友人その2
「皆の者おはよう!」
やたら上から目線で元気な挨拶をくれたのは伊集院創。
筋肉質な体で、少しくすんだ金髪はライオンのたてがみのように逆立っている。
世界有数の財閥、伊集院の長男であり跡取り。
いわゆる御曹司って奴だ、もうそんなイメージはくずれさったが。
こいつも残念なことに友人だ。
「ああ、おはよう創」
「ハハハ、どうした元気がないぞ!もっと腹から声を出すのだ!」
「お前が朝からうるさすぎるだけだ・・・」
さすが創、日向とは比較にならないうざさだ。
日向はうざさの一部を可憐な容姿が緩和しているが、体中筋肉に覆われているこいつの見かけで絡まれるとうざさのダイレクトアタックを受ける。
ようするに、創まじうざい、ということだ。
「ふむ我は、二年E組か・・おおっ!貴様らも同じクラスではないか!」
「不本意ながらそのとうりだよ・・・」
「うむ四天王が全員また同じクラスとは、運命をかんじるな」
「違う四天王じゃない!おれは認めない!」
口に出すのも嫌な、その呼び名など聞きたくなかった。
「しかし御堂殿、拙者達が四天王と呼ばれているのは純然たる事実でござる」
「っく・・」
才葉学園の面汚し四天王、この学園でその名を知らぬものは居ない。
あるものは嘲笑や侮蔑を、あるものは畏怖や畏敬をこめて呼ぶその肩書きは、非常に残念な能力を持つ、もしくは多大なる問題行為を行った馬鹿たちに付けられた呼び名である。
その偉大なる馬鹿達がここに居る四人だったりする。
「フハハ!四天王すなわに四人の王、我にふさわしい呼び名ではないか!」
まあこいつは四天王といわれるのにふさわしい能力と人格だと思う。
俺がこの三人と一緒のクラスになりたくなかった理由のひとつに、こいつらと同列に四天王と呼ばれるのが嫌だったという思いがある。
なんで品行方正で、能力も素晴らしい俺が、こんな奴らと一緒くたにされているんだ。
「おっと、そろそろホームルームの時間じゃないすか?」
日向に言われ携帯で時間を確認すると、確かに教室に向かったほうが良さそうな時間だった。
「教室、向かうか・・・」
俺が歩き出すと、それに続くように三人も歩きだした。
俺は、まだホームルーム前だというのに放課後並みに疲れた体を引きずりながら教室へと向かった。
本日はこれで終了です。