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  2話 女神様、美の世界を創る

 ある日、女神ヘカーティアの職場である白い空間に訪れるものがあった――


「ヘカーティア! 遊びに来ちゃった!」


 もちろん、こんなフランクな挨拶をする者は、いつものトラックで轢かれて来たニートではない。

 ヘカーティアの友人、邪神ヘルである。


「あらやだ、ヘルじゃない! 久しぶり!」


「はい、お土産!」


 邪神ヘルは、何かの包みを女神ヘカーティアに渡した。


「うわ、ありがとう!」


 さて、読者の中には疑問に思う人もいるかもしれない……



 邪神と女神が仲良くしてて良いのだろうか?



 ……と。


 普通に考えて、世界を窮地に追いやっている邪神とその手先と、世界を救おうと奔走する転生の女神と勇者は、お互い対立していると思ってもおかしくない。


 だが、ヘルが邪神化したのはつい最近のことで、少し前までは女神をやっていたし、そもそもヘカーティアとヘルは『ある共通した趣味』を持つ同志として、とても仲が良かったのだ。


 ぶっちゃけ、

 神と邪神にはそれほど大きな差はない。

 どちらも、神としての性質があり、役職がある。


 ただ、己が内から漏れ出すオーラの属性によって、聖なるオーラなら神・女神、闇のオーラなら邪神と分けられているだけである。


 あ、ちなみに、ヘルが邪神化した原因は、腐ったから。


 うん、ヘルは、いわゆる世間で言うところの女子が腐ると書いて『腐女子』となって、邪神化したのである。


(じゃあ何故、ヘカーティア様は、邪神化しないのでしょうか?)


 精霊は、さっきまでフローラルな風を尻から巻き起こしていたヘカーティアを見つめながらそんなことを考えた。


 もちろん、自殺志願者でもあるまいし、口に出したりなど絶対しないが。



 さて、女神ヘカーティアは邪神ヘルから受け取った包みをその場であける。


「うわ!? ちょっと、これ! あたしが欲しかった、ハヤ梅さんグッズじゃない!」



 説明しよう!


 ハヤ梅さんグッズとは、腐女子さん達に人気のアニメキャラのグッズである。

 ハヤ梅さんという、少年の6人兄弟が繰り広げる、至って普通のホームドラマなのである。

 まあ、腐女子達はそれを彼女らの好きなように二次創作して楽しんでいるのだが。


 うん、美少年がいっぱい出るからね!


 うん、男子にとってはお尻が痛くなる話だね……



 ヘカーティアに喜ばれ、ヘルはにこにこしながら答える。


「うん、ちょっとね! 伝手があってね! 貰って来て貰ったのよ! いやあ、知り合いの邪神(♂)がチョロくてホント!」


「助かるー! ちょうど暇してたところなのよー!」


「ん? そんなに暇なの? 今、仕事中でしょ? いや、ポンコツ魔王の世界征服に飽きて遊びに来た私が言える立場じゃないけど……」


「いやあ、まあ、厳密に言うと暇ってわけでもないんだけどねぇ……」


「何かあったの?」


「あの子達……異世界に送り込んだ勇者達が、私の思い通りに動かないのよ……融通が利かないというか……ずる賢いというか……」


「あら、意外。勇者達って正義の味方だし、品行方正なイメージあるけど?」


「あいつらのどこが品行方正よ……! こっちが気を付けて監視してないと、チート能力でやりたい放題するのよ、あいつら……」


「へえ、そうなのね」


「そうなのよ! 私が転生の力で魔力を強くしてあげれば、その魔力で世界を滅ぼしかねない魔道具やら魔導アーマーやらつくり出すし……」


「うーん、まあ、能力があったら誰でも思いつくことかな……」


「かと言って、魔力の代わりに筋肉あげれば……魔王は倒してくれるんだけど、その後、力をつかって婦女暴行したり、奴隷つくりまくったり、無理やり世界征服とか始めるし……お前が魔王みたいになってどうすんだ、と」


 女神は肩をすくめて見せる。


「難しいのね、転生の女神も……」


「なんかさー、それもあって、段々仕事が億劫になってさあ……もうちょっと仕事楽しくやれないかなーって思うんだけど……何か改善策があればいいんだけど、いいアイディアがなかなか浮かばなくて……」


「ふーん…………あ、じゃあ、こんなのはどう?」


「なになに?」


「勇者をさあ……ホモにするの!」


「ん?」


「だからさあ……折角、転生女神の権限で、転生先の顔も家柄とかもある程度自由にイジれるんだからさあ……勇者を某国のイケメン王子でホモとかに生まれ変わらすのよ!」


「おおー!」


「で、魔王も……こっちは邪神である私が協力してあげるから、チョチョイノパーって、イケメンのホモにする! 更に! 勇者と魔王の二人は出会ったら恋に落ちるっていう呪……じゃなかった祝福を授けるの!」


「二人は宿敵同士なのに恋に落ちるのね!」


「そう! 燃えると思わない? くくく……」


 邪神ヘルが不気味な笑みを浮かべる……

 この白い空間に来て以来一番の不気味さである。


「燃える! いいわねぇ! それでいきましょう!」


 女神も負けじと、邪神に負けないぐらいの不気味な笑みを浮かべる。

 魔王も素足で逃げ出しそうなぐらいの負のオーラを全身に漂わせながら……


「いっそ、この際だから、美少年だらけに世界を創り変えない? 女がいると、話がややこしくなったりするし、美少年同志の純愛に邪魔じゃない? 邪神の私と女神の貴女が協力すれば、世界の在り方を変えるのなんて簡単だし!」


「うん、そうしましょう! 世界を大変革をして、美少年だけの世界をつくりましょう!」


 こうしてできた美の世界ローズガーデンは、イケメンだらけの腐の世界になった。



 そして、男だらけのために少子化が加速……っていうか、子供が残せず、滅び去るのであった――

男神「美少女だらけの世界って最高じゃね? 魔王も勇者も美少女! で、ハイレグアーマー!」

邪神「お前、マジ発想が神ってる!」



 ダンジョントラベラーズとかの、敵も味方も美少女だらけのRPGやる度に思うんだよなあ……

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