rm24 ぼちぼち好調なカープについて
新たなるスタートを切った事で戸惑ったり大した事じゃなくてもやたらと疲れを感じる四月にも慣れてきた頃合だ。そろそろゴールデンウィークも近いし心は浮き上がるばかり。
「しかしサンフレッチェはなかなか浮上の気配を見せないね」
「そうね。この間の仙台戦も酷かったわ。試合終了間際ギリギリでゴールを決めてどうにか引き分けに持ち込めたなんて試合結果。でも本来二点リードした時点で勝ち切ってないといけなかったわ。追いつかれただけでも噴飯物なのに、ましてや逆転されるなど言語道断。とは言え、勝ち点ゼロで終わるより一でも取れたのは幸いよ。今シーズンの目標である残留に向かって、とにかく一歩ずつであろうと進んでいくしかないわ」
「厳しい戦いになったものだね。でもこれからどうやってこのピンチを乗り切っていくんだろうね」
「そこが見えてこないのは苦しいところよね。まあクラブの考えとしては『本来の実力を発揮出来れば』ってところなんでしょうけど、そうやって待っている内に実力発揮出来ないまま一年が終わりましたってのもよくある展開なだけに信用の置けない話よ。どうも途中交代の選手もあんまり可能性を見いだせない名前が並んでいたりして、そりゃあ浅野と比較するのは厳しいにしても、全体的に強靭な軸がなく、小粒な印象よね」
「主力選手はすっかりベテランとなったし、次の活力となる選手がなかなか出てこない」
「外国人もね、もっとガンガンやれるものなら。とにかく勝利を掴む特効薬のようなものを現状のサンフレッチェは手にしていないのだから、今後の身の振り方が大事になってくるわね。補強でそれを求めるか、あるいはそういうギャンブル的な手を使わず我慢して戦っていくのか。いずれにせよ簡単じゃない道のりとなるでしょうね」
「頑張ってくれるといいんだけど。現状首位はレッズで、他にはガンバや鹿島はいいとして、神戸も好調だね」
「神戸はようやく資金力なんかのポテンシャルに見合った数字になってきたってところでしょう。そもそも親会社が楽天なわけだし、ただ今まではそれが災いして一貫した強化体制を構築出来ていなかったみたいだけど、そこはやはり実績あるネルシーニョ監督の力もあるでしょうね。夏からは元ドイツ代表で活躍したポドルスキも来るけど、これがどのような効果をもたらすかは興味深い部分よ」
「でもJリーグってその手の大物が来たからって浮上するものでもないよね。フォルラン入れたセレッソとか浮上どころか降格の憂き目にあったし」
「ああ、あれはねえ、気の毒だったわ。選手はあくまでも駒であり、一人で局面を変えるなんてものではないから要は使い方よ。セレッソはそこでしくじったけど、神戸はどうかな。昔、楽天が親会社になった頃にトルコ代表で日韓ワールドカップなんかで活躍したイルハンという選手を入れたものの本人の怪我などもあり失敗に終わったという直接的な苦い経験もあるし、これにどれだけ学んでいるか」
「でもこれでポドルスキも怪我してましたってなったら救われないね」
「そこはまあ、その時よ。とにかく重要なのは監督がどう舵取りするかとなるけど、そこはネルシーニョ監督だし、多分うまくやるんじゃない? J2でもスペインで実績を残してきたロティーナ監督率いるヴェルディが現在首位と大健闘してるし、やはり指揮官の質は大事」
「やるもんだねえ」
「現在のJ2はまずヴェルディが勝ち点十八で首位だけど、二位から五位までは勝ち点十七で横浜FC、名古屋、徳島、湘南が連なっているわ。まだ十試合もやってないからあまり差がつかないのは当然といえば当然なんだけど、降格組なんかに混じって去年は残留争いに足を踏み入れていたヴェルディがこの中に加わっているのもやはり監督の力よ。徳島のリカルド・ロドリゲス監督もそうだし、逆にロティーナやリカルドと同じくスペイン国籍ではあるものの前評判はあまり良くなかったエスナイデル監督率いる千葉はここまで中位に沈んでいるし」
「千葉は厳しいのか。それと京都もかなり低いね」
「大黒とか闘莉王とか取り扱い注意みたいなベテランを複数抱えて、しかも監督は新人だからいささか荷が重いかなって。まあまだ序盤だからここから大浮上もないでもないけど、まあファイトあるのみよ」
「京都が十九位で勝ち点は八か。それからもっと下を見ると、最下位の群馬は未だに勝ち点一しか取れてないのか。首位とはすでに十七も差が付いているんだよね。ここから群馬五連勝ヴェルディ五連敗でもまだ順位が入れ替わらないという」
「うん、群馬はね、大変そうよね。そんな気はしてたけど。J1でも大宮が勝ち点一にとどまっているし。無論ここからある程度の巻き返しはあるかも知れないけど、現実問題としてはすでに降格阻止が第一義となる戦いにシフトせざるを得ないでしょうし大変よね。まあサンフレッチェも人の事言えないんだけど」
「望んで降格するクラブはないけど、どこかが落ちるような仕組みになっているんだからねえ。本当にサンフレッチェには頑張ってほしいよ。秋の頃には心配して損したってなるくらいには」
「そうね。そしてこのまま順調に頑張ってほしいのがカープ」
「開幕直後の連勝は上手く行きすぎていたけど、それが終わると今度は苦しくなったみたいだね」
「まあ、あんなものよ。ここ数試合においてなかなか苦しいのは打線が湿りつつあるからという点に尽きるわ。ただ連勝時でも明らかに苦しい、と言うか普通に負けるだろうなって流れでも最終盤に打線が奮闘するなどして勝ち取ったものがいくつもあったから。そういうある意味神がかった状態が終わって、苦しい展開の時普通に負けるケースが増えたのが現状よ。ただそれでもまだまだ貯金が生きてて首位をキープ出来ているのは幸いよ」
「まあいつまでもつかって所だけど、ここで負けたら首位陥落ってところまでは迫られたわけだし。結果的には巨人には勝ち越したけど」
「順位がどうって時期でもないんだけどね。一ヶ月後には交流戦も控えているわけだし。去年だって一時的な好調ではないと証明したのは交流戦における戦いからだったし、逆に二〇一四年なんかは一見好調だったけど交流戦で化けの皮を剥がされて首位陥落してそのままだったし。Jリーグと違って試合数も多いんだし、まだまだこれからよ」
「それもそうか。実際エースのジョンソンと抑えの中崎を欠いた状態で首位だから、むしろ出来過ぎ状態は継続してるとも言えるわけだしね」
「そこよねえ。先発では九里やルーキーの加藤床田が頑張っていたけど、それだけに床田離脱は痛いわ。防御率以上に印象の良いピッチング内容だったから。それで巨人戦では福井が先発して、一応先発投手としての役割は果たしたけど内容はぴりっとせず早々と二軍降格したし。さて、次は誰になるやら」
「二軍に控えている投手で言うと誰になるの?」
「全体的に実績のない若手中心よね。去年一軍出場を果たした塹江、去年一軍で先発へって記事が出たのに結局お流れとなった中村祐太もよく三振を奪えているようで昇格するのは彼って噂も流れているわ。それに二年目の高橋樹也も持ち前のコントロールを武器に好投していると言うし。球威はないみたいだけど」
「こう見ると本当に実績皆無な人達だね」
「順位争いってほどには情勢が固まっていない今だからこそこういう選手も思い切って使えるものだし、その中からチャンスを掴む選手が出たら面白いわ。そう言えば巨人のリリーフ陣だけど、池田とか篠原とかまさしく実績皆無な選手が大勢いるでしょう。これなんかも今だからって感じよね。この中から戦力になれば儲けものだし駄目なら駄目と、見極めるチャンスでもあるんだから。長いペナントレースを勝ち抜くにはそういう判断も必要よ」
「そう考えると、やっぱり今はまだ始まったばかりなんだね」
「そうよ。全てはこれから。去年のカープは、今頃にはヘーゲンズが上がってきてたかしらね。それまではジャクソンと中崎につなぐ七回は誰にしようかってところだったけどヘーゲンズがその弱点を埋めてくれた、きちんと整備出来たから勝てた。中崎離脱でヘーゲンズも調子が上がらない今年はジャクソンと今村に八回九回を任せているけど七回に関しては未だに流動的よ。現在首脳陣の信頼で言うと薮田みたいだけど」
「ビハインドとか複数イニングをまたぐ便利屋として実績を上げてたけど、七回を任せられたこの間の巨人戦では残念ながら失点嵩んだよね」
「あれは上手くやられたわね。坂本のタイムリーとか。しかし薮田に関してはここまで相当順調に伸びてきてるわね。一年目は二軍で別格の数字を残して一軍でも初勝利、二年目は序盤出遅れたものの夏場以降は一軍定着して緊急先発など便利屋的に活躍、そして三年目は初の開幕一軍を勝ち取り勝ちパターンに入ろうとしている。ドラフト二位で指名された時は本当に愕然としたけど、結局私の見る目がなかったって事ね」
「そりゃあ、そんな見る目があったらゆうちゃん今頃スカウトになってるから、そんなものでしょ」
「そうね。それにやっぱり使えませんでしたってなってたほうが残念なわけだし、懸念が外れて悪い事なんてないわ。他で言うと中田は便利屋として頑張ってるし、一岡も本領発揮出来れば大きな戦力となるはず。とにかく中崎が万全の状態になって戻るまではこういう戦力をやりくりしながらとなるんだから、奮起してくれないとね」
「一方で野手陣は基本的にそこまで離脱とかないよね。不調だった松山もようやく戻ってきつつあるみたいだし」
「ありがたい話よね。まず現在のスタメンは一番田中から菊池、丸、新井、鈴木、エルドレッドなどと一連の流れは去年から変わりないわけで、その中で誰が不調とか好調とかそういうのはあれど一貫した強さを守れているのはいいところ。松山が復調となればベテランの新井やエルドレッドもより楽が出来るようになるでしょうし」
「その新井とエルドレッド、それと堂林をガンガン代打として繰り出して得点を重ねた巨人戦とか、かなり迫力あったよね」
「あれは六回の時点で一気に勝負をかけて大正解だったわね。あの試合みたいな逆転勝ちの多さも含めていい意味で去年と同じように戦えているのは今年のカープの強みよね。ただこの世界、まったく同じでは勝ち続けられないもの。今年は今年ならではの何か要素がないと連覇とはいかないものよ。実際カープも全てが盤石ではないしね」
「分かりやすいのはサードだよね」
「安部は相当上手くやってると思うけどね。でもやっぱり西川に期待したいわ。凄い負けず嫌いだと言うし、センスもある。それと話が飛ぶ上直接的には今年の戦力とはならないと思うけど、二軍では坂倉が現時点で三割とか打っててびっくりしたわ。まだ始まったばかりとは言え高卒ルーキーの数字じゃないわ。しかもキャッチャー。高校時代から常識を疑う姿勢でリードを身につけたと言うし、大物になるかもね」
「それは期待したいね」
「今後苦しむ事もあるでしょうけど、順調に伸びていって素晴らしい成果を残す事を心から望むわ」
このような事を語っていると敵襲を告げる警告の光が輝いたので、二人は話もそこそこに素早く戦闘モードへと移行し、敵が出現したポイントへと急いだ。
「ふはははは、私はグラゲ軍攻撃部隊のイサキ女だ! この汚らわしい星を乗っ取るのだ」
浜辺に出現したのはこれから旬を迎えようとする魚の姿を模した敵将であった。この魚の名前で検索すると関連ワードでちょっといかがわしいものがあるが、そんな事は関係ない。このイサキは女なのだから。しかし危険な存在である事は間違いない。彼女により侵略が行われようとする時、二人の救世主がすかさず登場した。
「お前達の陰謀はこれまでだぞグラゲ軍!」
「これからゴールデンウィークも始まるというのに感心しないわね」
「何を意味不明な事を。我らの使命を果たすため、お前達には死んでもらう。行け、雑兵ども!」
ぞろぞろと出現した雑兵を渡海雄と悠宇の二人は次々と撃破していき、ついに残る敵は一人だけとなった。
「ようやく落ち着いたみたいだな。後はお前だけだイサキ女!」
「ここで素直に帰ってくれるとありがたいんだけど、そういう道はないの?」
「ないな。なぜならお前達は生きていてはならぬ存在だからだ」
そう言うとイサキ女は懐から取り出したスイッチを押して巨大化した。戦わずにすむ可能性を即座に否定されたのは残念だったが、彼女とて広い宇宙の中では兵隊の一人であって、そこまでの権力はないものだから仕方ないと言い聞かせ、二人はその強大な力に対抗すべく合体した。
「メガロボット!!」
「メガロボット!!」
巨体と巨体の攻防。力強い突撃を程々にいなしつつ、悠宇は一瞬のタイミングを見計らってイサキロボットを転倒させた。
「よし、今こそチャンスよとみお君!」
「うん。メルティングフィストで焼き魚にしてやるぞ!」
この隙を逃さず、渡海雄はすぐに朱色のボタンを押した。プラズマ超高熱線に包まれてヒートした右の拳がイサキロボットの装甲を貫いた。
「ぐぐううっ、これまでか。撤退するしかあるまい」
機体が爆散する寸前に作動した脱出装置によってイサキ女は帰るべき世界へと帰っていった。敵はまだまだ出てくるだろうが、くじけない。それは二人が生きているからだ。二人は沈みゆく太陽を眺めながら、五月はもっと眩しくなるだろうと思った。
今回のまとめ
・サンフレッチェはなかなか可能性を見いだせない
・こんなので良く勝てたなって試合が多いのもまた強さか
・でも正直限界近そうだし中崎とジョンソン早く帰ってきて
・新しい何かを見いだせたらもっと勝てるようになる