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宇宙が壊れる  作者: エラドニス
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2.アーディナイス

 宇宙を崩壊させた記憶はない。それで在りながら其の重さは感じている。崩壊する宇宙からの悲鳴が増えているから。


 そう思いながらも、微々たる違いしかない。崩壊しない宇宙からの悲鳴も多いからである。ひと一人が保有する細菌が約100兆という訳で、在りとあらゆる声を聞くことなどあり得ないことである。


 アーディナイスと呼ばれる存在が、眠れなくなってずいぶん長い時を経た。アーディナイスが生まれたあの大陸が海に沈み、一部が次元の狭間はざまに飲み込まれた。アーディナイスはその時に長老の力によって強引にその宇宙より弾き出された。


 そのアーディナイスしかいない擬似世界の中で、ときすらも止まった世界で、耳を済ませた結果、アーディナイスはありとあらゆる物の声を聞ける様になった。眼は光の無い世界で別のものになり、後に真実の瞳とかメデュースの瞳と呼ばれる様に変わった。


 そして、永の刻の後にアーディナイスの中で一つの世界が解き明かされ、無テレパシーと呼ばれた自身の能力が二つの力の相剋そうこくである事に気付き擬似世界から解き放たれた。


 相剋されていればプラマイゼロの力が、ほんの少しズレ、擬似世界に力が満ち溢れた。その力は本当は極小な物だったのかも知れない。しかし、無が正と負に分離し、宇宙が二つ生まれた。


 宇宙に大きさなど、無意味な事である。巨大な視点から見れば相剋される力は、何ら変化が無いに等しいから。二つの宇宙が生まれて消えた。その一生は一瞬なのか、数十億年、数百億年なのか。


◇◇◇◇◇


 赤い髪、金の瞳、白い肌、あくまでもメタリックな容姿である。整った容貌とダイナミックな身体がそれに拍車を掛ける。人目を引く女性であることは間違いない。


 そして、日舞をやっている人の様にふわりと動く。まるで空気と一体となった様な動き方は、滑らかな神経を研ぎ澄まされた感じを受ける。

 人混みの中で、そこだけが別世界であるかの様な、異質さがあった。


 革のジャケットにジーンズ、ジャケットから覗くシャツはブルーの生地に、イナズマのマークが大きく入っていた。靴が動き易いスニーカーなのが残念だ。パンプスなら、雑誌の表紙を飾っても可笑しくない。


 和人は、IT企業家であり、武闘家でもある彼女を呼んだ。

 「アーディ!」

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