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004 起動するの?!(後編)

とりあえず同僚の一人をサウディさんの護衛に残し、同僚と黒髪の少年に近づく。

まだ目を押さえて転がっているので、確保は簡単だった。

素早く身体検査して、危険物を持ってないか調べた。うん、特に何も持ってないようだ。

後は足錠をして、これで暴れるのを抑え込む。


あっ、足錠ってのは、片足の足首につける魔物石の付いた飾りみたいな物だ。

鍵が無いと外す事が出来ない物で、どういう仕組みなのかは不明だけど魔法を使えなくなる品物。

これが無いと犯罪者を逮捕出来ないんだよな。

黒髪の少年は犯罪者ではないが、ラッツの代わりに現れたし、言葉が通じるかも不明なので付けさせてもらった。

被害者とも言えるかもしれないが、いきなり魔法を使われても困るのでね。


「君、君、言葉は分かるかな?」

「あ~、目が痛ぇ……」


少年の言葉は理解出来るな。この国の子供なのだろうか?

しかし、未来へ送るって話じゃなかったのか? 逆に何処かから連れてきている形になってないか?

いや、最悪、あのラッツが少年に変化した可能性もあるのかも……?

何にしろ、魔法陣の解釈が間違ってるじゃないか! よくこれで未来へ聖騎士を送るとか言えたよな。


「目は治ったかい?」

「あぁ、なんとか見えるようになってきた……ん? ここはどこだ?」

「ここはシルフェール国の王都近郊だよ。君はどこの出身なんだい?」

「シルフェール……? やった! 異世界転生だ!」

「異世界?」


どうやら彼はこの世界の人間では無いらしい。というか、他の世界なんてものがあるのか? 彼の勘違いじゃないのか?

まぁ世界の果てから連れて来られれば異世界と言っても間違いでは無いだろうし、詳しく話を聞かないといけないな。




少年が話した事はなかなかぶっ飛んだ内容だった。


大型の馬車のような乗り物に跳ねられて死んだ所、神様と自称する存在に出会った。

異世界で召喚儀式を数千年ぶりにやろうとしているから、面白そうなので協力してやろうと思ったらしい。

そこで丁度死んで魂になった少年に目をつけた。贄にラッツがあったので、それを元に体を作った。

それに入れてやるから異世界で新たな人生を歩めと言われたが、少年は反論した。チート寄越せと。

呆れながらもその自称神様は召喚復活サービスだと言って能力をくれた。あちらの世界で確認しろと言って。

それに文句を言おうとした時に閃光が走り今に至る、と。


色々と突っ込みたい部分がある。

神様相手によく文句が言えるな。チートって何? ラッツから体が作れるの? 等など。


「で、俺の立ち位置は何? 勇者? 賢者?」

「え~と、勇者とか賢者ってのは知らないけど、君の立ち位置として正しいのは不審者かな?」

「なんでだよ!」

「君の言っている事が100%正しいとして、こちらの不手際もあるけど、正体不明なこの国の人間では無い人物だから」

「普通は優遇するだろうが!」

「君の言う普通って何だい? これでも優しくしているつもりだよ? 普通は密入国扱いだ」

「ちっ、まぁ良いわ。俺の能力を知ったら優遇したくらるだろうしな」

「あぁ、さっき言っていた、神様から貰った能力ってやつかい?」

「そうだよ。ステータスオープン!」


ステ……何? 突然叫ばれると、束縛しなくちゃいけなくなるから止めてくれないかな?


「何故だ! 何で出ないんだよ!!」

「え~と、もしかして魔法を使おうとしてるのかな?」

「ちげ~よ! ステータス画面を出すんだよ。どっちかと言えば魔法じゃなくてスキルだろ!」

「スキルってのも分からないけど、今は魔法は使えなくしてあるからね」

「マジか?! 使えるようにしろよ!」

「暴れない、逃げない、攻撃と思われる行動をしない、と約束するなら使えるようにしてあげるよ」

「おお、約束するぞ」

「もしそのような行動をした場合、最悪殺してでも止める事になるからね?」

「…………お、おぅ」


さすがに少年を殺したくは無いが、この国やこの国の人間に害を及ぼすなら手足の一本くらいは切り飛ばすつもりだ。


少年を連れて外へと出る。遺跡内では崩落の危険性もあるからね。

そしてゾロゾロと研究院の人達も付いてくる。危険だから残っていて欲しいんですけど……。


「じゃあ足錠を外すから」

「そんなの付けてたのかよ……」


知らない内に付けられていた事に驚いてる間に、さっさと足錠を外す。

そしていつでも剣が抜けるように警戒をする。


「これで良いはずだよ。いつでもどうぞ」

「……その足錠だっけ? それは売ってるのか?」

「売ってないし入手出来ないよ。国の備品だからね。機密情報で作られている品物だし」


犯罪に流用出来るような物を市販してる訳がないじゃないか。


「ちぇっ、まぁいいや。じゃあいくぜ。ステータスオープン!」


え~と、何の変化も無いのだけども。


「ちっ、体力とかHPの項目は無いのかよ。見れるのは所有スキルだけか」

「何を言って……何処を見ているんだい?」

「ふ~ん、他人には見えないタイプか。俺の目の前にステータス画面が出てるんだよ」


確かに何も無い空中を少年の目が見ている。少年には見えているのだろう。


「所有スキルは、言語理解、アイテムボックス、村作り、の3つか。……村作り?! ちぇっ、ハズレスキルパターンかよ!」

「今言ってたのが君のスキル……え~と能力なのかな?」

「そうだよ。ま、良いや。とりあえず冒険者にでもなるから身分証くれよ」

「はははは、なかなか面白い冗談だね。君が簡単に自由になれる訳ないじゃないか」


そう言いながら俺は少年に再度足錠を付ける。抵抗できないように素早くだ。


「お、おい! 何すんだよ!」

「とりあえず陛下に報告する必要があるね。君の処遇もそこで決まる。言葉遣いや態度に気をつけるようにね」


さ、少年を城まで護送するかな。

あっ、しばらくは魔法陣も起動しないように言っておかなくちゃ。忙しいなぁ、もう。

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