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とある鍛冶師の物語  作者: すごいHUBUKI
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一人の鍛冶師の冒険譚

初書き

カンッ...カンッ...カッ

石造りの部屋の中に噎せ返るような熱気がこもり鉄を鍛える鋭い音が響く。だがその音に交じり、鉄を打ち損じ金床を叩く音などが混ざっている。その中心に居るのは一人の少年であった。

「...やっぱまだ完璧には打てないな。」

そう言葉を発しながら鉄を鍛えるその少年の名はオブシデア・アーカーシャ。十三歳。駆け出し鍛冶師の少年である。彼は父親と二人で暮らしている。母親は彼がまだ物心つかないときに死んでしまった。父の教えを受け、鍛冶師の道を歩み始め、今、最初の一振りを造っているところである

「アーカーシャ、いつも言っているが鉄と槌の声を聞くんだ。そして鉄に集中しろ。そうすれば少なくとも打ち損じるこたぁねえ。魂をちゃんと込めて打つんだ。武器にゃ職人の魂が宿る。そしてその魂の器に装備者の魂が乗っかるんだ。魂を込めなけりゃ強い武器は作れねえ」

そう少年に告げるのは彼の父親であり師、フェルム・アーカーシャ。五十三歳。武器鍛冶に関しては一級の腕を持つと謳われる名の知れた武器鍛冶師であり、彼の作る武器はこの世界の中心と言われる王都、グラディシアの探索者や狩人達にも人気である。しかし、彼は店を持たず気まぐれに王都に行き武器を売る。そんな彼に付けられたあだ名は【妖精鍛冶屋】。その気まぐれさ、会えたら幸運と言う意味でつけられた名前である。

「分かってる...よし...もうひと頑張りだ。」

そしてまた部屋に音が響き始める。鉄を熱し、畳み、叩く。ただひたすらにそれを繰り返していく。特殊な鋼の合金だから出来る芸当である。そして鉄塊だったそれはいつしか剣の形になっていた。

「...良し...いいぞ...」

それは親か子か、どっちの声だったか分からない。そしてその剣に特殊な土を塗り、紋様を付け冷水に慎重に、かつ大胆に入れて行き冷やし仕上げていく。その後少し熱し、完璧に仕上げていく。そこから微調整などを繰り返していく。そして、美しい反りのある片刃剣がそこに完成した

「...どうかな、父さん...」

「...ああ、上出来だ。」

「ほんとに!?よっしゃぁっ!ありがとう父さんっ!」

「いや、お前の努力の結晶だ。俺はその手助けをしたまでよ...にしてもよ、なんでこのタイプの剣にしたんだ?他の剣のほうが作りやすいだろうし扱いやすいと思うんだがよ」

「好きだから...かな?」

「...なるほどな!野暮なことを聞いちまってすまねえな、そりゃ好きなもんを作るのが一番だ!」

ガハハと笑いながらオブシデアの背中を叩く

「ゔっ...痛いよ父さん...」

「そんなことよりよ、そいつに名前を付けてやらねえか?」

「名前?」

「ああ。俺も特に会心の出来の武器には名前を付けてやってんだ。そっちの方が愛着も沸くだろうしよ?」

師のその言葉に納得し、オブシデアは少し考える

「うーん...初めて作った剣...初めて...よし、お前の名前は『始剣ファステト』だ。」

「おう!良いんじゃねえか?」


これは駆け出し鍛冶師オブシデアの始剣ファステトから始まる物語。


________________________________


「行ってきます」

「おう、張り切って行ってきな!」

今日は俺、オブシデア・アーカーシャの十五の誕生日。俺は自作の剣、ファステトを持ち密かに憧れていた探索者になるため、父に見送られながら探索者組合へ行く事にした。

と言うのも、成人の十五にならなければ探索者や狩人になってはダメと父さんに言われていたのだ。

だから今日、準備をしてすぐに王都グラディシアの探索者組合へ向かった。



このようなものを読んでいただき、ありがとうございます。

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