黄昏の決闘
不備が目立つかもしれませんが、大目に見てくださると幸いです。
「夕方屋上で待つ。首洗って待ってろ」
ある朝、そんな紙の切れ端を、教室の引き出しの中から見つけたオレは困っていた。
まず、いつの放課後のことなのか分からない。本人に聞けばそれで済む話なのだが、名前が書いていない。字の癖を見ようにも、明朝体で印刷されたプリントである以上、誰の可能性も否定しきれない。
次にどこの屋上かということだ。深く考えないならば、今いるこの学校の屋上ということになる。それ以外ならば、相手が分からないのだからお手上げだ。オレ自身には屋上に何か思い出があるわけではない。百歩譲って、授業でのみ利用する特別教室くらいの程度である。
さらに誰の仕業かということ。通り魔的な行為でないなら、オレに恨みをもつ奴に限られよう。ただ、恨みごとになりそうな出来事は、おびただしい頻度で関与しているから、そのうちのどれが引き金となったのか検討がつかない。
そして、何が夕方の屋上で行われるのだろう。首洗うべきことだからやはり喧嘩であろうか。……頭の出来がいいわけではないからかさっぱりだ。おかげで謎が謎を呼び、脳内をハムスターの動かす回し車のようにぐるぐる回転していた。
「何?決闘?そんなの今どき古いでしょ。無視しなよ。どうせからかってるだけでしょ。」
それは一理ありそうだ。呼び出しにしては、情報量が極端に少ない。本当は呼び出す気がないのかもしれない。
「そいつは松尾からか。うーんお疲れ。」
悪意のない内容ならば松尾であると言われても納得がいく。
試しに聞いてみることにしてみたほうがよさそうだ。松尾とはある事件以来距離を置いてしまっていたので、話しかけるのがはばかられる。
一応、松尾をマークし続けていたが、たまに目があって頬を赤らめるくらいしか収穫がない。要するに下調べ、大失敗。日が暮れ途方に暮れるオレだった。
一応校則はエロ本の持ち込み以外で破ったことのなかったオレにとって、その扉は開けてはならぬと言う気持ちが働いた。約束破るダメ、ゼッタイなる気持ちと葛藤し、ノブをガチャガチャしていると突然向こうへ吸い込まれた。二つの気持ちは双方とも守られたが、代わりにオレの目ん玉が犠牲となる。とてもじゃないが目を開けられない。おひさまはこんにちは、とばかりに顔を覗かせるが、明るすぎるし近すぎるし臭い?…おっと、ボットン便所が寝室でもここまではならないだろうこの臭いは、まさか…
「よう、ジョニー。遅かったな。まあ、入れや」
村尾だ。恐る恐る半開きにして見たが、逆光のせいか落書き済みのピクトグラムにしかみえない。が、それでも素早く動くかたまりに気づいた。お腹を雑巾絞りの如くねじり、かたまりとの接触を防ぐ。互いにひとときの静寂が訪れる。ねじれを崩し、こちらが拳を叩き込む。床にぶつかる鈍い音がした。
どうやら、村尾だけの犯行ではないようで他にも黒いのが突っ立っている。ひと息つくと同時に野獣たちが襲いかかってくる。オレは扉の中へ戻り、すかさず再び開く。野球でいうボールがバットの芯に当たったかのような快音?が響いた。勢いがありすぎ、屋上へ放り出される。隙ありとばかりに襲いかかってくる影はもういなかった。
「おかえり俺たちのジョニー」村尾がか細くほざく。
「わざわざこんな身体はったことしなくてもいいとは思ったんだけどな、村尾が聞かなくてな。」と松尾。
「計画はしたが、お前やりすぎだ。今度はリンチにしてやるからな。」こええよ。
まあ、何はともあれサンキューな。
最高の出所祝いだったぜ。
最後まで読んだ頂きありがとうございます。
また、どこかでお会いしましょう。




