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四話目

***

4月19日

どうやら説得は不可能の様子。

言葉が通じないのかと思う程、相手の行動が読めない。

いつものようにしても効果はなさそうだ。

というより逆効果でさらに悪化する可能性がある。

さてどうするか

***


朝に学校につくと、机の中に手紙が入っていることに気付いた。

封筒はなく、便せん一枚の手紙だ。

蒼凪からの手紙だろうか。無事なら良いのだが。

そう思って手紙を開く。


『貴方が思っている人の状態をおしえてあげる。夜、西区の学校近くの廃ビルに一人でおいで』


パソコンで打った文字で書かれた手紙で、差出人は全く不明というわかりやすい罠だった。

やっぱり彼女は事件に巻き込まれているようだ。なんで俺は気付かなかったんだろう。

いつだ。彼女が休みだしてからか。そういえば彼女は何かに困っていた。最後に見たとき酷く怯えていた。

助けを求めてくれたらすぐに駆けつけたのに、そんな余裕もない程彼女は追いつめられていたのだろうか。

今度こそ、彼女を助けるんだ。

犯人からの手紙の通りにしてやろう。

俺は家に戻って何か手頃な武器を捜したが、結局傘くらいしか見つからなかった。

金属バットなどがあれば心強かったのだが、生憎と俺は野球少年じゃなかった。

何で俺はあの見た目は子どもの名探偵アニメなんかに触発されて少年サッカークラブに入ってしまったんだろう。

あんなの出来る訳なかったから、すぐやめちゃったけれど。

くだらないことを思い出していると、何時の間にやら窓の外が茜色になっていた。

日が落ちれば、彼女を助けることができる。

無事でいてくれるといいのだが。

心配で待ちきれなくて、まだ夕方という時間帯なのに目的地へ向かった。

言われた通りの場所、西区の廃ビルには迷う事なく着いた。うちの高校のの近くに廃ビルはここだけだ。

随分と前から崩れ、朽ち果てそうな場所。取り壊しの工事もされず、放っておかれた場所など、素行の悪い連中などが溜まっていそうだ。勝手なイメージだけど。

時計を見ると、時刻はまだ六時。真っ暗ではあるが、夜という時間ではない。

手紙には夜と書かれていたから約束通りの時間ではないが、そもそも手紙に正確な時刻が書いてないのだから俺のせいじゃないことにする。

ビルの入り口で数回深呼吸し、精神を落ち着かせる。興奮しては駄目だ、冷静な判断が出来なくなる。

覚悟を決めて中に入ると誰もいなかった。

俺の予想だと彼女をいたぶる悪人とか、彼女に惚れたが振られた恨みで誘拐した男とかがいたんだが……。

なんだか拍子抜けする。もしかしたらただのいたずらだったのだろうか?

いたずらならばここにいる意味はない。しかし、万が一ということもあるので呼びかけてみることにする

もしいるとしたら奥の方だろうか。それとも上だろうか?

「蒼凪ー? 誰かいるのか?」

まずは奥に進むことに決めて、呼びかけてみる。

カツカツと靴の音がひびくが、それ以外の音は何もない。

少し恐ろしくなりながらも暗闇に呼びかけ続ける。

「蒼凪ー? おーい」

「うるさい」

突然後ろから声がし、次の瞬間には後頭部に強い衝撃を受けて、意識をなくした。


文章で緊迫感を表せる人に尊敬します

ありがとうございました

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