共同生活(Ver2.0)
俺はキッチンで朝食を作っている。
奥の部屋ではソラがテレビを見ている。
猫ではなく少女として…
「やっぱり、違和感は拭えないな…w」
まぁ、元から2人だったわけだが…
でも、ソラが猫ではなかった事で料理は一気に楽になったな~
今まではあいつの分は別に作ってたけど、これからは自分の分を増やすだけでいいからな!
完成した朝食を運び俺は食卓につく。
「ほらソラ、できたぞ~」
「わぁ~! 美味しそう!!」
「そんなに目を輝かせなくてもいいだろ…」
「だって私のご飯、慧とはいつも別だったから…」
「そういうことならお昼も楽しみにしとけよ~」
「楽しみにしてる…!」
目を輝かせるソラはため息が出るほどに可愛らしかった。
今まで違いしっかりソラと会話ができるから尚更実感できる。あの指輪は本当にすごい。こっちの言語に勝手に合わせてくれるらしい…俺もそれがあれば英語のリスニングも楽勝なのになぁ…
実際、それは少し言っては見たが、魔力のないこっちの世界の人では指輪の効果はない…実際にソラが指輪をすぐに使わなかったのもそれが理由。ある程度体力が付き、体内の魔力回復が安定したため使えるようになったらしい。なんとも難儀なものだ。
羨ましそうにソラの指輪を見ていると、ソラの方から声をかけてきた。
「ねぇ、慧?」
「ん、あぁ、どうした?」
「なんで慧のこと、おにいちゃんって呼んじゃダメなの?」
「あぁ、それは周りに聞かれると面倒になるから…あと、俺がもたない…」
「もたない? 慧、妹が欲しいってずっと言ってたのに…」
「いや、それはそうなんだが…」
実際に美少女に「おにいちゃん!」って言われると…色々やばい…!
「とにかく、俺のことは慧って呼んでくれ…」
「慧がそう言うならそうする」
ソラは納得してくれ、食パンにかぶりついた。
笑顔で頬張るソラを見ていると『慧』にしたことを少し後悔した。
「やっぱり、ここは無茶でも願いを叶えた方が…」
「ねぇねぇ、慧」
「なんだソラ、今俺は人生をかけた決断をだな---」
「学校、行かないの?」
「え?」
時計の針はすでに8時を指していた。
「おぉ、もう時間か! ソラ、ありがとな!」
「うん、行ってらっしゃい」
食パン片手のソラに見送られ、俺は学校へ向かった。
通学路にて
ソラが少女になって数日が経った。
今まで猫だと思ってたやつが人間だったのには未だに動揺する俺がいるが…少女であったとしても別に俺は捨てる気はないし、どっちかと言うと役得ですし…
でもまぁ、問題が無いわけでも無いわけで…
まず、ソラのことは口外しないこと
もし俺が少女とひとつ屋根の下に住んでいるとバレたら…
俺は間違いなくお巡りさんのご厄介になる…それだけは避けないといけない…
まぁ、問題と言ってみたがこれに関してはよっぽどのヘマをしなければ問題ない
なんせ、ソラは猫になれるから人前では猫でいればバレることは無い。なんでも本人は猫の姿は生活しづらいらしくなるべく人の姿でいたいらしいが…
まぁ、とにかく大丈夫だ!
問題といえば内面的な方がほとんどだ。
元猫とはいえ俺はこれから少女と暮らしていくわけだ。
食費とか生活費とかもどうにかしなくちゃならないし…俺のメンタルの方もやばい…
ただの陰キャぼっちオタクの俺があんな美少女と本当に暮らしていけるのだろうか…全く不安が絶えない…はぁ…
「あ、けいちゃん、おはよ〜」
「あぁ、おはよう」
いつの間にか成実との集合場所に着いていた。
「どうしたの~? 深刻そうな顔してるね~」
「…分かるか?」
「うん、けいちゃんは分かりやすいからね~」
そんなに顔に出てるのか…気をつけよ…
「で~、どうしたの?」
「いや、ソラとの生活のことだよ」
「ソラちゃんとの事、まだ悩んでたの?」
「そりゃ、簡単に割り切れねぇよ」
「別にさ~今までと変わらないんじゃない?」
いや、流石に変わるだろ…ペットから同居人、全然違う
「猫の時もソラちゃんはソラちゃんだったんでしょ? なら~見た目以外なにも変わらないじゃん!」
確かに成実の言い分も一理ある…確かに見た目以外は同じなんだよな…
俺は少女のソラと、猫のソラを思い浮かべた。
…そう思えば、猫の時も変な行動してたもんな…そりゃ中身は人なんだから当然だけど…そう中身は人…
…待てよ、あいつは猫でも人だったんだよ! そうなると、あいつをお風呂に入れたり、トイレを…俺はリビングでやらそうと…!?
俺は過去にソラにしたことを思い出し、顔が青染めていくの感じた
「けいちゃん?」
「あ、あはははは…」
「けいちゃんが壊れた…………いや、元々か」
成実の発言、いつもなら食ってかかる所だが今はそれどころではない!
つまりだ、俺はいたいげな少女と…お、お風呂に…しかもトイレを部屋で強要して…
……これは留置所待ったナシ
「なぁ、成実…」
「う〜ん? どしたの慧ちゃん?」
「俺、ソラのこと絶対守りきるわ!何がなんでも!」
「…それ結構危ないこと言ってるのわかってる?」
成実の俺に対するレッテルにオタクに加えて、ロリコンが増えたのは言うまでもない…