想定外の展開
俺は驚愕した・・・
「ははは・・・またまたww」
俺は、動揺しすぎてボー読みでそう返すのがやっとだった。
でも佐藤の表情は、真剣だった。
でもこういうのって演技してる可能性もある・・・
俺はとにかく、いろいろな事を考える。
「嘘じゃないわ。だって私は、5歳のとき両親が離婚したのよ。」
「なっ?・・・」
俺と同じ時期に・・・・
いや、でもたまたまだろ・・・
ん?
閃いたぞ。
本当にそうなのか試してやるか。
「俺の父親の名前は?」
「白川翔英」
即答・・・
「マジかよ・・・」
しかもあってる。
佐藤は、呆れたような表情でいう。
「だから嘘じゃないって。私、わざわざいたずらで呼んだりしないわ。めんどくさいし」
「いまいち信じられない」
「そうでしょうね」
「じゃあ何で今まで黙ってたんだよ?」
「言ってたとして、信じた?」
そう言われ、俺は黙り込む・・・
「私的には、高校1年の1学期が終わるまでには言うつもりでいたのよ。早まった行動は、いろいろと危険が多いし」
「じゃあ何で今日なんだよ?」
佐藤は、嫌な笑みを浮かべる
「何でだと思う」
「なんか気味悪いぞ」
佐藤は、少し怒ったような表情になり、声のトーンを低くして言った。
「それはね、今日あんたに泣かされたから」
そういえば・・・・
なるほど・・・
仕返しみたいなものか・・
「今日のことは悪かった」
素直に頭を下げて、詫びた。
「罪滅ぼしにはならねえかもしれないけど・・・」
佐藤は「ふん・・・」っと鼻で笑う。
「別にもういいわ。ちょっと言いたくなっただけ」
「そうか。ありがとう」
佐藤の顔が少しだけ紅潮したように見えた。
まあ気のせいかもしれないが。
「まあとりあえず・・」っと仕切りなおす佐藤。
「私が言いたいのは、うちのお母さんとの再婚をあんたのお父さんに、考えて欲しいっていう事」
俺は、一瞬硬直する。
状況を飲み込むのに、何秒かの時間がかかった。
「いやいや、そりゃ無茶だろ?」
「無茶じゃない」
「今更再婚なんて、どう考えたっておかしいだろ?」
佐藤は、少し考えた後
「じゃああんたは、自分の家族とこのまま離れ離れでも平気なわけ?」
「そんなわけないだろ」
「じゃあどうしてよ」
「そりゃあ、家族一緒に暮らせるっていうのは、理想の状態だ。でも何年も離れてた家族がまた一緒になって、今より状況がよくなる保障はない」
俺はついカッとなってきついことを言ってしまった。
でもきついことも言いたくなる。
それほど、大事なことだから。
よく見てみると、佐藤が涙目になっていることに気づいた。
「ごめん・・・」
また泣かしたらやばいと思い謝った。
「何で謝るの」
佐藤は半ギレした後、弱々しい声で言う。
「それでも家族は一緒じゃなきゃだめなの」
その言葉に、俺は涙が出そうになるがこらえた。
ここで泣いたら、かっこ悪い。
「それは誰の意見なんだよ?」
「私の意見よ。お母さんにそんな事相談できるわけないでしょ」
強い口調で返され、黙ってしまった。
でも、俺はここで最大の疑問に気づく。
もし、家族一緒に暮らすことになれば、佐藤と一緒に暮らすことになる・・・
そこが気になり、聞いてみる
「お前、俺と暮らすことになるけどいいのか?」
佐藤は、頬を赤らめそっぽを向いて、つぶやいた。
「家族だし良いに決まってるでしょ・・・」
なんかこのときの佐藤は、すごい可愛かった。
惚れてしまいそうだ・・・
でも妹だからな・・・信じられねえけど。
そんなことより、あの佐藤がここまで、自分からプライド捨ててまで、言ってるんだしな。
もう俺はこういうしかねえだろ・・・
「わかったよ」
少し間をあけて、心を落ち着けてから言った。
「俺、親父に相談して見るよ」