幼馴染の勇姿
この一言は一気に皆を怒らせた。
何人かがもう我慢の限界なのか、殴りかかる。
「口で勝てなきゃ、暴力なんてホント反吐が出るっての」
抑えてた手を離して、自分の目の前の相手に頭突きをかました佐藤。
他のやつらの攻撃はもろにくらい飛ばされる。
「無能共が・・。私のこと殴りやがって」
ここから集団での殴り合いが始まるのを予感した。
俺が止めなきゃ・・・
そう思った。
でも恐怖で声が出ない・・・
なんでだよ・・・
ふざけんなよ・・・
俺は後悔した。
自分を呪った 。
いつも全力で取り組まなかったことがここに来て、出るなんて・・・
いつも手抜きしてることがこんなところで響くのか・・
それでこういう時に、勇気を出せずに、何も出来ないなんて・・・
「お前ら止めろよ」
俺はその声の主をすぐに分かった。
でもまさかと思って見てみるとそのまさかだった。
「優輝・・・」
覚悟を決めた顔をした顔の優輝が喧嘩の場のド真ん中に入り、仲裁する。
「邪魔すんなよ」
優輝はどなっていった。
「もういいだろ!!もう」
一気に場は静まり返る。
そんな中、優輝は言う。
「こんなことしてなんになんだよ。暴力までしちゃ世話ねえだろ!!女子をリンチして、恥ずかしくね えのかよ?」
皆我に帰ったのか、自分たちの行いに少し反省した表情だった。
「佐藤も言いすぎだ!言葉を選ぶべきだ」
佐藤も反省した様子を見せる。
「でもお前だってけんか売ってたじゃねえか」
そういわれると優輝は・・
「ああ。それは調子乗った。反省してる」
素直に自分の行いを認めた。
「俺もお前らと一緒で、佐藤が気に入らねえし、正直殴りたいと思った。」
「じゃあー」
ここで大声で言った。
「でもあいつの言ってることは事実じゃねえか!!だって俺らはそこまで努力してねえ。それで人の事ばっかりぐちぐち言ってる・・・・」
皆俯いてた状態で聞いていた。
「だから言われてもしょうがね えし、それに佐藤も見下してるんだから言われてもしょうがねえ!!だからお互い様なんだよ!だからもうこの場はこれで収めろ。」
皆席に戻っていく。
文句言いながらも戻っている奴もいたが・・・
佐藤も殴られて、唇から血が出ていた。
それを拭いながら席に着席した。
この後、このことは担任にバレていたらしく、皆呼ばれた。
佐藤に暴力を振るった奴ら、また佐藤に暴言を吐いたことに加勢したやつ、陰口叩いてたやつの中の重要人物の何人かは停学、他の奴らは厳重注意と成績から減点という罰が下された。
佐藤は、厳重注意を受けるだけですんだ。
暴力行為はしたものの正当防衛という事で、停学は免れた。