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夢見る少年の1人と1匹生活  作者: 暁 栄二
第一章
4/7

謎の少女

猫との生活にも慣れて来たある日。

「えーと…これはどういう状況ですか…」

俺は見知らぬ場所にいた。

周りには人の気配はなく、路地裏のようだった。周りの建物はレンガで作らていて、日本とは全く違った雰囲気を放っている。

この感じ好きなラノベの世界に似ていてテンション上がるなー、はっはっはっ…

…って!! いやいやいや!! おかしいだろ!?

なんで俺こんなとこにいるんだよ!?

何、俺は寝てる間に飛行機に乗って外国まで来ちゃったのか!?

わーい、初めての海外旅行だー(棒)

って言ってる場合か!

俺がセルフ脳内ツッコミを入れていると、前方から無邪気な子供の声が近づいてきた。

その声の主は小学生ぐらいの男女の4人組だった。

無邪気に駆けてくるその子たちをみて、俺は確信した。

「うん、これ夢だわ」

なんでこんな急に冷静になったかと言うと…

まぁ、あれを見たらね…

振り返り子供たちを見るとその頭には明らかな獣の耳が付いているではありませんか。

一般人なら逆に動揺するところだが、2次元に魂を売る程のオタクならば現実の非情さはよく知っている。

現実には獣耳っ娘は愚か…ブラコンの妹すら存在しないことを…

俺は何故か夢の世界なのに現実に打ちひしがれながら、とりあえずこの路地裏から出ようと大通りをめざしてた。

ある程度進むと目標の人通りも多い大通りに出た。

真っ直ぐに伸びる道のその先には大きな城が見えた。遠く見てもわかるほどの立派その城はこの国が大国であることを物語っていた。

城を眺めていると俺の視界に一瞬ノイズがかかると景色は一変した。

周りには火が上がり、建物は崩れ、そこらかしこに人が倒れている。さっきまで見ていた立派な城も火に飲まれ、その威厳を失っていた。

…なんだよ…これ…


俺はそこで目が覚めた。




「なんなんだ、今のは…またかよ…」

前にも変な夢を見たし、俺やばいのかもしれん…顔でもあらってスッキリするか…

起き上がろうとしたその時、俺は違和感に気がついた。

ん? なんか布団ふくらんでません? え、昨夜の鍋で太った?

いやいや、そんな人体はしていない!

違う、なにかが俺の上にのってる? え、怖! 怖いんだけど!?

正体不明の物体が自分に密着しているという状況を理解し、恐怖が込み上げてくる。その不安から俺は勢いよく布団をめくるとそこに居たのは……!!!!?!

可愛らしい少女だった。

「…………………」

ふぁさ

俺はそっと、布団を戻した。

まて、何かいるんだけど。結構幼い子供が俺の上にいるんですけど。俺には妹は居ないよな…親戚が来るなんてことも無いし…そもそもこんな子知らないしな…会ってたらこんな可愛い子忘れるわけないし。

と言うことは、この状況の答えは1つしかない。

俺は寝てる間に旅行ではなく少女を誘拐したと……?

………………………………

………………………………

………………………………

……ピッピッピッ…

俺は自分の携帯を開き、110番を打ち込んだ。

うん、自首しよう…

その時、布団の山が動きだした。

「うーん…朝ですか?」

その少女は目を覚ました。

「あ、お…おはよう…」

俺が動揺しまくりパンクしそうな頭で何とか言葉を絞り出す。

俺の上で眠たそうな目でその少女は

「…どうしたの? ()()()()()()?」

俺はこの瞬間、再び深い眠りに落ちた。



それから数分後、

ピンポーン

「……あれ?」

ピンポーン

「慧ちゃ~ん!……いないのかな?」

ガチャ

「お、開いた! もう、早く開けてよ~」

しかし扉の先にいたのは慧ちゃん、ではなく黒髪の女の子だった。

「…っ! 成実!!!」

「え? 誰この子?しかも私の名前ー」

その子は私を見るなり抱きついてきた。

「成美…!!」

「はーい、成実ちゃんですよ~どうしたのかな~」

「慧が…!」

「慧ちゃん? ちょっと失礼するよ〜」

部屋の中に進むとそこにはベットで眠る慧ちゃんの姿があった。

「お~い、慧ちゃん! 起きて~!」

「う…うん?…成美?」

慧ちゃんは目を覚ますなり、不思議そうに首を傾げて、

「成実がなんで俺の部屋に?」

「慧ちゃんが呼んだんじゃん、キャットタワーの組み立て手伝ってって」

「あぁ、そうだったな…すまん、さっき天使を見てそれから気を失ってたみたいだ」

「天使?」

「そうそう、俺の事をお兄ちゃんって呼んでくれる黒髪少女が…」

すると私の背後にくっついていた少女は背中から顔を出すと

「おにいちゃん?」

「そうそう、ちょうどこんな感じの…うん?」

「おにいちゃん!! 良かった!!」

「え、なんで天使うがァ!?!!」

慧ちゃんは黒髪少女のダイブを受けた。

あぁ〜、あれは痛いやつだな~、綺麗に下腹部に当たってるよ

「おーい、大丈夫?」

「…う…あぁ、何とか…痛ってぇ」

「それなら、そろそろ聞いていいかな?」

慧ちゃんに抱きつく少女の頭にポンッと手を置き、

「この子は誰なの?」

笑顔で問い詰めると、慧ちゃんは少し肩をビクつかせると、

「いや、それはこっちも知りたいんですけど…」

「~♪」

「……まぁ、可愛いしいいんじゃー」

「ダメだよ?」

私の友人がおかしなことを言うだけじゃなく、とうとうおかしな事をやらかしてしまった。

「ですよねー」

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