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浮気の証拠が……出てこない‼ 2

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本日二回目の投稿です。

 ……おかしい。


 ジュリーに、商業ギルドの裏ギルド長ガブリエルに手紙を届けてもらって、二週間。

 ガブリエルからわたしへ手紙の返信ももらって、調査を進めてくれる回答をもらったけれど、待てども待てども報告がなかった。

 クロードは浮気三昧な生活を送っているはずなので、すぐに尻尾を掴めると思ったのにどういうことだろう。


 ……まさかガブリエルが怠慢なんじゃないでしょうね?

 わたしが直接出向かなかったから足元を見られているのだろうか。

 このままずるずると放置されてはたまったものではない。至急、対策が必要だ。


「ジュリー、今日の納品はわたしも行くわ」


 本当は、あまりこの部屋から出ない方がいいとは思う。

 何故なら部屋を空けた途端に、荷物――といってもほとんどないけど――を三階の使用人部屋に移されて、この部屋から閉め出される可能性があるからだ。

 とはいえ、このままでは埒が明かない。

 わたしは完成したピアスを箱に入れて、念には念をと部屋に施錠すると、ジュリーと共に玄関へ向かった。


「奥様、どちらへ?」


 すれ違う使用人はわたしをきれいさっぱり無視していたけれど、玄関にたどり着いたときに、背後から一人の男に声をかけられた。

 外見で判断するなら、四十歳前くらい。

 燕尾服を着ているし、なんとなく執事っぽいから、執事のフロベールだろうか。小説には執事の挿絵もなかったから判断がつかない。

 すると、ジュリーがこそっと「執事のフロベールさんです」と教えてくれた。


 ……やっぱり執事だったか。なるほど、これがクロードの腰巾着。


 侍女頭が義母の腰巾着だとすれば、執事はクロードの腰巾着だ。つまり、敵。

 ここで下手に嘘をつくのは得策ではないだろう。

 どうせクロードのことだ。わたしが商売をはじめたことくらい気づいているはずである。


「商業ギルドに行くのよ」

「お供いたします」

「必要ないわ」


 クロードの腰巾着についてこられたら、ガブリエルと話ができないではないか。断固阻止だ。

 わたしは、相手に反論をさせないために、にっこり笑って嫌味を放ってやることにした。


「今日まで一か月と一週間、ずっとわたしのことをいないもの扱いしていたのに、いきなり使用人らしいことを言われても困るわ。だってわたし、あなたのこと、全然信用できないもの」


 ついてきたいならわたしの信用を得てからにしろよ、というようなことを言ってやると、フロベールが困ったような顔をする。


 ……そんな顔をしても無駄です~。


 こいつがクロードの腰巾着である以上、わたしは未来永劫こいつを信用することはないだろう。


「それではせめて、馬車を出しましょう」

「わたしの邪魔をしないと言うのなら、そのくらいならいいわよ」


 春もだいぶ終わりに差し掛かって、だんだんと気温が高くなったからね。

 歩かなくてすむならそれに越したことはない。

 いってらっしゃいませ、と慇懃に腰を折るフロベールに見送られて、わたしはジュリーと馬車に乗り込んだ。



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