど、今回からはF91にアムロを乗せる事も、シーブックがνガンダムに乗る事も可能になった。これで戦略的な部分はもちろん空想の自由度も大幅に向上したんだ。アレックスって、設定上はアムロのために作られたけど届く前に破壊されたガンダムを当初の目的通りアムロに乗せられたりね。他にも武器は、それまではいくらでも打ち放題だったけど今作からは弾数やエネルギーという概念が出てきたので多少制限されるようになったんだ。だから調子に乗って必殺技連発してるとあっという間に何もできなくなるんだ」


「随分進化したものね」


「だからこのゲーム、難易度が高いと一般的には言われてるんだ。確かに第一話における仲間のみすぼらしさは凄まじいからね。三機で寄ってたかってやっとザク一機を倒せる程度のGMとか何だか灰色で脆いプロトゲッターが配置されて平然としているんだから。頼りになるのはマジンガーZの火力と優秀なアムロが乗るガンダム、それにホワイトベースの主砲さえも貴重な火力だよ。ウィンキー時代、基本的に戦艦は弱くてこのゲームも正直そうなんだけど、序盤はそんな弱いはずの戦艦さえも相対的に大戦力となるゲームバランスなんだ」


「でもそれが少しずつ強くなっていくんでしょう」


「それがこのゲームのひとつの醍醐味でもあるからね。ネモとかいう他の作品では何でもないモビルスーツですらありがたいよ。それで、ストーリーはまず前回ビアンが作ったDCという組織が復活したらしいからそれを倒すのがまず一つ。それに加えてそもそもビアンがDCを結成して世界征服しようとしたのは異星人が攻めてくると確信したからなんだけど、実際に異星人が攻めてきて地球を征服してきたからそれも倒すのが今回の大まかな目的なんだ。そうそう、敵を倒す過程で宇宙と地上を行ったり来たりするけど、ステージのBGMもまたいいんだよね。宇宙の曲は戦闘中とは思えないくらい静かで神秘的な美しさを秘めている名曲。地上の曲も力強さときらめきがあって、いやあウィンキー時代の音楽は好きだな、とっても」


「まあBGMは重要よね。ましてやずっと流れているものならばなおさら」


「音源が豪華になればいいってもんじゃないからね。で、本編に戻ると、コンバトラーVやライディーンの加入など味方も少しずつ強化されるけど敵の方が強化が早い感じは正直ちょっとするね。特に『うわさの破嵐万丈』というシナリオで登場した目ん玉飛び出るぐらい射程が長いガブスレイはショッキングだったよ。『一体どこから打ってるんだ』という感じで。そのくせ噂の破嵐万丈さんは『僕が出るまでもない』とかこっちが苦戦してる中で寝ぼけた事言ってやきもきさせるし。でも宇宙に行く前後あたりで百式、サイバスター、ZZガンダムなんてのが手に入る。それとヴァルシオーネもね。こいつらが手に入れば一気に楽になるんだ」


「ふうん。どうして?」


「いわゆるマップ兵器を持ってるからだよ。これは強いよ。サイバスターとヴァルシオーネなんて開幕即気合連発してからサイフラッシュなりサイコブラスターを発射するのがお仕事になるから。これでガブスレイとかファンネル持ちのモビルスーツの中でもHPが低い奴らは一層できる。それとIフィールドって機体の能力みたいなのがあって、これはビーム兵器を一切無効にするバリアなんだけど、ハイメガキャノンとかのいわゆるマップ兵器は実際はビームであってもビームと判定されていないので普通にダメージを与えられるんだ。しかもダメージを受けても敵の気力、これが上がると能力が底上げされる数値があるんだけどそれも上がらないからある意味殴り放題。だからラストの『ラグナロク』でもそれらを連発してるだけで取り巻きはいつの間にか消えていてラスボスもかなりのダメージが蓄積されている上に気力は元のまま。よく見ると気力110になるまで射程三とかだからファンネルで削りつつ110になったらシャインスパーク一閃。これで一万切るから後はなんなりと」


「そんなに便利ならさぞさくさく進むでしょうね」


「いやあ、本当にね。それとシステムもそれまで以上に今の形に近づいているんだ。ただ攻撃力とか地形適応はユニットとパイロットのそれを合計というちょっと面白いシステムになってるね。例えばユニットのある武器の攻撃力が1000とする。そしてそれに乗り込むパイロットの攻撃力の数値が1500とする。その場合、攻撃力は2500ぐらいが目安になるんだ。地形適応も1から7でユニットとパイロット双方に数値が設定されていて、合計した14が最高となるんだ。まあ見たまんまだから戸惑うことはないと思うけど。それより敵の攻撃を反撃する際に自分の意志で行動を選べないとか、一度攻撃を指定したらキャンセル出来ないとかその辺が大変かもね。結局スタートセレクトにLRのソフトリセット連発って事になるけど、まあそれなりに難易度高いし仕方ないね」


「ふふっ。よく分からないけどクリアできない難易度ではなさそうね」


「基本キャラゲーだからね。難しけりゃいいってもんじゃないよ。さて、対外的にはこの第3次で『面白いゲームがあるぞ』みたいに注目されるようになったらしいんだ。そして新規ファン取り込みを狙って作られたと思われる外伝的作品のスーパーロボット大戦EXってのが一九九四年に出たんだ。これはオリジナルキャラのホームグラウンドにアムロ、カミーユとか兜甲児などの原作のある皆さんをお招きしたような作品なんだ。地球内部にあって、魔法とか邪神とか妖精が存在する異世界ラ・ギアスってところに敵味方が召喚されてそっちの戦いに巻き込まれる、と言うね。だから原作を知らなくても特に問題ない設計でもあるんだ」


「ああ、なるほどね。世代的にマジンガーZとか見たことないって人も多いでしょうから」


「当時の子供からしても大昔の作品だったからね。だから普段は敵対する関係のキャラクターが『まずは元の世界に戻る』という大義名分もあるから意外と味方になったり、逆に味方だった人が様々な流れから敵側にいたりするのがひとつの新機軸でもあるね。難易度は易しい、普通、難しいの三つの章に分けられて、他にチュートリアルまであって移動や攻撃の仕方、精神コマンドとは何かなどを懇切丁寧に教えてくれるから初心者も安心。それとダメージ計算も簡単になってて、基本的に武器の攻撃力マイナス防御側の装甲がダメージとなるんだ。それと武器の威力は割と極端で、他の武器は2000ぐらいに収まってるのに対空○○みたいな武器だけ4000前後とか、一部の武器がやけに強かったりするんだ。これも地形適応の大切さを意識させようとしたのかなって思うよ」


「へえ。ところで今作ではどんなのが強いの?」


「まずは新しく出てきた『聖戦士ダンバイン』に出てくる皆さんはとりあえず強いね。敵の攻撃をよくかわすし防御も強くて攻撃力もあって、音楽もやけに長いイントロが格好いいし隙なしかな。それとF91が反則レベルで強いし、後はサイバスターはさすが主役って感じだね。サイフラッシュの射程が抜群だから。戦力で言うと強いのは大抵マサキの章で加わるから物凄く楽にクリアできる。難易度普通ってなってるリューネの章はちょっと癖のある味方が多いから言うほど普通じゃないんだよね。そして難易度が難しいとなっているシュウの章は、前作のラスボスが主人公を据えて敵目線のシナリオとなってるんだ」


「ラスボスを使えるの?」


「ああ、そこはちょっと説明が必要だね。まずシュウってのは第2次では敵、第3次では終盤に味方として登場するけどラスボス、もっと正確に言うと隠しボスとして登場するけどそれで死んでしまうんだ。でもEXでは怪しげな魔法のお陰で生き返った。機体も基本的にはラスボス仕様じゃなくて味方になった時の、パワーはあるけどちょっと燃費悪いってぐらいのバランスだよ。それで、生き返ったシュウはある目的のために第3次までは敵キャラでしかなかったZガンダムのジェリドなどに対して『私と手を組みませんか』とかちまちまそそのかして手駒を増やしつつ異世界にて暗躍するって流れなんだ。シュウ自体はマサキやリューネの章でも時々顔を出しては何らかの陰謀を企てている風な言動を残してるんだけどね、それは何のためってのもここをクリアすると判明するんだ。それぞれの章は割と短いから全部クリアして普段の一本分ぐらいだよ。グラフィックやBGMは第3次を基調にしつつもブラッシュアップされた印象だし、新曲のクオリティも高くてこれはいいよ」


「サウンドテストも隠しコマンドじゃなくなったのね。よく見るとタイトルが変わってる曲も多いけど」


「第3次は英語が多いけどEXは日本語が多いね。技術が発達して漢字を多く使えるようになったとか? いや、知らないけど。それと機体のグラフィックも第3次では武器とかシールドを全部展開してたけどEX以降は基本的には何も持たないグラフィックからその武器に応じてサーベルやらライフルを持たせるようになったね。これも進化だけどやっぱり基本は第3次とEXは兄弟のようなものだと思うよ。そしてエンディングで示される『第4次』の予告。ここでまた派手に変わっていくんだけど」


 既に床に置いてあった第4次のカセットを本体にはめ込んだところで敵襲を告げる緑色の光が室内を貫いた。どうやら今日もまた全てを終わらせる事は出来なかったようだと悟った渡海雄は脱力のため息をひとつついた後で「行こうか」と顔を悠宇のほうへ向けた。その視線の先には目を閉じて笑いながら首を縦に振る少女がいた。


「私はグラゲ軍攻撃部隊のマイマイカブリ女よ。地表のみならず地底までも我らの支配下に置かねばならぬゆえに貴様らは全て滅ぼす!」


 街中に登場した、コンクリートやアスファルトとは調和しない武装した集団が手当たり次第に道行く人々を殺戮しようとする寸前、地球とそこに住む生物を守りたいと決意した二人が姿を現した。


「お前たちの思い通りにはさせないぞグラゲ軍!」


「今、あなたたちは越えてはならない一線を越えようとしたわね! それだけは命をかけても絶対にさせないわ!」


「ふん、出たな逆臣ネイの協力者。言われずとも最初から貴様らを殺す事しか考えておらぬわ! 雑兵ども、かかれ!!」


 歩行者天国ならまだしも、車が行き交う国道沿いで部隊を展開されたのにはさすがにまいった二人であるが、うまく人気の少ない路地裏に誘導しつつ雑兵の群れを一体ずつ粉砕した。


「もはや雑兵はいないな。後はマイマイカブリ女、お前だけだな!」


「もう少し場所をわきまえて展開しなさいよ。結局やられるなら山なり丘なりもっとあるでしょう」


「ふん。やられるのは私ではなくお前たちのほうだ。戦いはまだ終わらんぞ!」


 そう言うとマイマイカブリ女は懐から取り出したスイッチを押して見る見るうちに巨大化を始めた。諦めないはグラゲ軍の美徳であるが地球のためを思えばこちらもそれに屈してはならない。渡海雄と悠宇も意を決して身も心も一つになった。


「メガロボット!!」

「メガロボット!!」


 夕暮れ時の太陽がビルよりも高い二体を覆う。まずはメガロボットが飛行して空中から狙い打とうとしたがそうはさせまいとマイマイカブリロボットも宙を舞った。幾度かの接近と離脱を繰り返した末に気付いたら街を離れ、舞台は人気のない高原へと移っていた。


「ここまで来たらもう人を巻き込みはしないな。さあ食らえ、エンジェルブーメラン!」


 振り向いて敵と相対した瞬間、渡海雄はピンク色のボタンを押した。すると背中から白いスキー板のような刃が飛び出て、それを合わせるとV字型のブーメランのような形状になった。マイマイカブリロボットに向かって思いっきり投げるとブーメランは大きな弧を描いてその胴体を真っ二つに切り裂いた。


「ええい、この私が敗れるとは! 脱出しかない!」


 マイマイカブリロボットが爆散する寸前に飛び出した脱出装置に乗ったマイマイカブリ女は屈辱を噛み締めつつ宇宙へと去っていった。この戦い、相手に勝ちさえすれば何でもいい訳ではない。世のため人のためと言うが人を守らねば世を守ったとは言えないのだから、渡海雄と悠宇は今回の戦いで誰の命も奪われなかった事にまず安堵していた。

今回のまとめ

・この辺の進化のスピードはかなりのもの

・第3次はマップ兵器とスーパーロボット中心に頑張ればいける

・EXマサキの章は歴代でもトップクラスに簡単だけどリューネの章はちと辛い

・あちこち行ってまどろっこしい事言って目的も果たさないといけない悪役は大変

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