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■05 <造幣機械>■

しばらくするとまた一部で物々交換が再開され始めた。

市場に物は増えたがMP通貨はあれからほとんど増産していなかった為に

相対的な流通量が減ってしまった為らしかった。


正平は現在の最大価値を持つ貨幣である500MP通貨、別名金貨を造るならともかく

弱い魔力で永遠と出し続けなければならない5MP通貨、別名銅貨を造るのが面倒だった。

しかし、市場で最も必要とされているのがこの銅貨で、だいたい1食分の価値がある。


さらに調査したところ相対的だけでなく、実際にドワーフがMP回復用途という

本来の使い方で消費することがあるらしく、本当に実数が減っていた。


そこで、銅貨を人間に造らせることにした。

<造幣機械>を4つ追加で造ってもらった。

それを、第2~第6の駅に設置した。

誰もがMP6を消費して5MP通貨をゲットできるようにしたのだ。


これで毎日駅に行けばとりあえず最低1食はありつけるようになったわけである。

まだまだ偏りがあり、丸一日食事にありつけないような人も結構いた。

なるべくそうならないような政策を考えているがそうそう簡単に行くものではない。


もともと、最低限度を全員に行きわたらせるというのを一つの目標としてきた。

この方法なら、駅に行けばとりあえず1食分ありつける。

単純な施しではない、ベージックインカムとして機能し始めた。


銅貨の流通量が増える。

僅かばかりインフレしたが、許容範囲である。

それに消耗品としてもMP通貨は優秀であった。


相対的に銀貨や金貨が減ってきたので、正平は一気に増やした。

増やした銀貨と金貨は、第二草原に設置した銀行に保管されここで両替することができる。

銅貨を稼ぎまくった商人が持ち運びの便利な金貨や銀貨に変換しておくのだ。

又ここでは、正平と近衛が出す小切手をMP通貨と交換することもできる。


小切手は現在のところ、羊皮紙に墨で発行者と金額を書いたものである。

絞めた家畜やエルフがとらえた謎の野生動物からとった皮で羊皮紙が造られていた。

まだまだ貴重品で、市場にはあまり出回らない。


10000MP通貨(金貨20枚分)以上から預けることもできる。

これは暫定的に始めたサービスで、普通利息がつくものだが、

預け代金として逆に100MP通貨支払わなければならない。

預けた金額の証書が発行され、必要な時に証書と交換で預けたMP通貨を受け取ることができる。


取引額が大きくなってきた一部の商人に人気のサービスとなった。

金額が書かれた証書をそのまま同額の商品と交換するといった使い方がなされた。

小切手自体はまだ公平と近衛しか使えない為でもある。


銀行は現在のところ、第二草原にだけある。

その為なお一層第二平原の商業は活発化してきた。

海の駅に支店を出して欲しいという要望もちらほら聞こえてくる。


最初の造幣機械は銀行に保管され、たまに正平がやってきては金貨や銀貨を造った。

普段は近衛の1人が銀行を取り仕切っている。

念のために銀行の警備として常に2人常駐させ、交代制で昼夜問わず守らせてある。


駅に設置されている、造幣機械は連日長蛇の列である。

もう少し増やすべきだと思いつつ面倒なので放置している。

民間でもこの機械の受注許可を求めているようだが、保留である。


ちなみに銀行以外におかれている造幣機械は、銅貨のみを製造できる廉価版である。

さり気にMPの多いエルフも自らのMPを消費して銅貨を製造する姿を見かけることがある。


一子相伝門外不出の魔法石も、長老の許の元、一部公開許可が下り始めた。

最初に許可がおり商売になったのが、ドワーフの秘伝、

<効率上昇エンチャント>MP10

である。


これはのこぎりやスコップなど金属でできた道具にかけることにより

作業能率が30%ぐらいUPする魔法である。

その汎用性の高さから、魔法屋ができるやいなや大盛況となった。


消費MPは人間の種族値ぎりぎりであるので何度か通わないと習得できないが、

これも非常に魅力的な魔法であった。

ドワーフも<微消毒>MP1で使用料を取る魔法屋の大成功を羨ましげに見ていた為に

このことで溜飲が降りた。


さらにドワーフの追撃は続く。

MP通貨を補助にまわし、自分の魔力と同時に消費するアイテムを開発した。

その名もマジックアイテム<魔法の財布>


この財布にMP通貨を入れると、自分のMPに財布の中身分のMPが加算される。

そして消費するMPの足りない分は自動的に財布から消費される。

MP最大値の低い人間にとって超絶優れモノであった。


まだ、使える魔法の種類は大した数ではないが、将来的に増えそうな雰囲気がぷんぷんしていた為に、

この<魔法の財布>は飛ぶように売れた。

ドワーフ自身もそれまでは、MP通貨やサイコロ化した魔力を自分のMPに取り込むという形をとっていた為、

この財布は本人たちにとってもかなりの発明品だった。


この流れから、潜在的にMP10オーバーの魔法も利用可能になったと理解したエルフ達は

負けじと<ろ過>MP15を繰り出した。

これは、そこまでひどくない水を飲める水に変える魔法である。

調査隊に非常に重宝される魔法となった。


もちろん、正平は両方とも習得した。

彼らが商売を始める前に優先して魔法石を使わせてくれたのである。


こうして、<魔法の財布>や新たな魔法の御蔭でインフレが止まった。

ドワーフとエルフからの要望で、1番目の駅と6番目の駅それぞれにも造幣機械が設置された。


運賃は、どこまで行っても10MP通貨固定になった。

乗車する際にコインの挿入口に銅貨2枚を投入することになる。

投入されたコインはそのまま電車を動かす魔力に変換される。

正平がひそかに改良したのだ。


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