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1-5.霧の中の裁き

夏のホラー2025参加しています。よろしくお願いいたします。

痛みが強くなるとともに、霧は濃くなり、視界がほとんど遮られた。空気は湿って重く、鼻を突く土の匂いが混じっている。周囲は不気味な静寂に包まれ、遠くで微かに何かが擦れるような音が聞こえた。その音が、じわじわと胸の奥に不安を植え付けていく。

そして霧から大きな男が現れ、その威圧的な姿に思わず息を呑んだ。黒々とした髭は顔全体を覆い、鋭い目はまるで魂を射抜くかのような鋭さを放っている。豪壮な衣装に身を包み、巨大な刀を肩に担ぐ姿は、まさに地獄の支配者そのものだった。


「あぁ…まさか、閻魔大王様…?」と、俺は思わず口にした。恐怖と敬意が入り混じった声は、自分でも驚くほど震えていた。

目の前の男は、その名にふさわしい存在感を持ち、全ての罪を見透かすような冷徹な眼差しで彼を見下ろしていた。

ふと、昔のことを思い出した。彩たちと出会うまでは、俺はかなり悪い人間だった。いつも睡眠不足で、苛立ちと暴力的な性格を抑えきれず、友達もほとんどいなかった。


これは本当に夢なのか?それとも、俺はいつの間にか死んでしまったのか。過去の罪が、今この瞬間に精算されようとしているのだろうか?死後は安らかでありたいと願っていたが、どうやらそれは叶わないようだ。この絶望感が胸を締め付け、冷たい汗が背中を伝う。


そう思った、次の瞬間、男は、静かに微笑んだ。その笑みには、不思議な威厳と慈愛が混ざり合い、冷たくも温かい、不思議な感情が胸に湧き上がった。彼の背後に広がる霧は、まるで別世界と繋がっているかのようで、その奥底に何か恐ろしいものが潜んでいるように感じられた。


男の隣にはいつもの青い瞳が俺を睨んでいた。

突如、「はあっ!」という女性の掛け声が車内に響き渡り、霧が晴れていく。

そして、大男の隣にいる人物がゆっくりと霧から姿を表した。

その人は小顔で後ろ髪が肩にかからないショートヘアの黒髪美女であり、俺を睨む青い瞳をしていた。

緑をアクセントカラーとした白い巫女のような服からは神聖さが感じとれた。


女は腰から大きな剣を抜き取り、大男は車を受け止めた。

そして女はひょいひょいと車に飛び乗り、徳松さんの顔をした異形のモノに剣を突き刺した。

「ぎゃああああああああああ!!!!!!!」という悲痛な叫び声と異形のモノは灰に変わった。

女から「おかえりなさい。ずっと待ってたよ。」という言葉が聞こえた後、痛みから開放され俺の眼の前は真っ暗になった。おそらく夢から現実に戻る瞬間だ。今はただ、静かな場所で心を癒したい……それだけを願った。


目が覚めると俺は裸で露天風呂の中にいた。風呂の中には俺と他に3人がいる。

駿、彩、そしてさっきの夢に出てきた女。

彩が「やっと目が覚めた!良かったぁ!」といってこっちに抱きついてくる。

駿と女はその姿を見て微笑みを浮かべる。

「待て!いろいろ当たってる!彩、少し離れてくれ!」俺の体と彩の体がいろいろ当たってなんとも言えない状態になっている。


想像していた癒やしとは違うが、恐ろしい夢から戻ってこれたことに俺は安心した。

俺達はどうやら目的地に到着したようだ。

しかし、あの女性とは初めて合うはずなのになぜ夢にでてきたのだろうか?彼女は一体何者で、なぜ毎回夢の中によく出てくるのだろうか?

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