猫との生活開始
「………」
「にゃ~」
「…………」
「にゃ~ん…」
「……………」
うん、何回みても猫だよな
とりあえず、撫でて見るか
「……ゴロゴロ…」
おぉ、ゴロゴロ言ってるぞ!可愛いなぁ……ハハハ…
「…って、そうじゃねぇー!!」
「…にゃ?」
「なんで俺の家に猫がいるんだよ! なんで俺は猫なんかを拾ってきちまってるんだ!?」
危うくこの可愛さにこの状況を受け入れてしまうところだった。
でだ、なぜこの黒猫が部屋にいるのかだが…確か、俺は学校帰りにダンボールを見つけて、ガリガリだったこの猫を見つけて堪らず拾ってきたはずなんだが…
「…にゃ?」
めっちゃくちゃ元気なんですけど!?
足もふらついてないし、
結構あった傷も痕もなく消えてるし、
体は…そんなに変わってないな
全くもってどうなってるんだ?
こっちの気も知らずに伸び伸びとくつろぐ黒猫は不思議そうにこちらを見つめていた。
まぁ、とにかく拾ってきてしまった以上どうにかしないとな…1番手っ取り早いのは元いた所に戻すことだが、
「………」
「……にゃーん(いたいけな瞳)」
「…………」
「にゃーん(手にスリスリ)」
無理だぁ!! そんなこと出来るわけないだろ!!
こんな愛くるしい生き物を捨てるなんて死んでもできない!!!
拳を握り天を仰ぎながらここの中で叫ぶ。
「はぁー、何でお前はそんなに可愛んだよ。そうじゃなきゃ俺だってな…ん?」
「……(´,,•ω•,,`)」
「なんだ照れてるのか?」
ってそんなわけないか、猫相手に何やってんだ、俺。
これからどうするか。実家でもペットなんて飼ったことなんてないし、猫を飼う上で必要な物とか知ってそうな奴なんて、俺の知り合いに居たっけ…………………あ!! 居た!!
「…で、私が呼ばれたと?」
「俺の知り合いに猫飼ってるの成実しか居ないからな」
という訳で川本成実を呼んだ。
確か、成実は家で猫を飼っていたはずだから飼う上でのノウハウも知ってるだろうし、今の俺にはこれ以上の適任はいない!
「メールで大体の状況はわかったけど…慧ちゃんって動物飼ってたことなかったんだね~」
「実家では母さんが動物嫌いだったからな…1人で暮らすようになってからは自分のことで精一杯で考えすらしなかっし」
「なるほど、そういうことなら仕方ない。ここは慧ちゃんのためにも私が一役かいましょう~!」
「ありがとな、成実! マジで助かるよ!」
「いいのいいの~、慧ちゃんには色々もらってるからね~」
成実はそう言うと、俺のお気に入りの椅子の上でくつろいでいた猫にとことこと近ずいて行く。
俺が成実になにをしてあげたのかは全く分からないが、助けてくれそうなので詮索はしないでおく。
「この子が慧ちゃんがさらってきた子?」
「言い方気をつけろ。救助と言え、救助と」
「へぇ~、すごく綺麗な子だね~」
「種類とか分かるか?」
「うーん…私も詳しいわけじゃないからな~、捨てられてるってことは雑種ではないだろうけど、何かまでは分からないな~」
「流石に見ただけじゃ分からないか」
すると、くつろいでいた猫は成実のことに気づいたのか不思議そうに成美のことを見上げていた。
「で、この子を飼う為の餌とかはどうするの?」
成実は猫を撫でながら、聞いてきた。
猫の方も気持ちよさそうにゴロゴロと鳴らしている。
「いや、それを聞こうと思って成実を呼んだんだよ」
「あぁ、そうだったね~、そうだな、私の家では市販の餌を買ってるよ」
「じゃあ、食べされてみようぜ!」
「じゃあ、コンビニにでも買いに行く?ちょっとしたものならあったと思うよ」
「それなら、既に購入済みだ!」
俺は成美が来るまでに先に買っておいた色んなペットの餌が入った袋を持ってきた。
「流石、慧ちゃ~ん、じゃあご飯を上げてみてよ~」
「おう!」
俺は袋からキャットフードを取り出し、皿に盛り付けて猫に与えた。猫は皿に盛られたキャットフードを不思議そうに見つめていた。 そして、1口キャットフードを口にしました。
「おぉ…!って、吐いてるじゃん!!」
口に合わなかったのか猫は食べた瞬間に吐いてしまった。
「キャットフードは嫌いだったのかな~?」
「もしそうなら、どうすれば…」
「キャットフード以外にも餌はあるでしょ?」
「いや、それを買うとなるととお金が…」
親からの仕送りも生活費を抜いたら、そんなに余裕があるんわけじゃないからな…
「ん~、じゃあ…慧ちゃんが作ってあげたら?」
「俺が?」
「そうそう、それならお金の節約になるでしょ? 慧ちゃんは自炊してるし1匹分くらい苦じゃないでしょ?」
「そうか!その手があったか!!あ、でも、食べさしたらダメなやつとかあるんじゃないか?」
「ちょっと調べてみるね…えーと、茹でた野菜とか卵とかササミ、あとホタテとかもいいみたい」
「魚はダメなのか?」
「青魚は常食させなれけばいいみたいだよ?」
「ってことは色んな物、食べさせてやれそうだな!」
そう言って、猫の頭を撫でやると気持ちよさそうに目を細めた。
ほんとに可愛いな…犬派から猫派に変わってしまいそうだ…
「じゃあ、早速こいつと俺のご飯の買い物に行ってくる」
メニューのことを考えながらバックを持って玄関に向かうと成実から声がかかった。
「ねえ、慧ちゃん~」
「ん? なんだ?」
「今日ね~、私の家親がいなくて自分でご飯作らないといけないんだよね~」
「……で?」
「私も慧ちゃんのご飯、食べてみたいな~」
「はいはい、1人分追加で」
「やった~!」
成実は嬉しそうに猫を抱き抱える。
「じゃあ、行ってくるよ」
「いってらっしゃ~い!」
「にゃーん」
それから俺は買い物をすまして、帰宅して2人と1匹分のご飯を作った。
猫のご飯なんて作ったことはなかったが
抵抗なく食べてくれたので良かった。
これで、食べてくれなかったから市販のやつになってたからな…
成美の方はご飯を食ったあと、
「今日、泊まらせてよ~親からは許可降りてるからさ~*」
とか言ってきたが、成美とはいえ女子とひとつ屋根の下で、寝るのは俺にはハードルが高すぎたので何とか帰らした。
帰る時に
「今回は諦めるけど~、また、泊まりに来るからね~」
とか言っていたが、とにかく帰宅させた。
「はぁー、あいつはなんで簡単にあるな事が言えるんだよ…」
「にゃーん…」
「お、なんだ? 眠いのか?それもそうか、もう12時だもんな…よし寝るか!」
「にゃ!」
俺が電気を消しベットに横になると、猫は俺の布団の中に潜り込んできた。
猫が以外にも暖かく直ぐに眠気が襲ってきた。布団の中には俺の体の上で丸くなって寝ている猫が見えた。
こいつとの生活も悪くなさそうだなと思った。
これからのことを想像し、準備しなければならないものなどを考えているうちに眠ってしまっていた。