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一話

犯罪行為が書かれてますが、真似しないで下さい


4月9日

新学期早々厄介ごとができた。

というよりも前からあったのだろうけど。

どうにかできないだろうか。

とりあえず彼女のそばにいよう。

何かあっても彼女を守れるはずだ。

その前に明日の課題テストをどうにかしなければ。


***

俺はごく普通の高校に通っているごく普通の高校二年生だ。

成績は良いとは言えないが特別悪いという程ではない。運動能力も悪くもないがよくもない。顔……は普通だと思う、多分。

容姿も能力もさらには名前も平凡で、普通だ。

何か取り柄があるとすれば、服装検査でひっかからないというところだろうか。我ながら情けない。

けれど最近、一つだけ普通じゃないことがある。

それは、彼女が出来た事だ。

彼女が出来るのは普通かもしれないが、俺にとっては初めての彼女だし、普通ではないことにカテゴライズされる。

彼女の名前は如月蒼凪、俺と同じクラスの当然ながら女子だ。


俺の彼女はとても賢い。

テストでは数学も生物も化学も大体の教科で五番以内に入っている。

でも苦手な教科もあるらしく、現代文と古典だけは十番くらいまで落ちている。

それでも充分賢く、俺に余裕で勝っているから少し羨ましい。


俺の彼女はとても可愛い。

黒髪ボブカットの髪型に、雪のような白い肌。大きな瞳。それを縁取る長い睫毛。

身長は女子にしては少し高めで160cm。体重はわからないが、痩せてるから標準以下かもしれない。

百人中百人が美少女だと言う容姿だろう。

うちの高校の制服は地味なブレザーだが、彼女が着ればとても可愛らしい衣装だ。

もうデートしたから私服も見たが、とても可愛らしく彼女に似合っていた。

惚れているから贔屓目で見ているのかもしれないけれど、とても可愛い。


俺の彼女はとても恥ずかしがりやだ。

学校の教室などで俺と話したりはしない。

彼女のような可愛い子と俺みたいな地味な奴が喋っていたらからかわれる可能性は高く、とても面倒くさいことになるのがわかっているからだ。

だから俺はいつも彼女に手紙を書いてやりとりをしている。

彼女は携帯というものを持っていないのだ。

だからちょっと面倒だけど手書きで我慢しているが、今度俺がお年玉や小遣いを使って買おうかとも考えている。

未成年でも契約って出来るんだろうか。


彼女はとても人気者だ。

俺とは違って、たいてい数人の女の子に囲まれている。

特に仲が良いのは思井未結という女子だ。

蒼凪と同じくらいの身長で、黒髪を二つに縛った地味な女子だ。

蒼凪とは中学からの友人らしく、いつも一緒にいる。

共通点が何もなさそうなのにどこで仲良くなったのか、いつも不思議に思う。

蒼凪と思井は家が近いらしくよく一緒に帰る。蒼凪は嫌な顔せずに了承して、いつも二人で並んで歩く。

俺も彼女と一緒に帰っているから個人的には邪魔なのだが、彼女は優しいのだからしょうがない。

でも思井は部活をやっているらしく、三人で帰るのは週に二日程度で済む。後の三日は俺と蒼凪の二人で帰れるのだから満足だ。

テスト期間中は三人だから苛々するけど、我慢してやっている。

ただ、最近はテスト期間でもないのにそいつが毎日ついてきている。しかも彼女の家の前までだ。

これでは俺と彼女が二人っきりになる時間がない。

今までは思井は途中で別れていた。そこから蒼凪の家までは五分程度しかないが、短くとも二人っきりの時間があったのだ。

彼氏なのだからデートすれば問題ないのだろうが、あろうことかそいつはデートのときまで着いてくるのだ。

先週だったか、春休みのときに彼女と映画を見に行った時、彼氏の俺を差し置いて彼女の隣にずっと思井がいたのだ。蒼凪は優しいから何も言わなかったが、内心はきっと迷惑だっただろう。思井はどうも空気が読めない。

そういう空気の読めなさがクラスで孤立している原因なんだろうと勝手に推測しているが、大体合っていると思う。

そんな奴と仲良くできる彼女はやはり尊敬に値する。

ああでも最近は蒼凪も元気がないからきっと、嫌になったんだ。

早くなんとかしてやらないと。

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