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002 起動するの?!(前編)

あれから一ヶ月。

またもや指名で城に呼び出された。

陛下に名前を覚えてもらったのは名誉であるしありがたい事なのだが、なにやら嫌な予感がするんだよなぁ。


「今回はカイムに新たな任務を与える」

「はっ!」


謁見の間で早々に宰相様から任務を与えられた。

拒否権は無いし断る気も無いのだが、長期間だと少し困る。

今は新たなダンジョン出現で作戦会議中だからだ。


「この間、魔法陣の話をした事は覚えているだろう?」

「はい」

「あれの起動実験を行う事が決定した」

「はい。…………えっ?」

「心配するな。誰かを未来へ送るとかそういう話ではない」

「はっ、失礼しました」

「良い。これだけ聞けば不安に思うのも無理無いからな」


びっくりした。

あの無謀な計画が発動したのかと思ったわ。


「経緯を説明しよう。研究院が調べた結果、起動が可能だとようやく判明したのだ。

 起動出来るとなれば放置する訳にもいかない。どんな危険があるかも分からないからな。場合によっては破壊も視野に入れている」


確かに。

動かす事が出来る古代遺跡。ヤバさしかない。

危ないモノだと判明したなら悪用される前に壊した方が良いのは明白だ。


「研究院の考えは未来へも行ける転送装置という事らしいが、我々はそんなに楽観視していない。

 もしかしたら穴を発生させる装置かもしれないと思っている」

「だから私が呼ばれたのですね?」

「その通りだ。もし穴が発生したら、即座に破壊して欲しいと思っている」

「しかし私一人で良いのですか?」

「五人くらいは同伴を許可する。極秘事項の為、大人数を配置は出来ない。選任はカイムに任せる」


こんな装置があると知られては不味いよな。

秘密を守れる口の固い者を選ばなくては。


「起動せずに破壊してしまうという選択肢は無いのでしょうか?」

「その考えも理解出来る。陛下もそうおっしゃった。だが利便性を熱弁されてな……」

「利便性ですか?」

「例えばだ、穴に潜っている聖騎士団に水や食料や薬を送れるとなったらどうだ?」

「確かに便利ですね……」


そうなれば穴の攻略もスムーズに進める事が出来る。

大量の荷物が進軍を遅くしているのは分かっている事だからね。


「起動は一週間後と決定した。それまでに人選し準備を整えるように」

「了解致しました」

「期待しているぞ」




一週間後、部下五人を引き連れ城へ到着。

そこから馬車に乗り現地へと向かう。

馬車は五台も用意されており、自分達以外にも貴族様や研究者らしき人も乗り込んでいた。

何かあった場合、この人数を守るのか? 不安になってきた……。


3時間くらいかけて到着したのは森の中にある古代の遺跡。

兵士と柵によって周囲が封鎖されている場所だ。

ここまで簡易的な道も作られていたので、良い方向に進めば開拓されるのだろう。


馬車を降りるとすぐに案内の者がやってきた。どうやらこのまま遺跡の中に行くようだ。


「周囲の確認をしたいのだが?」

「周囲は兵士がおりますので、安心してください」

「いや、信用していない訳では無いのだが、万が一の場合の避難経路等を確認したいのだ」

「聖騎士団の方々が来られている事をあまり知られたくないのです……」


なるほど。聖騎士団が居るという事は「穴がある」か「それだけ危険」という意味にもなるからな。

周囲に居る兵士を不安にさせる事は無いだろう。我々が対処すれば良い話か。


遺跡の内部に入ると黒いマントを羽織った人達が待っていた。

この人達が研究院の方々だろうか?


「カイム様ですかな?」

「はい、私がカイムです」

「おお! そうですか! 私は研究院の院長をしていますサウディと申します」

「サウディ様ですか。よろしくお願いします」


この白髪の老人が院長さんか。サウディさんね。

そしてこの人が魔法陣起動を強行しようとしてる人か……。

研究職の人って好奇心旺盛なんだなぁ。他の人達も早く起動したいって顔してるわ。

こうなると起動しなくて良いんじゃない?って考える消極的な俺達が少数となり、肩身が狭い感じがする。


「では早速始めますか!」


いやいや、待って待って。

まだ何も確認してないから! 

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