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男vs女

作者: ロック

西暦2100年

民は堕落していた。

国家は国民に迎合し、男は女に迎合し、虐げられた弱者は神や議員を礼拝し、誰も世界の本質を疑うことなく、流されるまま生きていた。

民は自分の意思を持つことが億劫で誰かに意思そのものを譲渡し、譲渡された者もまた譲渡し、最後に様々な意思を託された者は神というものを捏造することで精神の安定を保っていた。だが、平和であった。

それは核兵器の存在にあった。

国同士の戦争は、地球さえも滅ぼせる巨大な核の存在によりほぼ皆無となっていた。

こうして、迎合により成り立つ偽りの平和が実現できていた。


同じ頃、第2の太陽の付近にあるウォントル銀河の中に環境下が地球に等しく、高等生物が住んでいる別の惑星があった。

それが惑星フェミスである。

フェミスには、様々な生物がおり、中には人間によく似た生命体アトロンスや、豚や牛などの家畜にあたる下等生物や昆虫などがいた。

ただ、アトロンスは、人間との大きな相違点があった。

それは、アトロンスの「男」の性別にあたるへデスの方が力が弱く社会的権力も擁護されてなく、「女」にあたるミャダスは、その逆で身長が低いが、力が強く、戦争に行くのは大抵ミャダスであった。

また、ミャダスは、子供を産むのに苦労や痛みが殆どなく、1年で子供を100人産むことも可能だった。

ただ、へデスが精子を出すことは非常に困難で、出しても1〜2年に1回ほどしか精子を出せなかった。

こうして、各国が戦争を起こす際は、へデス同士が戦うことは殆どなくミャダス同士が戦うことになった。


フェミスにアトロンスが生まれ1000年の時が経ち、

惑星フェミスの科学はめまぐるしいスピードで進化した。

こうして、人口恒星を作れるまでに進化したフェミスだが、人口増加により、食糧が不足し、別の星の移住や宇宙空間の人工の居住地スペースコロニーを製造が必要となった。

こうして、スペースコロニーを5台ほど打ち上げられ、国民の何人かがスペースコロニーへと移住した。

こうして、ウォントル銀河の惑星の殆どをアトロンスが支配して行った。

そして、ウォントル銀河全ての星を支配したアントロスがさらに500年後次元超越機を開発。

AIを積んだ次元超越機(所謂ワープマシン)と人工知能と中継用カメラを積んだ宇宙空間移動機「ヘルメス」を開発。

ヘルメスは何度も次元を超えて進んで行った。

次元超越によって距離は縮まり、太陽が見えない位置に来てもなお、進み続けた。

そして、太陽を発見。

その近くに青い水の星が見つかった。

ヘルメスがフェミスに到着した頃にはすでにアントロスは資源豊富な「水の星」の支配に乗り気であった。

そして、AIを積んだ戦闘用ロケットが水の星に向けて発射された。


その頃地球は、科学力は高かったため、同じくAIを積んだ戦闘機が地上から多量のバルカン砲を放ち、ヘルメスを爆破させた。

ヘルメスは、爆発直前に瞬時に地球のちそうや地球人の特徴建物、兵器などのデータを送った。

各国は、パニックに陥ったが、地球の核兵器などを含む核兵器には信頼があった。

どんな危機がきても大丈夫、何故なら地球には、どんな星でも滅ぼせる核爆弾が存在するのだから。地球人が最も恐れてるのは同族である「地球人」であった。

そして、フェミス軍は、AI戦闘機100機にフェミス女王の声明を録音したレコーダーをつみ、発射された。

それは、アントロスたちの唯一の共通語ヘバルァ語である。


AIが搭載された万能翻訳機は、AI戦闘機から放たれる声を解析し、ヘバルァ語を翻訳した。

「地球は、君たち下等生物にはもったいない。自分の星を冒瀆している可哀想な民よ、私たち高等生物アントロスが地球を我が領土とする」

レコーダーが再生された瞬間、大量のミサイルが放たれたが、地球の科学力に太刀打ちは出来なかった。

地球全体に置かれたシールド装置が作動し、瞬時に、各国のシールドが作動。こうして、国民にミサイルは、当たることなく回避でき、各国の防衛システムが作動。

ミサイルは、国民に当たることなく、回避できた。


しかし、安心は早かった。

50機の戦闘機がやられると、残り50機は、撤退を選んだが、49機は、AIによって爆破された。

しかし、その1機は、様々な地球の情報を盗んだ。

そして、女王はついに本気を出し、地球侵略のために、アントロス達の歩兵達が詰められた円形のスペースシップ、そして、戦闘機に乗った空軍達が、地球へと向かった。

各国民に避難命令が出た。そして、各国民は奥深い地下シェルターに逃げ込んだ。


天才エンジニア真招カツジが開発した、兵器に乗った戦闘員達は、立ち向かった。

こればかりは、地球の存続が関わるためAIのみに頼るわけにはいかなかった。

陸軍が放たれた時、地球人は手を止めた。

人間の女性と酷似していたのだ、さらに言うと胸も大きく、美しい顔立ちをしていた。

地球は2100年になっても、軍は殆ど男性で構成されていた。

女性のみで戦争が行われた時代も確かにあったが、国民の強い反対により、結果現在も男性のみで軍は構成されていたのだ。

あまりのイレギュラーな展開に地球人達は弾が狂う。

どんな科学力を持っても潜在的にある性欲により、地球人は、不利であった。

そのため、1日目は、かなりの被害を受けた。

そして、撤退した兵士達は、さらなる精神攻撃として、さらに地球人の容姿に姿を似せ、

持ち帰った死体10体に人工心臓をつけ、一時的に蘇生させ、彼の勃起対象を調べ尽くし、彼女達は人間の脳波を刺激する電波発生装置を軍服に装着した。

そして、航空機からも、その電波が発生できるように改良。

こうして、1週間後、アントロスは、出撃した。


そんな中地球では、アントロスから地球を防衛するために、戦闘において、絶対感情がブレることのない玉木達夫が操縦する最強最大の戦闘機US-50に核ミサイルを装備した。

玉木家は、戦争において今まで死ぬことがなかった最強の兵士の一族であった。

そして、玉木家の誰かが隊長になれば必ずどんな軍だって撃退出来た。

しかし、今回は、電波による外部的な感情操作であり、玉木であっても困難だった。


そして、再びアントロスの女兵が、地上に降りる。

大半の兵は本能に打ち勝つために「麻薬」を使用していた。と、言うのは麻薬の使用認可が降りたのだ。

しかしその麻薬と、彼女達から電波により、兵士達は死に、数百人いる女性兵も5〜6人ほどしか殺せず、戦場のヒーロー玉木でさえも、本能に抗うことは不可能で戦闘開始1時間で撤退を余儀なくされた。

そして、撤退直後にアントロスは、英語でこう言った。

「地球人よ!降伏すれば命が助からないこともない!!!」と。


地球の兵士達が地下にある基地に辿り着くとそこにある男性がいた。

「よう、ザコども。」

兵士の1人は彼に銃口を向けた。

しかし、隊長の玉木は兵士に銃を下ろすように命令。

「よう、たーまちゃん!」

「お前は・・・ワーグナー」

「悪りぃけどさ、タバコくれね?」

すると兵の1人は怒鳴りだし、銃口を向けた。

「てめええええ、玉木隊長様になんちゅーーー口の!!!」

すると、玉木は、「銘柄は?」と尋ねた。

「メビウス。なければマラボロメンソール。」

「おい!吉崎!彼にタバコとライターを渡せ!!!

そして、お前ら、もう宿舎に入れ!」


こうして、2人になった玉木とワーグナーは、話し始めた。

「どうやって侵入した?」

「ん?てきとー」

「てきとーってお前・・・」

「それよりさぁ、お前らマジ弱すぎ。お前もな」

「る・・・るさい!」

確かに彼の言う通りだった。

彼は、残されたマスキュリストの一人で、メタバース(仮想世界)の中で、マスキュリズム(男性擁護)運動をどんなに石を投げられても、どんなに酷いことを言われたとしても、行い続けた。

それは、何百年経っても続く、女性から男性を守るために行っていたが、同じ男性からも非難が集中した。

そんな彼は、女性に対して一切の「慈悲」を見せず性欲よりも主張を愛した。

そして、女を「感情がブレずに」殺せる唯一の人間だった。

さらに、知能も高く、軍人の父の影響からか、どんな複雑な戦闘機でさえ巧みに操作出来たし、彼が兵士としては適任だった・・・が、いち一般人に過ぎない彼を戦闘に巻き込んでも良いのか、ここから先は事実上の権力を持った玉木に委ねられた。

しかし、人類のピンチがかかってるため、答えは1つだった。

「何円欲しい?」

「金はそこまでいらんけど、まぁ100億円ってとこで」

「安いな・・・、明日は真招がプログラミングした完璧なAI兵500体を乗せて、フェミスに攻め込む。

お前も来い。確実に美女を「殺せる」お前が必要だ。」

ワーグナーは玉木にデコピンした。

「お前じゃなくてワーグナー様ね。」


そして、深夜2時

完全武装したワーグナーと玉木は2人が搭乗した巨大な宇宙軍艦アルティメットスターズ45号が発進した。

この45号にはアルティメットスターズ45号設計者真招カツジの父、真招デンジが開発した次元移動装置がついていたため、ワープ空間を恣意的に生じさせることが出来た。

「行こう。ワーグナー」

そして、大気圏を突入し、宇宙に飛び立ったアルティメットスターズ45号は、早速ワープした。


ワープ空間内にて

体感時間1時間ほど彼らは会話していた。

「玉木、覚えてるか?ひいじいちゃんのこと。」

「・・・、覚えてるさ。忘れらんねぇよ。」


それは、はるか昔のこと、2017年のことであった。

まだ当時は、メタバースが確立されてなく、メタバースとユニバースが合体したような世界であった。

そして、今もなお残る男性差別に訴える政治家や自治体はあったものの、女性権力に逆らえずにいた。

そんな頃多少過激では、あったものの、公正としての正義を実現のための運動を行っていた男がいた。

彼こそがワーグナーの曽祖父であった。

彼は自分の信念を貫き通した例えどんなに不遇な環境におかれても、例え男尊女卑だと言われても彼は、正義の実現のために訴え続けた。

少しずつだが、彼に賛同する人も増え、マスキュリズム運動には効果を見せた。

「マスキュリスト・・・、女性だけが擁護される社会に疑問を持ったんだよな、ワレンファレルは。

お前の曽祖父はそれを自分の身を削ってでも訴えた。」

そして、彼にも結婚相手ができた。

3年後、離婚するのだが。

しかし、結婚後に産まれた娘を引き取ったのは彼であった。

「女に対して憎しみがあったが、自分の娘は別だ。ひいじいは誰より可愛がっただろうな。

ワーグナーの曽祖父は、自分の出来ることは残り少ないことは、わかっていた。

生きている間に政治を変えることが現実的じゃないことも。

なので、娘に一生懸命、政治や差別の歴史を教えた。

それは、全人類の平和のために。

彼女は、24歳の時に結婚。

結婚後は、育児と家事に追われながらも、勉学を続けた。

そして、息子が自立した、42歳の時、少し遅めだが、政治家になることを決意。

それまで少しずつメタバース内で活動を続けていたため、知名度はあった。

ワーグナー家では正義とは何かという弁論は度々行われた。

本当の「平等」のために。

配偶者と対立することは度々あった。

しかし、曽祖父の強い平和に対する愛を受け継ぐ者に対して、横に出るものはなかった。

こうして、ワーグナーの父であるヤマシタが生まれた。

ヤマシタは、玉木達夫の父、玉木辰巳の友人であった。

と、言うのはヤマシタの父は軍人であったからだ。

「その頃から宇宙貿易が始まったじゃないか、しかし、貿易が盛んになる一方で敵も・・・な。」

こうして、ヤマシタは、軍人として名乗りをあげた。

国民の支持を得るには、この時代は地球防衛に貢献することが手っ取り早かった。

ヤマシタは戦争において玉木と同じように、百発百中のその腕で、次々と敵の戦闘機を撃墜していった。

「あんたの親父さんがなんでヤマシタって名乗り続けたかは謎だ。」

「メタバース内でのハンドルネームだよ。

親父は、メタバースでも、ハンドルネームを使い男性差別反対運動を行っていた。」

そして、戦争が一時的に終わり、地下シェルターの建造が行われ、避難用の地下都市が完成した。

そして、4世代によって行われた政治運動についに効果が見えた。

「嬉しかっただろうな、親父」

そう、徴兵制度が女性にも適応され、女性達も歩兵となって戦った。

さらに、その頃から「本格的に」男性擁護法が確立された。

やっと、男性にも権力が持てた・・・と思ったが、

「しかし、無理があった。

戦場において、女は庇われたし、男は女を戦わせようとしなかった!

だから、兵になっても基地で待機し、事務的作業しかさせないんだ!それでも兵士の肩書きを名乗らせる!

それに、女が育児、男が仕事もなかなか変わらなかった!

男はいつだって女の奴隷なんだ。

だが、今回の戦争で俺は変える。

新生命体アストロンとの共存が図れれば」

玉木達夫は、目を丸くして、ワーグナーを見つめた。

「あ!そうか!!」

「だろ!!」

「もし、女が擁護される理由が生物学的なものであったら、アストロンと共存ができれば・・・!」

「フェミスの殆どが女性兵だろ?男性兵が0に等しいってことは。」

「五分五分の割合で兵を構成できる・・・、もし、アストロンの戦争で勝てば!」

「それだけじゃない!

そもそも性別の壁だって無くなるかもしれないんだ!この戦争に"勝てば"。

そうすればフェミニストに暗殺された親父の仇も・・・」

ワーグナーは、泣いていた。

「ワーグナー・・・」

ヤマシタは殺されたのだ、フェミニスト集団からすると邪魔な存在だったのかもしれない。

だが彼の死を社会は隠蔽していた。

その復讐のために訓練を積んだワーグナーは、どんな戦闘員よりも強かった。

そしてワーグナーも、マスキュリストの一人であった・・・。

「さてそろそろたどり着くころだな。」


こうして、何度も次元転送を繰り返した母艦は、フェミスにたどり着いた。

そして、45号は、国民全体に放送した。

「今から戦闘を行います!

国民は避難してください!!!」

アントロス共通語で国民全体にいった。

そして、国民が地下シェルターに避難した時、スペースシップから放たれた航空部隊が皇居に集中攻撃した。

待機していたアントロス航空部隊が出撃、バルカン砲が高いの戦闘機を攻撃する。

しかし、圧倒的に不利だった。

そして、母艦にレーザーが打たれる。

母艦はバリアを張っていたが、玉木は強い精神攻撃を電波によって受けた。

「ううううううっっ!

ダメだ、負ける!!ああああああああ!!」

玉木は発情し始めた。

玉木の股間はどんどん硬直していくが、完全にワーグナーには効かなかった。

ワーグナーは歌いながらタバコを吸っていた。

「ううううううっっっ。ワーグナーはぁはぁ・・・俺は・・・ダメかもしれない。」

戦闘機は次々と撃たれていく。

だが、ワーグナーは、余裕の表情を見せていた。

そして、バリアを張った母艦は皇居に近づいた。

「や・・・やめろ、、、撤退するぞ・・・はぁはぁ」

「ろくにハンドルも握れないくせに!

タマ、こうしないと戦争は終わらないんだ!」

そして、ワーグナーは、緊急撤退用オートオペレーションボタンを押すと同時にハッチを開き、戦闘機に乗った。

そして、ワープ開始20秒前にワーグナーは玉木に一言言った。

「墓石には、"太陽の戦士コジマここに眠る"とかいてくれ!あばよ!」

ワーグナーは、戦闘機のスピードを限界まで上げて皇居に突っ込んだ。

と、同時にアルティメットスターズ45号はワープした。

「うわあああああああ!ワーグナアアアアアア」

泣き叫ぶ玉木、その頃、皇居を含むフェミスの主要都市が大爆発と放射能によって汚染された。

ワーグナーは、シェルターに出撃直前に人間核爆弾の改造手術を受けたのだ。

強い衝撃が加わったら作動するように改造を受けたのだ。

彼の改造手術は政府の出資金によって行われた。

政府は最後の望みで「ワーグナー」を信じたのだ。

伝達する時間がなく、玉木と兵士たちは、知らない状態で。

女王は皇居とともに最期を迎えた。

そして、君主がいなくなり、無力となったアントロスは旗をあげ、戦争は終わった。


そして、フェミスは地球の領土となり、アントロスは無事に地球と共存の道を歩めるようになった。

地球人は無力になったアントロスに危害を加える気はなく、寧ろ彼らを優遇し、地球に迎えた。

そして、アントロスの存在のおかげで性差別は無くなった。

やはり、性差別の大きな原因は生物学的なものが大半を占めていたらしく現在はアントロスと人間達が結婚し、お互いが「やりたい方」の役割を果たすことができた。

また、フェミスと自由貿易が可能となり、さらには、フェミスが支配した星も解放し、銀河内での貿易が盛んとなった。


こうして、さらなる平和が実現した頃、葬儀が挙げられた。


墓石には大きな赤い笑顔の太陽のイラストと

「太陽の戦士コジマここに眠る」と書かれてあった。


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