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再会.1

閲覧ありがとうございます。


ジェナとの再会編です。

これから毎日、クーはどっちの部屋で寝るか取り合いになってしまいます…。


ご感想や評価などいただけると励みになります。誤字脱字があれば指摘していただけると助かります。

「クー!良かった、無事だったんだな」


宿に戻ると、ロビーで待ち構えていたらしいジェナが飛んできた。


「ジェナ!もしかして、ずっと待ってたの?部屋に行って休んでてよかったのに…」

「あんな広い部屋で落ち着いて休めねぇよ。それより、クーの無事を確認したくて…宿の人に聞いてはいたんだけど」


ジェナは旅の疲れが隠せない服装だった。ありていに言うと、汚い。こんなにきれいな場所で、宿の人も困ったのではないかと思ったが、定位置に立っている宿の受付の人はにこにこと変わらない笑顔だった。


「今日は父さんの用事に行ってて…ごめん、待たせて」

「いや。俺が好きで待ってただけだから。…えぇと、クーをありがとうございました。こんな豪華な宿まで用意してもらって」


ジェナは俺の数歩後ろに立ったままだったイーヴに向かって言った。

イーヴはいや、と気にした様子もなく首を振る。


「きみにはきちんとお詫びと、それから話したいこともある。一旦部屋で身支度を整えてから、食堂で待ち合わせしないか?」

「あの、でも俺こんな立派な宿に泊まらせてもらうわけには、」

「お詫びの一環だと思ってもらえばいいよ。もちろん、費用はこちらで負担する。それに、ちょっと込み入った事情ができたんだ。そのあたりの話も落ち着いてしたいから、まずは一旦部屋へ。ね」

「……そうですか?では、お言葉に甘えて…着替えてきます」

「私も着替えて、入浴もしたいから、急がなくていいよ。クー、部屋の設備の使い方を教えてあげて」

「うん、わかった」


俺とジェナはイーヴと別れて、宿の人に案内されて部屋に通された。荷物だけは先に運び込んでいたようで、部屋の隅の荷物置き用のテーブルに置いてある。

どんな部屋かな?と思ったけど、昨日滞在したイーヴの部屋とそう変わらない。浴室の設備も一緒だ。俺はあたたかい風呂の用意をして、ジェナを呼びに行く。


「ジェナ、お風呂の用意ができたから、入って」

「立派な宿だとは思ったが、部屋ごとに風呂があるのか」

「王都の人は、貴族じゃなくても毎日お風呂に入るんだって。来て」


俺は風呂の設備とせっけんの使い方をジェナに教えて、浴室を出た。

ジェナが出るまで待っていようと椅子に深く座り込む。

それにしても…今日は疲れた。父の研究室とお墓に行って、イーヴが父の知り合いだとわかって…。

…大人があんな風に泣くのは、初めて見た。

金色のまつげが涙で光って、いつも以上にキラキラしていた。あんな風景を…なんと言うのだろう。イーヴの悲しむようすはもう見たくない。でも美しい絵画のようで、また見たいとも思ってしまう。悪趣味だけど。


「おーい、クー。上がったぞ。お前も入るか?」


物思いに耽っていたが、ジェナの声で意識を引き戻された。ずいぶんぼんやりしてしまっていたようだ。


ふたりが入浴して身支度を整えるというなら、俺もそうしたほうがいいような気がするが、ふと気づく。俺の荷物は、すべてイーヴの部屋だ。


「着替え…全部イーヴの部屋に置いてきちゃった」

「お前の服なら、予備のがあるよ。馬車の荷台に積んだままだったろう。これを着ろよ」

「え、良かった!助かる」


これからイーヴの部屋に行くのは面倒だったし、迷惑をかけてしまう気もしたから助かる。

俺はジェナに渡された俺の予備の荷物から着替えを取り出した。いつも村で着ている服で、流行でも新品でもないけれど、清潔でシンプルな服だ。


「なんであの人の部屋にクーの荷物があるんだ?」

「あぁ、昨日宿の部屋が満室で。一緒の部屋に泊まったんだ」

「一緒の部屋に…?」

「この部屋と同じですごい広い部屋だったから、何の問題もなかったよ」

「ベッドはひとつみたいだけど…?」

「あ、うーんそれは……」

「というか、1日半ですごく仲良くなったんだな…?」

「仲良く…そうかなぁ」

「あぁ、なんか近かった。距離感が」


…そうだろうか?俺は意識してなかったけど…。距離感か。

エルフ特有のものかと思って流していたけれど、気を付けたほうがいいかもしれない。


「だいたい…」

「ごめんジェナ、俺お風呂入ってくるから!」


長くなりそうだったので、多少強引だったがジェナの話を切って風呂場に逃げ込んだ。

距離感、とか仲良くなった理由とか…イーヴはその辺を、食事の時にまとめて話すつもりなんだろう。つまり今話しても意味がないし、時間の無駄だ。


せめてふたりを待たせないように、と俺は急いでバスタブに沈んだ。


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