表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOA(Leads one away)  作者: 神城 未来
6/13

想い

焦ったような顔をする佐藤。


「ちょっ・・ちょっと・・泣かない でよ」


そう言われ、俺は自分が泣いてることに気づく。


俺は焦って涙を拭うが、涙があふれてくる。


「ごめん・・・。涙が止まらなくて・・・・」


俺は、もう胸の辺りが熱くなってるのが分かった。


俺・・・・なんか今すごい変な気分だ。


俺を真っ直ぐ見つめる佐藤の表情が、優しい表情に変わっていた。


「わかったわ。あんたのいう事少しは信じてあげる」


その言葉にはどこか暖かさがあるのを感じた。


俺は少し安心した。


その表情は、孤独が嫌いな人のするものだ・・・


それがなんとなくわかり、いっそう涙が強くあふれていく。


「頼む。もう人と関わる事を無駄とか、関わる事をやめてくれとか言うの止めてくれよ。」


俺は涙を見られたくなくて、うずくまる。


涙があふれるたび何度も拭い、一旦おさまったところで・・・


「もうこれ以上自分の心に嘘をつくのは止めてくれ。君は孤独をもっとも嫌う人間なんだから」


佐藤は、黙る。


******************


自分に嘘をついている?


その上孤独を嫌っている?


何を馬鹿なことを言ってるんだか・・・


私はいつだって自分に正直だった。


5歳のころ、両親が離婚して、母子家庭として育てられた。


まだ幼くて、今みたいな知識も経験も何もなかった。


でもそんな私にも分かるものがあった。


それは、お母さんが女で一つで私を育ててくれた。


自分の時間をさいて、私が毎日楽しく過ごせるように頑張ってく れた。


ただでさえ長い時間仕事をして、疲れてたはずなのに、疲れている所を私に見せないようにして、私を大事にしてくれた。


だから私は、この時から大きくなったらお母さんを私が幸せにして、子供のときにしてもらった恩を何倍にもして返すんだって・・・


だから人よりも努力することを惜しまなかった。


誰かよりも優れている姿を見せることで、お母さんに自分の立派な姿を見せられる。


そうすれば少しは、お母さんへの恩返しが出来る。


全ては、私を自分の全てをかけて守ってくれたお母さんへの恩返しのため。


「だから私は自分に嘘はついていない」


はっきりとそう断言した。


でも目の前の少年は、否定する。


「佐藤、お前は自分というものを 見失っている。」


「まだそんな事いうか・・」


「おい、ケンカはやめ・・」などの野次馬達の声が聞こえたので、そちらを振り向くと・・


「お前ら、ここは止めないでやってくれ」


私にケンカを売ってきた馬鹿がそれを止めていた。


それを白川も気づいたようで、

「優輝・・・」

感動した面持ちで、口から漏らしていた・・・・


こほん・・

私がわざとらしく咳をすると、白川はこちらに向き直る。

「私とあんた、どっちが正しいか決着つけてやるわ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ