報復された奴
全国の菊池姓の人たちがあるウワサを聞きつけて、糖久野県 菊池市のある公園の広場に集まっていた。
その広場は例年菊池市の盆踊り会場として使われている場所。
その盆踊りの櫓が今年はお盆が終わった後も解体されずに立っていて、櫓の上には首に縄を巻かれた男が1人立たされていた。
その男に向けて広場に集まっているウワサを聞きつけて全国から集まった菊池姓の人たちが、腕を振り上げながら罵声を浴びせている。
「「「殺せ!!」」」「「「吊るせ!!」」」
「「「殺せ!!」」」「「「吊るせ!!」」」
「「「殺せ!!」」」「「「吊るせ!!」」」
「「「殺せ!!」」」「「「吊るせ!!」」」
櫓の上の首に縄を巻かれた男は震える声で呟く。
「俺が何をしたって言うんだよ?」
その呟きに対し、男の後ろにいる男を努湖加野県 某市から拉致してきた迷彩柄の戦闘服を纏った男たちの1人が答えた。
「お前はさ、やりすぎたんだよ」
「な、何を?」
「小説家になったで行われていた菊池祭りに、お前ホラーやパニックのジャンル作品を参加させただろう?」
「参加したよ、それが何だって言うんだ?」
「書いた方は軽い気持ちで書いたんだろうけど、使われた菊池姓の人たちにとっては激怒ものだって事なんだよ」
「だってアレは小説だよ、小説の中だけの話しだよ。
それに、ホラーやパニック作品を書いているのは俺だけじや無いだろ?」
「あぁ、だからお前以外にも、ホラーやパニックで菊池姓の人を殺したり殺人犯にしたりした奴や、コメディーなどの作品で菊池姓の人を笑いものにしたり、おちょくったりした作品を参加させた奴等のところにも別働隊が派遣されているから、直ぐにお前と同じ目に合わされるだろうさ」
「同じ目って?」
「下を見てみろ。
お前のように菊池祭りに作品を参加させた奴の骸がぶら下がっているから」
下に目を向けると確かに誰かの遺体がぶら下がっている。
「だ、誰?」
「直ぐに分かるさ、もっとも分かるのはあの世でだけどな」
「い、嫌だー! 死にたくねー! 助けてくれー!
それに、それに、一番悪いのは菊池祭りっていうお題を出した主催者じゃないか? 俺はそのお題に乗っただけなんだよー」
「大丈夫だ、その主催者のところにも別働隊が派遣されているから。
明日、明後日にはお前の後を追うことだろうさ。
しかし、お前も主催者もだけど、全国の菊池姓の人たちの横の繋がりが帝国一だという事を知らなかったのか?
血が薄い濃いに関係無く、菊池姓の人たちは団結力が帝国一という事で有名だったのに。
だから俺は菊池って姓じゃ無く、菊池市の近くに駐屯する帝国陸軍の特殊部隊の兵士で、上官の命令で、あ、上官の姓は菊池だけどな、で、お前らを捕らえる為に出動しただけなんだが、此の菊池市の人たち大部分が菊池姓なだけに、菊池祭りに激怒するのは良く分かるわ。
あと付け加えると、菊池市の市長の名前は菊池 正義だから覚えておけ。
まぁお前にはいまさらだけど、ハハハハハ
じゃあな」
そう迷彩柄の戦闘服の男は言うと、首に縄を巻かれた男の背中をドン! と押した。
それを櫓の周りで「「「殺せ!!」」」「「「吊るせ!!」」」と叫んでいた観衆が、男が吊るされたのを見て大歓声をあげる。
「「「「「「「「ワァァー!!」」」」」」」」
櫓に吊るされた数体の骸は翌年、皇紀2685年 8月に行われるお盆の前まで吊るされていたのだった。