7/8
深海に咲く虹
眠れぬ夜の静寂は
深海に似ている
時計の針でさえ
泳ぐことを諦め
思考だけが水圧を増していく
誰にも見せられない感情が沈殿し
ラベルを失った記憶が
ゆっくりと降り積もる
ここでは
叫びも波紋にならず
涙は方向を持たない
上も下もなく
ただ重さだけがある
それでも
まぶたの裏で
理由のない光が瞬く
救いではなくとも
希望とも呼べなくとも
ただ
闇が闇であり続けることを
拒む証
すべてが沈んだ場所で
それでも虹色は生まれる
たとえ弧を描けなくとも
赤は鼓動の名残
青は忘却の温度
緑は忘れ得ぬ想い
紫は祈りに似た沈黙
誰かに見せるためじゃない
行き先も失った世界で
ただ存在するための
喘ぐような発光
魚も星も知らない
深海の底で
虹は咲くように揺れ
やがて闇と区別がつかなくなる
それでも確かに
一瞬
水の中で屈折した
眠りと目覚めの
狭間で
迷わぬ導となるように




