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oi06 Jリーグ開幕直前記念 平昌オリンピックについて

 冬も峠を超えたか、やや温かい日が続いたように思える今週だが、ずっと平昌オリンピックが開かれていたので悠宇はその話題で夢中だった。


「おはようとみお君。羽生と宇野のワンツーフィニッシュ見事だったわね!」


「そだねー!」


「あらっ、カーリング見てたの?」


「ヤー! どっちも見てたよ。羽生は本当に凄かったねえ。素人目にもジャンプの安定感とかステップの身振り手振りの大きさとか、そりゃあ金だなあって違いが分かるほどだったもの」


「連覇だもんね。しかも最近まで怪我があってぶっつけ本番にも近い状況だったのに。それとカーリングも熱戦続きよね」


「一手ごとにいちいちスリリングだし、それと解説の手助けもあって今のはうまいショットだとかちょっとミスったなとか、そういうのも分かるようになってより楽しめる」


「そして四年後にはすっかり忘れているので毎回新鮮な気持ちで臨めると」


「いやあ、まあ。それはともかく、ここまでの平昌オリンピック、とりあえず懸念されたような大問題は起こってないみたいでそれは何よりだよね」


「ノロウイルスが流行してるらしいから観客や選手はとっても気を付けてほしいけどね。あんな大変なウイルスもないから」


「北の冬だからそういうのも流行るよねえ。北と言えば韓国と同じ半島の北部にあるあの国も今のところは大人しくしてるよね」


「ちゃんと話し合いがあって、謎の美女軍団を寄越したりしてるからね。まあ国際社会の目もあるし、とりあえず大会期間中は余計な真似はしないんじゃない? 終わってからは知らないけどね」


「このまま何も起こらないといいけどね。それでまずここまでの流れだけど、謎のオブジェがネット上などで密かな注目を集めたよね」


「あまりにも謎なので東スポの記者が現地のボランティアに尋ねてもみんなが『知らないです』と答えて、それを意味する韓国語の『モルゲッソヨ』という名で広まったあの頭に袋みたいなものを被った筋肉バキバキの肉体を魅せつけるような三体の全裸像」


「金知鉉という韓国の現代美術の作家の作品で、正式名称はBULLET MAN、弾丸男といった意味だから頭の袋みたいなものは銃弾の形を表しているのかな。それで曰く『富や名誉など人間の欲望を表現』してるらしいね。古代オリンピックは全裸で行われていたという故事とも微妙にマッチしてるようでいて、別に今回のオリンピックのために設置されたわけじゃなくて二〇〇九年にはすでにそこに建っていたという偶然の一致も面白いよね」


「そういう意味ではまさに芸術よね。一応平昌タイプ以外もあるらしいじゃない。金色の奴とか、服着てる奴とか」


「デザイン的にもあれを見てそんな悪い気はしないというか、やっぱり人間ああいうのには弱いからね。浅草のアレみたいなもので」


「このオブジェとか下町ボブスレーとかちょっと変な話題に呑まれて本来のマスコットがちょっと影薄くなってたり」


「とは言えこの手の大会のマスコットって基本的にそんな前に出てくる事ないよね。今回のマスコットはスホランという白い虎で、簡素な炭団目が割と可愛らしいと思うよ。開会式の入場行進で各国の韓国語発音聞いてても思ったけど、やっぱり近いだけあって日本と共通する部分ってあるんだよね、間違いなく。だからマスコットも海外特有のエグみみたいなのがないから、比較的受け入れやすいデザインになっているとは思う。それで言うと去年のサッカーU20ワールドカップのマスコットだったチャオルミとか、デザイン自体は九十年代の漫画に出てきそうなんだけどオフィシャルの絵が純粋に下手というある意味珍しい奴もいるし」


「確かにこれはセンスで分かり合える部分があるからこそ単純に上手く描けてないだけってのも伝わって、惜しい事になってるわね。これでロンドンオリンピックのマスコットまで行くともう別次元ってなるけど」


「ロンドンはもう何もかもが凄いよ。一つ目のモンスターというデザイン、スタジアムの建設に使われた鉄骨のしずくで作った人形に生命が吹き込まれたという設定も日本人にはなかなか発想出来ないラインだと思うし。そういうので今までのマスコット一覧とか見てみると面白いよね。冬のオリンピックで言うと第一弾は一九六八年に開催されたグルノーブルオリンピックに登場したシュスという謎のスキーヤー。非公認らしいけどね。デザインは確かに謎だけど、民芸品のお守りって感じでこれはこれであり」


「でも次の札幌オリンピックは何もなしだったのね」


「当時の日本にはあんまりそういうセンスは育ってなかったみたい。企業マスコットはそれなりにいたみたいなのにね。ヤンマーとか名相銀とか見るに」


「でも当時はプロ野球でも巨人がミスタージャイアンツという腹の出たおっさんみたいなのがいた程度だしね。曰く当時のジャイアンツを象徴していた三人、長嶋茂雄の眉毛、王貞治の目、川上哲治監督の太鼓腹を組み合わせたと言うわ。他はともかく太鼓腹を抽出するセンスは極めて謎だけど、ともかくこれの初出は一九六四年と比較的早く、それと当時の巨人人気とも相まってグッズなんかに描かれたりして知名度は高かったみたい。他にもオリオンズの桃太郎とかその手のキャラはいたけど、広まるのは大体七十年代になってから。七十二年の札幌オリンピックはややタイミングが早すぎたかな」


「カープ坊やもその頃に誕生したんだっけ?」


「あれは一九七五年よ。この頃は他球団にも同じような少年系マスコットがいたけど大体九十年代にきぐるみ展開させやすい動物系マスコットに取って代わられたわ。一方でカープは坊やはそのまま、きぐるみにはスラィリーという全く異なるデザインのクリーチャーを登場させて共存策を取った。球団創設時の虎のマークが未だに健在な阪神なんかもそうだけど、よそが切り替えて古臭いと言われる時代を乗り越えれば逆に唯一無二の存在となりうるものだから、デザインって巡るものよね」


「少年系マスコットも今見ると近鉄とか中日とかいい顔してるなって思うけどね。大洋の鯨に乗った少年もサンリオっぽくてポップ。日本ハムの背中に羽が生えてる子も一見可愛いけど、身体の構造が不思議。まずいのは目が変な阪急と何かイラッとする表情のロッテ。こう見るとカープ坊やのデザインはかなりオーソドックスで、このいい意味での無難さが生き残った秘訣なのかもね」


「汎用性高いしね。で、冬季オリンピックのマスコットに戻るけど、全体的には動物キャラが多くて、その中でも冬の大会にふさわしい動物は何かと考えた時に突き当たりやすいのが熊みたいで、割と熊率が高い」


「動物系ではやたらと躍動感あるポーズ決めてるソルトレイクの三匹が好みかな。それと無生物キャラだとアルベールビルの星の精とか、トリノの雪と氷なんてのがいるんだね」


「人間キャラは一九九四年のリレハンメル大会のマスコットであるハーコンとクリスティンという男女コンビぐらいしかいない。大会当時はハーコン役の少年とクリスティン役の少女が選ばれてコスプレも披露していたみたい」


「写真見る限り女の子役のほうが背が高いのがいいね」


「それでリレハンメルの次が九十八年の長野オリンピックだったんだけど、この大会のマスコットとなったスノーレッツという四羽のふくろうは、当時は不評だったと聞くわ」


「うん、でも見てみると仕方ないんじゃないかな。あえてそういう手書きっぽさを狙ったんだと思うけど、適当で下手なデザインにも見えるし。それと外国人の手によるものだから日本的なセンスとも違うしね。時期が近い日韓ワールドカップのマスコットもやっぱり外国人のデザインで日本とも韓国とも関係ない意味不明なクリーチャーだったし」


「日韓ワールドカップのあれは、確かにキモいわね。ワールドカップのマスコットは六十六年イギリス大会のワールドカップウィリーが初代だけど、でもこいつはライオンのくせに妙に緩い表情が可愛らしくてなかなかナイスデザインだと思うわ」


「ライオンモチーフならもうちょっと勇ましくなっても良さそうなのに、かったるそうな目つきは逆に今でも使えるレベル。これは企画した人のセンスが抜群だったんだろうね」


「ウェンロックも五十年後にはその真価が発揮されるかも知れないわね。それから七十年代は少年キャラが続くのはプロ野球のペットマークとも共通してるけど、八十年代はなぜか植物モチーフキャラが連続して、九十年のイタリア大会は意味不明なブロックの集まりに。でもこれでやり過ぎたと反省したか以降は動物モチーフのマスコットが続いているわ。日韓大会を除いて」


「何でピンポイントで日韓だけあんなのになったんだろうね」


「共催だから日本的でも韓国的でもまずいとデザインに制約が加わったはずだし、デザイナーにしても日韓どちらかの人になったら問題が出るから完全に無関係の国の人にデザインしてもらったんでしょうけど、結果的に誰も得しない存在に。その反省を活かして次の東京オリンピックとパラリンピックのマスコットは現在最終候補の三体が審査の真っ最中だけど、どれになってもまあ許せるかなって水準には達してるもんね」


「候補アは白いボディに今回の大会ののロゴを組み合わせたようなデザインで、可愛らしさとシャープさの両立が図られているみたい。候補イは狐と狛犬というより日本的なモチーフを採用している。目をよく見るとちょっと怖いけど、やはり可愛らしさはかなりのもの。そして候補ウは狐とたぬきって事で別のラインの可愛らしさを追求している」


「アは無国籍でウは日本色濃厚、イはその中間というイメージがある。個人的にはイだと思った」


「私はアに入れたわ。でも友達なんかに聞くとウを入れた人が多かったかなって印象。だから私達の学校の総意ってなるとウとして一票を投じたのかもね。まあ二月末には投票結果発表となるわけだし、どうなるか楽しみよね」


「そうだね。今までの傾向で言うと、夏の大会は古くから動物のマスコットがほとんどだね」


「最初の公式マスコットは七十二年ミュンヘン大会のカラフルなダックスフントで、八十年代はモスクワのミーシャ、ロサンゼルスのイーグルサムという人気知名度の高い二大巨頭を生み出したわ。ソウルのマスコットはやや影が薄いわね。ソウルも今回の平昌もオリンピックは虎でパラリンピックは熊の組み合わせだけど、まあ建国神話にもこの二つが出てくるくらいだから相当馴染みが深いって事なんでしょうね」


「ソウル以降は動物とそれ以外が交互に来てるみたいだね。その中でいいのは北京かな。これは普通にかわいいと思う」


「順番的には東京は動物以外のターン。じゃあ候補ア当選かな、とかオカルトじみた考えはやめておきましょう」


「まあ、まだまだ平昌オリンピックも続くし、楽しみたいね。とか言ってるうちにもうJリーグ開幕まで一週間」


「本当にあっという間よね。城福監督率いるサンフレッチェは期待より不安のほうが大きいけど、本番どうかだからね。しばらくは静観でしょう。PSMで勝ったとか負けたとかは、こっちもあっちも実験段階だしあまり有意義なものとは言えない」


「まず序盤だよね。去年は新潟に引き分け昇格組に負けまくりで嫌なムード全開だったから。さて、そろそろもういい時間だから帰るね」


「うん。じゃあまたね」


 最後に取ってつけたが、ちょっと他に場所がないので今年のJリーグ順位予想もここでやる。まずJ1だが、はっきり言って城福監督の実力はまったく信じていない。だが一位に推す。実際のところは全部上手く行けば優勝もあるだろうが普通にやれば真ん中より下側、城福が本来の実力を発揮すれば……、といったところか。ただそれ以外の順番は割と普通に考えている。柏や鳥栖は結構期待。


 J2に関しては本命不在なのでどうなるかまったく分からない。大宮は強そうだが、最終盤の不甲斐なさが引っかかって上位に予想しにくい。千葉の勢いも凄かったが一年の長丁場、勢いだけでは戦えまい。他にも中心選手が引き抜かれたとかどこも一長一短あって、非常に難しい。しかしどこかが昇格するわけだし、そこがどう変化していくか見守っていきたい。


1 広島 城福は信じてないがサンフレッチェは信じてる

2 桜阪 結構本命に近いのではないか

3 鹿島 選手は十分首脳陣はどうかな

4 川崎 スーパーカップの内容が思いの外良くなかった

5 柏柏 若い選手が多いし勢いに乗ればより上位も

6 鳥栖 年々クラブの規模が拡大していく力強さがある

7 浦和 弱いわけでは絶対ないけど強い感じでもない

8 磐田 あまり長続きするタイプの勢いじゃないかな

9 横浜 何だかんだで大崩壊までは至らないのでは

10 脚阪 未来のために小休止となるのではないか

11 湘南 チームとしてはこれぐらいやれると信じている

12 神戸 ポドルスキの力を活かせれば

13 清水 ヨンソン監督には頑張ってほしいと思う

14 仙台 戦力は悪くないだけにどこかでブレイクがあれば

15 名鯱 攻撃はともかく守備はどうしようと考えているのか

16 札幌 現有戦力とミシャサッカーの噛み合わせがどうなるか

17 東京 久保を解放するためにはこれが一番手っ取り早い

18 長崎 戦力的に厳しそうだが一丸となって戦えるか


1 東京 両アンザイ離脱は痛いが継続した戦いができればいける

2 甲府 リンス残ったし補強も十分で即復帰の力はあるだろう

3 千葉 自動昇格の資格十分だが安定して戦えるかが鍵

4 福岡 マイナスもプラスも大きい中でどっちが上回るか

5 徳島 渡馬渡離脱も十分に穴埋めは出来たように見える

6 新潟 どちらかと言うと傷を癒やすシーズンになるのでは

7 大宮 戦力資金力は屈指だがチームとしてどれだけ戦えるか

8 横浜 戦力とは別の部分に制約があるのは大変そう

9 松本 反町監督体制はそろそろきついのではと思ったり

10 大分 片野坂監督のサッカーをより深められれば面白い

11 岡山 公式サイトしっかり

12 京都 監督交代してからが本番か

13 愛媛 上にも下にもあんまり絡まないのでは

14 町田 悪くはないけどどこまで戦えるか

15 山形 ややパンチ力に欠ける面子か

16 金沢 柳下監督2年目でより浸透すれば

17 栃木 選手の名前を見ると残留は十分可能なはず

18 岐阜 主力引き抜かれたし簡単にはいくまい

19 水戸 冨田大介また水戸に復帰したのか

20 熊本 皆川がJ2でどれほどのものなのかは割と興味ある

21 山口 霜田監督の手腕はどれほどのものか

22 讃岐 戦力的に辛いように見えるがどこまで活力があるか

今回のまとめ

・羽生結弦やショーン・ホワイトはまさに王者の貫禄だった

・外国の大会でその国の色全開なキャラが出てくるのは好ましい

・やっと押し付けでない日本産のマスコットを出せるのは喜ばしい

・予想というか願望だけどどうせ当たらないのは同じだ

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