蔑みと嫉妬の衝突
優輝は、佐藤の正面に立ち、机をバンと叩く
佐藤はゴミを見るような目つきで見上げると低い声で言った。
「なんか用?」
優輝は、完全に調子に乗った口調で、
「ふん、お前が調子に乗ってられるのも今までだ。」
かっこつけた台詞をはいた後、オーバーな動作をして指をさし問題を出す。
「フランス語で蝶、この犬の種類は?」
優輝は答えられないだろ?といいたげな顔をしていた。
お前の出した問題テレビのクイズ番組の奴そのまんまじゃねえか・・・
「パピヨン」
つまらなそうな顔のまま佐藤は答えた。
優輝は驚愕な表情を浮かべて言った。
「なんで知ってるんだよ?」
「あんたみたいなただの馬鹿とは違うの」
哀れみのたっぷり含まれたその一言に、優輝は怒り狂う。
「ふざけんなよ。クソ女が!!なら宇宙の終わりの1つとして考えられる、宇宙が収縮して1点につぶれる現象の名前は?」
「ビッグクランチ」
「なんでわかんだよwww」
その後もテレビなどで放送されたんであろう難問を出すもなんなく答えられてしまった。
優輝は、皆が自分の事を哀れんだ目で見つめているのに気づき、恥ずかしからだろう・・・
自分の席で寝る体勢に入り、自分の世界に入り込んでしまった。
それにしてもここまですごいなんて・・・・
俺は興味深かったので、聞いてみた。
「あれ、多分テレビのクイズ番組とかの難問として取り上げられた奴なのによく解けたな・・・」
どうでもよさそうな感じで返答が来る。
「そういう輩がよくいることを小学校でして来た奴がいたから、それからちゃんとそういう番組は録画して何度も見てたし」
それを聞いてなるほどって思った。
こいつはやっぱすごい努力してるんだな。
「なんていうかそこまで何かに努力できるってすごいな」
飛びぬけて何でも出来るは知ってたが、そこまでやりこんでいるとは思ってもいなくて、俺は気づけばそんな事を言っていた。
佐藤は特に表情を変えず言った。
「私は、ただ負けたくないの。だからお世辞なんていいからどっかいって」
首を右に振って、あっちいけよという動作をしてくる。
完全にうっとうしがられてるのがわかったので、退散した。
すると皆がいろいろ聞いてきた。
一人の奴が不満をあらわにした声で言った
「お前なんであいつに調子乗らせちゃうんだよwww」
「いや、まさかエリート高校の人たちでも頭悩ますような問題を即答しちゃってるからさ・・・。つい感動しちゃって」
「そりゃあそうよ。あいつ休み時間だろうが、なんだろうが無駄な時間を全部知識や運動に費やしてるまさに生き方の見本みたいなもんなのよ。人間関係のことさえ抜けば」
「まあとはいえ、コミュ障じゃなかなか就職にもつけないだろうに」
「だからこんな偏差値55の私立高校にいるんだよ」
「それな。何せあいつ偏差値80あんだってよ」
「マジかよ」
「まあそれでも将来は、孤独死の一本道確定ルート真っ白ぐらだろうけどな」
などの聞くに堪えない口論が続いた。
俺はこの会話を聞いてて思った。
人ってこんなにも醜いのかって・・・
人の努力を認めず、欠点だけをを責めてけなす。
俺は、いつも温厚な性格だと言われてきた。
でもさすがにこれは腹が立つ。
いくらなんでもひどい。
「努力する難しさを知ってるのに、なんでそうやってけなすことしか出来ないんだよ」