友人その1
本日もよろしくお願いします。
「どうしたんすか?あっ!あのお二人も一緒のクラスなんすね!」
日向が俺の見たくない名前を指差し何か言っているが今はそれどころではない。
あいつらがクラス発表を見に来て、絡まれる前に一刻も早くこの場から逃げないといけない!
「御堂殿ではござらんか!」
背中からかけられた声に体がびくんとはねる。
遅かったか・・・
俺は逃げ出してしまいたい気持ちを抑え、声の主のほうに体を向ける。
「おはよう・・服部」
「うむ、おはようでござる」
目の前の人物は俺のあいさつに朗らかに返してきた。
この男は服部忍、一緒のクラスになりたくなかった奴ナンバーワンにして不本意ながら俺の友人。
黒髪は前髪だけ目にかかるほど伸ばしており、髪を上げれば美形と言えないこともない。
有名な忍者の子孫であるらしく、声を掛けられるまで気配に気づけなかったのはそのせいか。
見かけだけ普通なんだよな・・・などと、考えていると向こうから少し興奮気味に話題を振ってきた。
「聞いてくだされ御堂殿、先ほど春一番と思わしき突風が吹き申して前を歩いていた女子のパンティーが見えたのでござる!」
「だからなんだよ!つーか春休み明けになんちゅー話題ふりやがる!」
「ちなみにピンクでござった」
「聞いてねーよ!」
「しかし、御堂殿は以前『偶然見えるパンツは至高だ!』と熱く語っていたではござらぬか」
「そそ、そんな話したことねーし!」
「アニキ・・・」
やばい日向が俺まで変な目でみてる。
しかも周りでは女子生徒が、こちらを見てひそひそと囁きあっている。
はやくこの話題終わらせないと、俺の評判が大変なことに!
「そ、そんなことより今年も同じクラスだよろしくな!」
「おお、そうでござったか。こちらこそよろしくでござる」
俺のやけくそ気味の話題転換に、忍は食いついてくれたようだ。
最初から、素直に俺から話題を振っておけばよかった・・・
毎度の事ながら、話しているだけで体力をごっそり持っていかれる。
この忍という男、今の会話でだいたい分っていただけたと思うが、すさまじい変態である。
一年のころは度重なる問題行為により停学二回、さらには数え切れないほどの反省文を書いている馬鹿である。
そのせいで学園では『見えざる変態』という悲惨な二つ名を付けられている。
「本当に良かったでござる。また厠で昼餉を食べる生活に戻るんじゃないかと、拙者恐怖していたところでござった」
なんで便所で飯食ってたの?修行?と、聞いてはいけない。
なんというか、察してあげてください・・・
というか、そういう待遇が嫌なら変態行為をやめろと言いたい。
忍は、俺達と一緒のクラスなれて良かったというむねを伝えると、他のクラスメイトを確認するため掲示板に視線をめぐらす。
「む、伊集院殿もいるのでござらぬか。これは楽しくなりそうでござる」
「フハハハ、我の名を呼んだか!?」
やたら暑苦しい声と共に一緒のクラスになりたくなかった人物ナンバーツーが現れた。