表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/396

rm18 交流戦勝ち越しについて

 昨日からやけに高気圧が頑張っている。渡海雄と悠宇の服装もみるみるうちに裸に近づいていく。今年は相当な猛暑になってしまうのだろうかと今のうちから余計な心配をしてしまうほどだ。


「交流戦終わったけど、いやあ、良かったわね」


「そうだね。十八試合で十一勝六敗一分と勝ち越しに成功したんだから、よくやったよ」


「とりあえず五割を目指してくれればと思っていたけど、ここまで勝ち越したのは球団史上でも初めてじゃない? ただこうなると俄然次の展開も見えてきそうで、嬉しいものよ」


「幸いと言うかセリーグの他球団は軒並み負け越しているから、差が広がったよね」


「気付いたら六ゲーム差。まあまだ半分程度しか終わっていないからこのまま驀進するとは決して言い切れないけど、とりあえずいい具合のアドバンテージをゲット出来たとは言えそうね」


「交流戦でも序盤はどうしたものかと思ったけどね」


「いきなりパリーグ二位のロッテとビジターで当たって、その次は言わずと知れたソフトバンクだから厳しい戦いになるのは分かっていたわ。で、ロッテには早速負け越してソフトバンク戦も一戦目は黒田が打たれて。でも二戦目の引き分けは大きかったわ」


「岡田が五回を一失点ってところで雨で試合終了。結果引き分けだったあの試合ね」


「試合前の段階で黒星二つ先行だったわけだし、あそこでまた負けてたら最終的な結果も全然別物になっていた事は想像に難くないわ。でもリリーフをまったく使う事なく引き分けに持ち込めたのは『勝ち取った』って言い方をしてもあながち言い過ぎではないわね。翌日は温存出来たヘーゲンズジャクソン中崎が二イニングずつ投げて延長十二回のサヨナラをもぎ取ったという結果にもつながっているし」


「それとあの試合は先発の中村恭平だよね。正直絶対爆発炎上すると思ってたけど思った以上にゲームを作ってくれた」


「それは本当に凄い事よね。ソフトバンクは今年も交流戦で優勝して、シーズン成績ももう勝手にやってればって感じで圧倒的だけど、そういうチーム相手に岡田とか中村恭平が立ち向かってそれなりの数字に仕上がったという事実はまさに驚異的の一言よ。ともかくこの二人、それと戸田もだけど、率直に言ってあんまり期待されていなかった先発陣よね。でもそんな彼らが今しっかりと先発の役割を果たせている。これは今までになかった強みよ」


「去年なんか前田ジョンソン黒田福井とその他って感じだったもんね」


「今年は前田が抜けて、福井も不調に喘ぎ現在二軍。こういうマイナスがありながら野村の復調と前述のメンバーの奮闘で総合的にはむしろプラスに転じているとさえ言えるわ。まあ中村はそろそろ化けの皮が剥がれつつあるかなってところだけど、二軍では福井が完投したと言うし、まだまだ埋蔵量に余裕ありってところね。今のローテがこけたら終了ではないと」


「そう言えば野村がまたいいよね。まさかのハーラートップという衝撃的な成績」


「一年目をピークに悪化の一途だったけど、今年は力なく打たれる事があまりなくなったみたいよね、六回までは。それ以降を投げさせようとすると一気にきな臭くなるけど、今は勝ちパターンのリリーフ陣がよくやっているのでどうにかなってる。このリリーフの活躍や打線の援護あっての事だから八勝出来てるのは運という側面は確かにあるわ。でも六回までをしっかり抑えられているのは必然性あっての事と見るわ」


「この間の西武戦なんかもそうだったけど、危ない場面になっても踏ん張れてるのがいいよね」


「あれは西武の流れがよっぽど良くなかったように見えたけど。まあ何であれ、良い傾向よ。順位を上げるためには実力以上のものを出す選手、開幕前にはどうでもいいと思われていたのを覆すような活躍を見せる選手の出現が必須。先月は安部とかヘーゲンズがそれだったけど、今はさらに増えている。前述の先発三人組とかね、それと下水流も」


「下水流はやっと活躍してくれたよね。突如開幕スタメンで案の定駄目だった時はかなり白けたけど」


「守備も無難にこなせるし、ここで一本立ちしてくれたら相当楽になるわね。エルドレッドが肉離れで登録抹消はきついけど、どうにか全員でカバーしてくれるかもという希望を感じさせるわね。左の松山、右の下水流って感じでうまく併用していけばどうにか、みたいな」


「それと赤松はどうなのかな。史上初となるサヨナラコリジョンなんて珍事で名を残したけど」


「赤松に関してはねえ、やっぱり今の代走守備要員が基本だと思うわ。たまにスタメンで使ってもいいとは思うけど、虫干しみたいな感覚で。でもコリジョンにほうはランナーのほうじゃなくてバッターとして赤松の名が残るんだから不思議な因縁よね。それと野手に関してはこの男の名前を出さない訳にはいかないでしょ。鈴木誠也」


「ああ、鈴木今凄い来てるよね! オリックス戦では二試合連続でサヨナラホームラン打って三戦目も同点の八回に決勝ホームランとかとんでもない事やってるし」


「ソフトバンク戦のあわやサイクルの五安打も鮮烈だったわ。今年はいきなり怪我でしばらく出られなかったけどようやく規定にも到達したし、これで外野の一角は完全に埋まったわ。と言うか鈴木はそういう単なるレギュラーって程度に収まる存在で止まらないでくれるといいわね。それこそ山田柳田になれる可能性を秘めた逸材だけにこれからも順調に伸びていってほしいところ。まずは今年、初の規定到達でどれだけの数字を残せるか」


「相変わらず田中菊池丸の上位もいい感じだし、クリーンナップにはエルドレッドが倒れた代わりにルナが戻ってきたけど」


「ルナに関してはもうちょっと保留かしらね。守備がちょっとあれれってところだけど、そのくせオリックス戦では九回ツーアウトから同点となるタイムリーを打ったり。ゲッツー多いのも気になるけど、あれで一応打率は上げているという。しばらく試合に出続けるのは間違いないでしょうし、もうちょっと使って落ち着いたら良い側面とそうじゃない側面、どっちがより強く出るかよ」


「サードって事だと一時期の好調はなくなったみたいだけど安部とか、西川もヒット打つ事は出来てるよね」


「まだまだパワーアップが必要だとは思うけど、西川にはセンスを感じるわね。アベレージだけなら三割余裕みたいな。まあ、しばらくはルナ中心でしょうけどルナと心中する必要はない程度の選手層が生まれてきた。今はエルドレッドと心中しなくてもいいかも知れない。他に打ってくれる選手がいる。これが何よりいい話よね」


「このまま順調に行くかは知らないけど、頑張って勝ち続けてほしいよね」


「これから夏本番で疲労も溜まってくる。勝負はまだまだこれからよ。その際に重要なのは特定の誰かと言うよりチーム全員の奮闘で突き進めるか。それが出来たら、本当に優勝の二文字だって見えてくるわ」


「それとサンフレッチェだけど、土曜日は浦和に勝ったね」


「いつの間にかしれっと四位にまで浮上しててちょっと驚くわ。特に守備陣は離脱しまくりでかなり厳しいけど、よくやっているわ」


「佐々木に加えて水本も怪我だし、しかも塩谷がオリンピック行くからね。塩谷の実力を評価された結果だから喜ばしい事ではあるけど、クラブとしては大変だよね」


「離脱した穴には誰を使うのかしらね。それと浦和戦では久々に佐藤寿人が決めたわね。さすがにもう二桁とかはアレとして、やはり心を打つものがあったわ。これが長年チームに貢献してきたベテランのみが持ちえる存在感、重さなんでしょうね。ファーストステージの優勝はもうなくて、最高三位で落ちても五位ってところだけどセカンドステージはいかに巻き返すか」


「そのファーストステージの優勝は鹿島か川崎かに絞られたけど、川崎期待してたのにままならぬものだね」


「最下位福岡に先制を許す苦しい展開からどうにか引き分けには追いついたけど、ここで快勝した鹿島に抜かれるというね。川崎からするとまさに蜂の一刺しって事かしら」


「しかも鹿島の次の対戦相手はその福岡という。川崎としては今さっき悔しさを味あわせられた福岡が頑張ってくれるのに期待するしかないという皮肉めいた巡り合わせだけど、ただ鹿島ってこういうところで落とすイメージがほとんどないよね」


「Jリーグで一番タイトルを取ってきたのがこの鹿島で、戦い方を心得ているってのはあるでしょうね。とにかく求められる水準が違うし、それに選手もしっかり応えようと常に研鑽している。これこそまさに強豪の姿よね。サンフレッチェも割とそれに近づきつつあるかと思う時もあれば、まだまだだと感じる時もあって、まあそれは今後の積み重ねよ」


「セカンドステージ、期待したいね。そう言えば浦和はこれで三連敗なんだってね」


「ステージ優勝の大本命だった時期が嘘みたいよね。もちろん選手個々のミスはあるけど、それこそ佐藤寿人のゴールを演出した柏木のパスとかね。でもそこを責めるより、やはり今の体制ではここらが限界と露呈したのではないかと思うわ」


「つまり監督って事?」


「ペトロヴィッチ監督が就任した頃の浦和は実力はあるのに降格寸前まで追い込まれていたけど、それを立て直して優勝目前まで来た。後一歩、見えそうで見えない。このじれったさよね。サンフレッチェでも後一歩届かない成績が続いたけど今の森保監督に代わったらいきなりリーグ優勝を果たした。つまりそういう事でしょ」


「まさか森保監督引き抜きとかないよね?」


「それぐらい考えてるかもね。まあ、そうは言ってもセカンドステージに浦和が巻き返す可能性だってあるんだからあんまり未確定な事は言えないけどね。ただまあ、そこはフロントの決断よね。森保監督就任が決まった時だってね、賛否色々あって確実に弱体化するなんて意見もあったけど結果的には最高の判断となった。だからと言って否定的な意見を述べた人が悪いわけじゃない。未来は見えないものだから当然よ。そこでファンや評論家から色々言われてもフロント含めたチーム一丸となってブレずにやれるか。浦和にしたって最後はここでしょ」


「まあそれが出来てたらもっとタイトル取れてたんだろうけどね」


 このような事を言っていると敵襲を告げる合図が光り輝いた。何となく久々な気がするが、ともあれこちらの事情を向こうが忖度しないのはいつもの事だ。渡海雄と悠宇は素早く着替えて敵が出現したポイントへと足を急がせた。


「ふはははは、俺はグラゲ軍攻撃部隊のキイロショウジョウバエ男だ! この星をいただいてやるわ」


 この時期になると発生する、いわゆるコバエの一種類だ。別に病気とか持ってるわけでもないし、刺されたら痒くなるとかもないのにうじゃうじゃいるとうざったいからという理由で駆除されがちなかわいそうな奴だ。それと遺伝子学的にも重要らしいけど、それは別にいいか。


 とにかくそういう相手が突如道路沿いに出てきたのは迷惑なので、それを駆除するための力がすぐに出現した。


「出たなグラゲ軍! お前達の思い通りにはさせないぞ!」


「熱気が高まってきた今日このごろだけど、あんまり迷惑な行為に走られても困るわ」


「ふん、何を言うか。お前達がすんなり死んでくれれば全ては終わるのだ。行け、雑兵ども!」


 かくして大量に発生した雑兵たちを渡海雄と悠宇の二人は目障りな虫を叩き潰すように次々と撃破していった。そして残るのは親玉一人だけとなった。


「迷惑な奴らはこれで片付いた。後はお前だけだキイロショウジョウバエ男!」


「私だってあなた達が現れなければ敵意なんてないんだから、そっちからしても私達の事なんて放ってくれてもいいのに」


「馬鹿め。見つけた星を全て我が手に治めるのがグラゲのルールよ。そのために邪魔者は排除せねばならんのだ」


 そう言うとキイロショウジョウバエ男は懐から取り出したスイッチを押して巨大化した。これではもうコバエとは呼べない。対して渡海雄と悠宇も合体して、それに対抗した。


「メガロボット!!」

「メガロボット!!」


 ブンブンと細かな動きがうざったいキイロショウジョウバエロボットの動きを睨みつけるように見つめた悠宇は、一瞬のタイミングにすかさずチェイスを仕掛け、敵の動きを止めた。


「よし、今よとみお君!」


「ありがとうゆうちゃん。ならば、サンダーボールでとどめだ!」


 一瞬の隙を見逃さず、渡海雄は黄色のボタンを押した。電気の球はたちまち敵ロボットの全体を包み込み、マシンをショートさせた。


「ぐおおお! ここまでか!!」


 かくして機体の機能が完全に停止する寸前、作動した脱出装置に乗ってキイロショウジョウバエ男は宇宙へと帰っていった。


 今年もまだ半分そこら。本番はまだまだこれからとなるのでこんなところで死んではいられない。夏の到来の前に今週は雨が多いらしいが、それもまた望むところであった。

今回のまとめ

・今のところ割と理想的な流れで来ているけどまだまだこれから

・確変選手は何人いても困るって事はないしどんどん出てこい

・鈴木誠也はやる男だって最初から信じていた

・サンフレッチェはいつの間にか四位とは

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ