6.平常な日常4
妖精型・インターフェースの特徴は、スマホで出来ると言われればそうかもと思える。
一つは翻訳機能であり、明らかに便利だ。いちいちマイクに吹き込んで貰う必要がない。同時に数人の言葉に対応でき、取捨できる。
誰だって複数の人から話し掛けられると混乱するだろう。妖精たちは音質から個人を見分け、区別し、オーナーが興味を示している人の会話を通訳する。その取捨は視線であり、脳波であるのだが……。
「彼は何を言ってたのかい?」と聞くとその人の言葉も翻訳してくれる。それって、普通の人には無理なことである。ボイスレコーダーに記録しておいて、聴き直せばできるだろうというものだ。しかし、妖精たちには軽いものだ。
二つ目は、解らない言葉を検索して解りやすい言葉に直してくれる。某知事の“ワイズディペンディング”=“賢い支出”を教えてくれる。そして、オーナーの理解を越えるものはサラッと流す。それは脳波を検知してれば判別可能なことだ。また、人は万能でないので興味のあることと無いことを常時フォローしてる妖精たちが判別することも簡単なことである。これはスマホには無理でしょう。
三つ目は、第二の脳としてのサポート機能である。危機的な状況において先ず、軽いフォローが入る。それはチョットした抵抗と感じられる。いつもの動作に抵抗があることが警告となる。階段を踏み外す経験をした事のある人は多いでしょう。あるいは階段で躓くとか、それをしっかり見張ってくれてれば怪我をすることもない
。人間の神経って所詮電気信号のネットワークだ。
四つ目は、最終的なエマージェンシー機能である。基本は妖精たちのネットワークに救難信号を発信する。流石に全員を救済はできないがアーディナイスが知ることはできた。
最後は、実体コントロール機能であった。これは汎用レンタルロボットである。変人科学者達の生活支援を行う為の機能だ。何で、お金も名誉もある科学者がハウスキーパーを雇うことも出来ないのか。謎である。なぜロボットの名前すら決められないのか。理解不能だった。
まあ、こうしてアーディナイスが本来なんで死んじゃうのって科学者達を支援したのは確かだ。彼ら間の交流に妖精たちは役立った。なんで論文書かなきゃいけないのよー。一部の妖精たちはキーッとなった。とはいえ妖精たちのオーナーに任せるとまず、書けない、投稿できない、直ぐに別の研究に行ってしまう。少しは広報力持とうよ。散々せっつかれて公開したことで花開いた研究もあるんだぞ。実話です。
科学者って自分の研究を公開したいと思っているか。NOです。それは錬金術が如何に秘匿されたかって史実で明らか。自分だけが真理に届きたいと思ってる訳です。
ピクティンによる科学の進展はすざましいと和人は考えていた。自身と等価な技術は秘匿事項なのだが、それ以下の技術に関しては寛容であったからだ。ピクティンは少なくとも数百年の稼働データを持ち、数多の事例を有していた。
サポート機能において、ほとんどは回避可能であるが、当然に悪質な事例も発生する。階段から故意に突き落されることも発生した。一段階として躱す、次は受け身をとると言ったことで最小限な被害に留めた。常時、オーナー周辺を監視しているピクティンには簡単なことだが、理解できない人が多いのか未だに散発する。常時対応のボディガードが10億は安いという評価である。
テロリストに襲われた国家首席が鮮やかに銃弾を躱し取り押さえるとか。それが国家主席目線で公開されるとか、米系国では大受けだった。中域とか北域には不評だったけれど。
ムトラの生産能力は限界がある。例え10億で売れても作れる数量は限られている。生産量はムトラ島で三割、アーディナイスが四割、その他予備等で三割の割当である。
大体が生産エネルギーが不明な時点で詰んでる。
ムトラでは成人になるとピクティンが送られ約50年の支援が受けられる。主に漁の仕方とかだが。
ムトラ戦士の能力は高い。これにはアーディナイスの影響が大きかった。