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LOA(Leads one away)  作者: 神城 未来
5/13

尊敬

あの事件を境にクラスはとてもギクシャクしていた。


皆不穏な空気を漂わせている。


現在は昼休みなのだが、空気は授業中のようにどこかピリピリしている


教室はとても空気が悪くて居心地が悪かった。


「ねえ、あんたなんで私の事かばってくれたの?」


急に隣からそう聞こえてきて俺はびっくりしてそちらに向く


「ああ、なんかね・・・」


あまりにも急にだから言葉が出てこなかった。


声をかけてきた佐藤は、つまらなそうな顔していった。


「私に興味を持ったのか知らないけど、関わるとろくなことないよ」


その目には感情はこもってなかった。


その一言は、俺を少し苛立てた。


それと同時に感じたのは、とても冷た い何かだ・・・


「なんでそんな事いうんだよ・・」


俺はなんか辛かった


人より優れた力を持っていて、影では人より努力してる人間がなんで・・・・


佐藤は、特に変わった様子を見せずに言った。


「私は人から理解されようとも思わないし、理解しようとも思わない。そんな時間あるなら他の事に費やす。人間関係なんてある程度人と話せれば何の問題もない。」


「そんなの悲しすぎるよ・・・」


俺はなんか自分の事ではないのに辛かった。


俺みたいな努力してない人間、いや努力できない人間だからわかる。


なんで人の何十倍も頑張ってる人間が、こんな冷たくて悲しい事を言わなくちゃならないんだよ・・・・


それがなんか腹が立つ。


「どうしてそ うなんだよ」


それがほんとに本心なのか?


佐藤は、あきれた顔をしていった。


「あんた、いちいち馴れ馴れしい。ヒーロー気分にでも浸ってー」


そこまでで俺は遮った


「違うよ。本心だよ」


「嘘ね。」


「嘘じゃない」


「じゃあ証拠は?」


強気にそう言われ、一瞬怯むが俺は包み隠さず言った。


「俺が努力できない人間だからだよ」


「は?それが何?」


「努力する難しさを嫌というほど知っている」


「それで?」


「だからすごいなって思ったよ。何でもできる佐藤に」


少し戸惑った様子を見せる佐藤だが、すぐに冷静な顔つきに戻り言った。


「私は、人に負けたくないだけ。」


「それで誰にも負けないくらい努力できる 人なんて滅多にいない。」


「そ・・それは・・」


口ごもる佐藤。


俺は自分の思ってることをぶつける。


「だから純粋に尊敬したよ。優輝のときのことを聞いたとき」


「へえ~」


「だからー」


ここで一回深呼吸していった。


「だからもうそんな悲しい事言わないでくれよ」


俺は強くそう想い、その言葉を口にした。


いろんな思いがこみ上げてきた。


今まで、いろんな事があって、努力して、調子のいいときもあったし、不調なときもあった。


それらが俺の脳内で、再生されている。


全てが、懐かしいし、思い出せば出すほど、情けなさのあるものばかりだった・・・

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