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  3話 女神様、屁をこかれる


 ぶぅ~~……!


 椅子に座わり頬杖をつきながら、女神ヘカーティアは虚ろな目のまま、盛大に屁をこいだ。


「うおっ!? 私は一体……」


 フローラルな刺激臭が女神の鼻を刺激し、女神ははっとした。


「なに!? どうしたの!?」


 そして、辺りを見渡し……

 現在の自分の置かれている状況を確認した。


 白い空間はいつもと変わらなく静寂に包まれていた……


 唯一異様な点を挙げるといえば……

 女神の放った屁の臭いが充満していることぐらいか。


「どうしてこうなった……」


 自分の屁の臭いを嗅ぎ、女神は考える……

 あんなに真面目だった自分が、どうしてここまでの駄女神になってしまったのか。


「そうだ。あの時だ……」


 あの時、あの男に出会わなければ……――


・・・・・・


「きゃぴっ☆」


 女神の鈴の音のようなキレイな声が、その神聖な白い空間に響いた。


「私は、転生の女神ヘカーティア! 危機に瀕した異世界に、勇者を転生させる任を請け負っているの☆」


 転生の女神ヘカーティア(17歳です☆)は、今日も今日とて、己が使命に奮闘していた。


 いつものように、トラックで轢かれてこの世に来た勇者候補に、死亡宣告と勇者になってくれないか懇願するのである。


「貴方はしんでしまい、もとの世界に生き返らせてあげることはできませんが……貴方の、その才能を異世界が求めています! きゃるる~ん☆」


「貴方も、勇者になってくれませんか? うるうる……」


 上目づかいで、瞳をうるうるとさせながら、訴えかけるように言う。

 こうすると、大抵の人間は、女神の言うことを聞くのだ。


 事前に、目薬を時空魔法で出して目につけるという小細工済み。


 もっとも……こんな小細工をせずとも、ここに来る勇者候補者のほとんどは女神ヘカーティア(17歳です☆)の話を無碍に断ることはないだろう。


 そもそもここに送りこまれて来るヒキニートは厳選されていて、生前まともに親・兄弟以外で異性と話したことのない者が送り込まれてくるのだ。


 ただでさえ女性に弱いのに、(見た目は)絶世の美女である女神ヘカーティア(17歳です☆)が訴えかけるのだ。


 これで「うん」と言わないやつはいない。


 加えて言うと、もしも勇者候補者が女性だった場合でも、対策は万全だ。

 ヘカーティアは懐から薄い本を出して対応するのだが……

 この話は別の機会にするとしよう……



 この時も、転生の間に来た男は二つ返事で「勇者になること」を了承した。


 問題はこの後だった――



「オレ、転生したら、ぱんつになりたいです!」


 ヘカーティア(17歳です☆)からチート能力を授けられると聞いた男の口から出た言葉は、何とも清々しい元気の良いものだった。


「は?」


 ヘカーティアは、自分の顔が凍りついていくように感じた。


「できれば、女神様のような美少女のぱんつがいいです!」


「うわー……」


 女神のヘカーティアはドン引きした。


(キモイ……)


 女神は、正直、気持ち悪さで吐きそうなぐらいだったが、営業スマイルだけは崩さなかった。


「う……うふふ、本当にそんなものになりたいんですか?」


「はいっ!」


 即答だった。


「で、でもぉ? パンツになったら、戦いにいけなくなりませんか? 私は、貴方に魔王を倒して頂きたいのですが?」


「大丈夫です! 俺を穿いた女の子に戦いをさせますから! ありったけの強化魔法を女の子にぶち込んで、女勇者に仕立てあげますよ!」


「じゃ、じゃあ、魔法の使えるパンツってことですか?」


「はい!」


「あ、あのぅ……で、でもぉ? 怒らないで聞いて欲しいんですが……そんな『魔法を使えるパンツ』なんてなったとしても、女の子が気味悪がって穿いてくれないんじゃありません?」


「ん? 言われてみればそうだなぁ……」


「じゃ、じゃあ……! そ、そんなチートはやめに……!」


「じゃあ、ある程度、自分の形状を変化できるようにして下さい。女の子が俺を脱ごうとしたら、貞操帯にでもなって脱げなくしてやれるような!」


「え? ええ!?」


※注意! 貞操帯とは、簡単に言うと【鍵のついたぱんつ】である! 鍵を外さないと、ぱんつを脱いだりできないので、使用する際は注意すること!


(あー、真面目に考えるの、面倒になってきた……)


 なので、女神は、男に望まれたままのチート能力を与えた。


 どうせこの男には、世界を救うことは無理だろう。

 穿いてもらった女子に悪戯して、反撃としてビリビリに破かれてしまう未来が見えるようだ……


 ならば、早くこの男の案件は終わらして、早く次の候補者を探そう。


・・・・・・


「そう思っていた時期が私にもありました……」


 ぶぅ~~……!


 女神ヘカーティアは再び虚ろな目のまま、盛大に屁をこいだ。


「うほっ! フローラル!」


 女神の下腹部から声が響いた。


「女神様! 今日も芳しい香りをありがとうございます!」


「うるせー! お前は喋るなって言ってんだろ!?」


「でゅふふっ! さーせん!」


 それっきり……

 女神の下腹部からの声は消え、再び白い空間は沈黙が訪れた。


「あーもう! どうしてこうなった!?」


 女神は両手で頭を抱えて俯いた。


・・・・・・


 あの後――


 パンツになった男は、女神の予想に反して、魔王を倒し世界を救った。


 いや、正確には、パンツを穿かされた女子がやったわけだが……


 穿いてる人間を強化する魔法と、ここで詳しく書くと18禁行きになっちゃうような内容のお仕置きの数々で女勇者をコントロールし、見事魔王を打倒したのだ。


「女神様! 『パンツ』じゃなくて『ぱんつ』です! その方が萌えます!」


「だまれ! 変態!」


「うほほっ! 俺、女神様に罵倒される度に、ああこの時のために生きて来たんだって思いますよ! うひょひょ!」



 しかし、所詮は『ぱんつ』である。

 魔王との激戦のさなか、ぱんつは擦り切れて絶命してしまう。


 最期の時には、女勇者に向かって、形状変化でつくった指でサムズアップをしながら


「止まるんじゃねえ! 俺の屍を越えていけ!」


 と女勇者にテレパシーを送った。


 そんな彼に、穿いていた女勇者は目を潤ませて、魔王を葬ったそうである。

 ノーパンで。



 こうして、魔王は滅び、ぱんつは天に召された。


 しかし、ここに至って、間違いなく世界を救った彼に何か褒美を与えようという話が神々の間から持ち上がり、彼に褒美を聞いてみたところ


「女神ヘカーティアさんのぱんつになって、その身にいっぱいの屁の風を感じていたいです!」


 そう答えたのだ。


・・・・・・


 後は現在の通りである。

 ぱんつは、女神ヘカーティアに穿かれ続けることになる。

 しかも、女神には定期的に屁が出るような呪……祝福がかけらている。


「こうして私は、腐ってしまった……」


「あいつに教えられてBL本を読みだしてからは、何かハマっちゃうし……」


「逆に、仕事は何か飽きちゃうし……」


「あの出会いさえなければ、私は優秀で美人すぎる女神として、今も真面目に職務を全うしていたに違いないわ……!」


(いや、あんたの、その辺のところは昔から変わってないだろ……)


(うんうん!)


 精霊達は、女神に聞こえないぐらいの小声で囁くのだった――

不定期連載あらため


【超】不定期連載w


更新遅れててすみませんw

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