表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/39

疑惑の生徒会

総合評価を頂けると物凄く嬉しいです。

感想やご意見もお待ちしています。

 

  昨日から一日が経って、ついに野外実習が明日となった。クラスの生徒は皆浮かれていたが、俺はそれどころではなかった。

 

  「本当にごめんなさい、康一くん。今日も歓談部に行けなくて」


  「白雪さんだって用事があるし、仕方ないよ」


  白雪さんはそれを告げ、すぐに教室を出ていった。今日もまた部活には来れないらしい。


  「康一、白雪さんと喧嘩でもしたのかい」


  「してないけど二日前のこと、気にしていたのかな」


  王子様と言われた時は心臓が止まるくらい驚いたけど、それと同じくらい白雪さんはその事を引きずっていたのかもしれない。


  「まあ白雪さんにも事情があるんだし、気にせずゆっくり見守ってみてもいいんじゃないかな」


  と言い残して瀬良はカバンを手に取り、軽やかな足取りで教室を立ち去ってしまった。


  俺も歓談部に行こうと思ったが、頭がモヤモヤする感覚に襲われる。白雪さんの事が頭にちらついて、頭から離れない。


  (少しだけ白雪さんを探してみるか)


  俺はどうしても白雪さんの事が気になってしまい、行方を探すことにした。



 ――――――――――


  (って、そんな上手いこと見つかるわけないよな)


  まず、急いで校門前まで来てみたが白雪さんの姿は見えなかった。他の男子生徒に白い髪をした生徒を見なかったか聞き込みをしたところ、誰も見かけていなかった。


  学校に戻り職員室近くを重点的に探してみても、白雪さんは見つかることはなかった。


  (もしかしたら他の生徒の目を潜り抜けて帰ったのかもしれないし、諦めて歓談部の方に向かうか)


  その考えに従って後ろを振り返ろうとする前に、俺はどこかで見たことがあるような人物を見かけた。


  服装は半袖の白カッターシャツと、紺色のスカートの制服姿で女子生徒だ。しかし俺は一番気づいてはいけないことに気づいてしまった。


  そう、やつは瓶底眼鏡をかけていたのだ。それでいて髪型はポニーテールなのだから十中八九、赤碕小松であることは間違いない。


  嫌いな人物に対し、無理に関わる理由もないか。そう結論付けて、振り返り歓談部を向かおうとした。


『赤碕さんは決して悪い人ではないんと思うんだ』

 

  だが、ふと脳裏に浮かんだ光山先輩の言葉を信じて、俺は赤碕小松に近づいて声をかけた。


  「何やってんだよ、お前」


  「はぅわ!? 」


  後ろから声をかけると、やつはその場から離れ一度距離を取ったかと思うと、なぜかかなり怯えていた。


 

  「お、お、お、お前、佐山康一か。安心していいからな、僕はもうお前に危害を加えるつもりは一切ないんだ。だから許してくれ、お願いだ。そうしなければ、僕は・・・・僕は・・・・」


  あまりの怯えぶりに、俺はかなり焦ってしまう。


  そしてそんな状況を見ている回りの人達は、俺がやつを脅したように見られていた。


  「分かった、分かった。別にお前に危害を加えないし、池田をけしかけるつもりは一切ない。だから落ち着けって」


  「そ、そうなのか。僕のこと、憎くないのか」


  前に出会った時の憎たらしさは既になくなっていて、なんか下手に警戒した俺がバカらしくなってくる。


  「本当に憎いなら、こんな風に話しかけることなんて絶対にしない。それよりもこんなところでなにをやっていたんだ」


  赤碕は一瞬、拍子抜けた顔をしていたが、すぐに我に返った。


「いやなに、さっきまで白雪綾女を追っていたんだ。偶然見つけたにしては奇妙な所に向かっていたようだったからな」


  「本当か!?」


  「おい待て、身体を揺らすな。眼鏡が取れたらどうしてくれる」


  とっさに赤碕の肩を掴み揺すってしまっていた。自分でも気づかないくらい動揺してたみたいだ。


  「ああ、悪い。少し驚いてた」


  「全く、気を付けてくれ。この眼鏡は僕の大切な物なんだからな」


  「白雪さんの居場所を教えてくれないか・・・・って、もう分からないよな」


  冷静に考えてみると、もう手遅れだ。


  さっき話しかけたせいで赤碕は、白雪さんから視線を外していているため確実に見失っているだろう。


  「いいや、安心するといい。すでに白雪さんの居所は掴んである。実はさっき白雪綾女とすれ違ってた時に、彼女は分厚いプリントの束を持っていたんだ」


  「あんまり遠回しに言われるのは好きじゃないから、とっとと言ってくれ」


  喋り足りないのか不服そうな顔をしていたが、素直に話してくれるみたいだ。


  「()()()()()()()()()()


 


  ――――――――――


  赤碕と二人で生徒会室前まで問題なくたどり着いたが、白雪さんが生徒会室にいると聞いて、俺は非常に嫌な予感がした。


  この最近、学校の生徒会に関しては悪い噂しか聞いたことがない。最高学年である三年生の生徒会はそれなりに自由があったみたいだが、二年生に生徒会に変わって以降は劇的に変わったみたいだ。


  校則を破る者はどんな理由があろうとも厳しい罰則を与え、規律を少しでも乱す輩がいれば、懲罰ポイントというものが与えられ一定数貯まった時点で徹底的に生徒会からマークされるらしい。


  白雪さんは銀色に近い白い髪をしているため、もしかしたら無理やり黒い髪に染めるよう、生徒会が白雪さんに圧力をかけている可能性だってある。


  「もしも他の人に相談してみろ、その場合お前を学校から徹底的に排除してやる・・・・とか言われてたり」


  「やめんかい」


  あまりに不謹慎なことを言う赤碕に容赦なく、頭にチョップを喰らわした。


  「ああ、痛い。ひどいじゃないか。僕みたいな女の子に暴力はいけないと思わないのかい」


  「お前が言うと、シャレになんないからやめてくれ」

 

  ここに来るまでに白雪さんの様子について話すんじゃなかったと後悔するが、それよりも目の前のことに集中しよう。


  生徒会のメンバーの顔ぶれは誰も知らないし誰も知ろうとしないので、顔をも名前すらも分からない。俺に出来ることは白雪さんに会って話を聞く。それから先の事は、野となれ山となれだ。


  呼吸を整えて、生徒会の扉に手をかけた。


  「失礼します」


  視界に広がるのは、話し合いのために用意されたホワイトボードと複数の四足机だ。机は隙間を0にし向かい合うようにして長方形のように配置されている。


  その机に三人の生徒が座っていた。その一人は間違いなく白雪さんだった。


  「康一くん、どうしてここに」


  白雪さんに立ちふさがるようにして一人の女子生徒が、わざわざ立ち上がって近づいてきた。


  「あなた、確か同じ学年の佐山康一くんだよね」

 

  長い黒髪をした、長身のすらっとしたスタイルでかなりの美人だ。言葉遣いも堅苦しい感じではなく、人懐っこい性格だと感じた。


  生徒会のメンバーが冷酷な人物と思い込んでいたばっかりに、面を食らってしまう。もう一人の眼鏡をかけた女生徒はプリントに手を着けているのか、こちらに興味はなさそうだ。


  「あなたは誰なんですか」


  「ごめん、ごめん。知らない人から勝手に話しかけられるのは怖いことだよね。私は生徒会長の藤堂花音(とうどう かのん)、よろしくね」


  藤堂さんは屈託のない笑顔でVサインをしている。とても噂通りの人物とは思えなかった。


  想像以上に明るい人だが油断は出来ない。白雪さんに、口には出せないような、あんなことやこんなことまでやらせているのかもしれない。


  「あの、なぜ白雪さんが生徒会室にいるのか教えてくれませんか」


  「その理由を教えたいのも山々なんだけど、少しあなたにお願いしたいことがあるの」


  見も知らない生徒会長が、俺に対してお願い事をするなんて普通では考えられない出来事だった。


  よほど重要なお願いなのか、藤堂さんは深呼吸を何度も繰り返す。そして気持ちが落ち着いたところで、生会会長はそのお願いを口にした。





  「どうか白雪さんを私に下さい!! 」




  はっ? はぁ!? はああぁああぁあ!!


  生徒会長はとんでもない爆弾発言を繰り出してきた。



おまけ

残された歓談部二名 パート2


由良先輩 「またお前と二人きりか」


瀬良 「そう言われると思ったので、由良先輩が好きそうな雑誌を三冊ほど買っておきました」


由良先輩 「おお、お前にしては気が利くな。どれどれ」


“そのプライド、すぐ無くせます”


“中学生のための大人ファッション”


“子供の背、こうして伸びた”


由良先輩 「顔面セーフ!! 」


瀬良の顔面にクリティカルヒット。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ