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六話

4月20日

今日は彼女の厄介ごとが片付いた。

これで彼女も安心して学校に来れるだろう。

彼女の分のノートはとっていたから勉学の方は問題がないとは思うけれど、出席日数が問題だ。流石に留年はしないとは思うけれど。

それにしても疲れた。明日の部活は休む事にしようかな。


……ああ駄目だ、明日は大会だった


====


『あ、もしもし。如月さん、あのね、今日の大会勝ったよ! 県大会行けるみたい!』

「そうなんだ、良かったー。結構心配してたんだよね。未結、私のせいで練習あんまり出来なかったから」

『大丈夫だよー。如月さん休んでから部活出てたからね。一夜漬けみたいな』

「それはすごいね」

彼女に負けた選手が可哀想に思えた。流石に言わないけれど。

『運が良かったんだろうね。ああ、でも県大会ってゴールデンウィークなんだよ』

「ふぅん、それは残念だね」

『そう! ああもう何で休日にやるのかな? 私は学校を合法的にサボりたいのに!』

「学校のある日休んだらノートとか面倒くさいよ?」

『え、あーそうかもね。授業とか一日休んだだけで宇宙語になるし」

「古文なんかは元から宇宙語じゃない?」

『古文は日本語だからまだわかるけどね。……あ、そうだ。今週の授業のノート明日持っていく?』

「あ、うん。よろしく」

『じゃあ明日のお昼頃にコピー持ってくね。じゃあねー』

「うん、ばいばい」

ぴっ、と携帯電話の電源ボタンを押して、通話を終了させる。

ああ煩かった。

いつもはあそこまで元気ではないのだが、今日は大会での勝利に舞い上がってしまっていたのだろう。騒がしいからメールで会話してほしかった。

「しかし去年も行ってるんだから報告するまででもないような」

去年も中学のときも県大会行って、もう新鮮味ないだろうに、そんなに喜ぶことなのだろうか。

リビングに降りて郵便物を確認する。

チラシと、母親宛の封筒。そしていつもの私宛の——

——手紙がなかった。

終わったのか。

いつもいつも毎日毎日飽きる事なくずらずらと自分のことと私の態度について書いた気味の悪い手紙。当事者になると馬鹿かと笑うよりも恐怖感の方が出ることを初めて知ったものだ。

前は手紙のみで済んでいたが、一昨日は家の前でずっと立っていたからこれからどうなるかが怖かったのだが、その心配はしなくて良さそうだ。

未結の機嫌が良かったのだから、もう何もかも終わっているのだろう。

前も未結が楽しそうに電話してきた次の日には面倒な教師は精神を病んで辞職してたし、嫌な女子はいつの間にか転校した。

今回はどうやったのだろう。説得なんてストーカーには効かなさそうだが。「まあ関係ないからいいか」

彼女は友人だ。とても役に立つ友人だ。ところどころ歪んでいるが、それでも有益な友人だ。

だから彼女の関係はまだ切らない。彼女がどれだけ狂っていようとも友人でいる。


役立たずになったら切るけれど。

唄いながら殺す女の子と腹黒いヒロインが書きたかっただけでした。


ありがとうございました。


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